バカとゴッホ

男と男と女。3人の青春物語

バカとゴッホ 加藤伸吉
かしこ
かしこ

絶対おもしろいやつだと思って読んだらやっぱりおもしろかった。 子供の頃からの幼馴染みで今も同じ高校に通っている堺と正二はバンドを組んでて、才能はあるんだけどなんだか上手くいっていない。二人はひょんなことからクラスメイトで服作りのセンスが抜群で「ゴッホ」というアダ名の女の子と仲良くなる。ゴッホが高校を辞めて服作り一本でやっていく決心をして、堺と正二もそれを応援するんだけど、高校卒業して働きながらバンドを続けるのも難しいし、ゴッホも親からの援助も打ち切られてお金がなくて、社会に揉まれてみんながどんどんダメになっていく。これが1巻。名付けるなら「3人の青春編」って感じ。 2巻はバラバラになった3人がまた再会していく話で、あらすじにすると漫画らしい展開の連続なんだけど、まったく安っぽくない。私は2巻からが好きだった。特にゴッホが衣装係として働き始めたショークラブで出会うエルムとの恋の場面。エルムも変わり者なのがまたいいんです。最初は堺とゴッホが中心の話なんだけど、タイトルの「バカとゴッホ」の意味が堺と正二の二人のことに変わっていく、これが見所ですね!でも3人の出会いがとてもいい結末を迎えたラストも素敵でした。

俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。

まだ見ぬプロレスファンの貴方へ

俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。 さかなこうじ 柴田惣一
野愛
野愛

2000年代において90年代のプロレスメインで漫画にするというのがなんとも心憎いですね…。 白黒テレビで家族揃ってプロレスを見ていた時代が終わり、メジャー団体だけではなくインディー団体が生まれ、冬の時代を迎えながらも細分化され現代のプロレスに繋がっていく…そのいちばん美味しくていちばん学んでおきたいところを掻い摘んで知ることができるのであります。 とは言ってもプロレス好きな人なら履修はしてあるかな?という話題が多いとは思います。逆に言うとこの辺おさえとけばなんとなく今に繋がる流れがわかるってことなのかもしれません。 まあそんなことはさておき根本にあるのは「人の好きを笑うな」ということだと思う。 この漫画をプロレスファン以外のひとが読むことは滅多にないでしょう。でも、もしプロレスファンじゃないひとがこの感想を読んでこの漫画を読むことがあるならば(ないと思うけど)伝えたいことがあります。 誰に笑われても、誰に否定されても、どうかその好きに誇りを持ってほしい。 ニワカでも詳しくなくてもいいんだよ!あなたの好きがコンテンツを支えるんだよ! わたしの好きなプロレス団体の代表は常々「プロレスをメジャースポーツにする」と謳っています。今存在する全てのコンテンツが、新規に伝えることを辞めてしまったら衰退するばかりなのです。 ニワカであることを誇れ!古参はニワカを愛せ! たまちゃんをニワカだと批判するキャラクターが途中登場しますが、これは全てのヲタクが自分を省みるべきという戒めなのだと思います。知識とか認知とか金額とか(それらはひとつの指標だけど)だけを誇ってはいけないし、他のヲタクを排除してはいけないのです。 愛するコンテンツを守るために愛を広げなければいけないのです。 虎はウザいしたまちゃんはもっと喋れ、女装家レスラーやジェンダーレスレスラーがいるんだからオカマとか安易に言うんじゃない、とか思うところは多々あれど、結局はラストシーンでたまちゃんが虎に発した台詞が全てだと思います。 好きなものは好きと言おうじゃないか。好きなものを好きでい続けようじゃないか。 そして、プロレスをメジャースポーツにしようじゃないか!!!