けむたい姉とずるい妹

自己主張ばかりの姉妹の結末は #1巻応援

けむたい姉とずるい妹 ばったん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

あとがきで作者に「楽しんでいただけましたでしょうか」と問われて「これはそもそも、楽しむものなのか…」と考えてしまう。 というよりはこの作品は、重い物を「突きつけられる」のを好む人向けだろう。キャラのポジティブな魅力や尊い関係性といった楽しみの代わりに、人間が皆持つ駄目さ・面倒さを「突きつけ」て物語に誘引する。 自分の物を全て……挙句は男さえも奪ってゆく妹に、嫉妬する姉。母の遺した一軒家だけは死守しようとする姉を最初は応援したくなるが、すぐに見方は変わる。妹の言い分、姉の恨みの執拗さ。さらに妹のパートナー・元彼に接近する姉。 よく見ると、姉も妹も自分の主張ばかりで、お互いの思考に考えを巡らす事は一度たりとて無い。よく学校で言われた「相手の立場になって」という教訓は、二人には全く活かされない。そしてその姿は、かつての・そしてこれからも変わらない、私の姿だ。 私は今後もこの作品を読みながら、争いを止めない身勝手な人の性を見続ける事になるだろう。それを追っていった先に、彼女達が変化する事はあるのか?変われないまま壊滅的な破局を迎えるのか?いずれにせよ、この酷い姉妹関係の結末が気になって仕方がない。 タバコの煙、靡くリボンで覆われた画面に幻惑されながら、面倒臭い人のための私小説を読む様に、次巻も読むのを止められそうもない。

復讐の教科書

俺は正義マンだ!

復讐の教科書 河野慶 廣瀬俊
toyoneko
toyoneko

「復讐の教科書」は,タイトルのとおり,復讐を扱った漫画です。 高校でひどいイジメにあって殺されかけた主人公は,屋上から落下した衝撃で,学校の先生と人格が入れ替わってしまう。 先生の体と立場を手に入れた主人公は,これを機に,いじめっ子たちへの復讐を始める…というストーリー。 「いじめ」シーンは1話で終わって,あとはずーっと復讐が続きます。 常識的に考えて,かなり酷いこともするのですが,何しろ主人公ははいじめで殺されかけた立場なので,理性に歯止めが効きません。正義感から,復讐はどんどんエスカレートしていきます。 しかも,いじめっ子の奴らは,性格も悪く,本当にろくでもない奴らばかり。こいつらは復讐されても仕方ないな,と思えてしまいます。 エスカレートした復讐の結果として,いじめっ子たちは次々に破滅します。 つまり,読者からすると,正義の御旗のもとに,主人公が,性格の悪い悪党どもに延々と過激な制裁を加えるのを見ることができるわけで,正直,エンターテイメント性は高いです(なお,いろいろ細かい突っ込みどころはありますが,そこは気にせず勢いで読みましょう)。面白いのです! …でも,少し冷静になって客観視すると,この,「復讐を楽しむ」気持ちって,実は「いじめを楽しむ」気持ちと大差ないのでは?とも思えてしまいます。 つまり,本作は,読者の嗜虐心を煽り,読者自身に「いじめを楽しむ」心を植え付ける,実に悪意に満ちた作品なのです。嫌な作品ですねえ。 …と言いたいところなのですが,実はそういう一直線な復讐が続くのは7巻の途中くらいまでで,そこからは,方向性が少し変わります。 方向性が変わったあとの展開も,別につまらないわけではないのですが,個人的には,延々と一直線に復讐を成し遂げた主人公が最終的には読者をも巻き添えにして破滅するような終わり方を期待していただけに,少し残念でした。 とはいえ連載はまだ続行中(コミックは既刊10巻)。今後の展開に期待します。

僕はメイクしてみることにした

とりあえずロゼット洗顔パスタを買った

僕はメイクしてみることにした 糸井のぞ 鎌塚亮
名無し

30代男性です。自分もたまたま「そういえば顔カサカサじゃない!?」と思って人生で初めてお風呂上がりにフェイスクリームを塗り始めた時期だったのでとてもタイムリーな作品に出会えました。(ちなみにNIVEAのコンディショナーバームというのを塗ってます) まさに一朗さんと同じく「なんか…つやつやする!」というのが面白くて(当たり前なんだけど)やっぱこういうのちゃんとやった方がいいんだなと思った次第です。 というか本当はやった方がいいって気付いていたはずなんですが、めんどくさかったりなんだか敷居が高い感じがして何もしてこなかったクチなので、「出来る範囲で、やりたい範囲でやったらいいじゃん」というメッセージはホッとします。これはメイクだけじゃなくて色んなことに通じる気がしますね。 「とりあえずこれから」というのが具体的に書いてあるのがありがたいし、本作を読んで許しをもらったというか、最後のひと押しをしてもらえたような気がしました。 ご多分に漏れずとりあえず私も読んだあと即効でロゼット洗顔パスタを買ったので、丁寧に顔を洗う人生を手に入れたいと思います。

幼なじみがイケメンすぎる

イケメン×イケメンの両思い#1巻応援

幼なじみがイケメンすぎる 茶畑真
六文銭
六文銭

幼なじみがイケメンというので、男キャラ(あおい)がイケメンかなと思ったら、ヒロイン(いつき)もイケンメン(精神的に)だったという話。 ヒロインがイケメンというのは、いうなれば宝塚の男役のような、女性が女性に惚れる的な格好良さ。 そして、その二人、なんと両思い。 普段のわたしなら、爆発して欲しいなと怨嗟が渦を巻くのですが、 この二人は格別です。 というのも、あおいもいつきも お互いにとって、ふさわしい人間になるべく鍛えようとする という、なんとも古臭・・・もとい奥ゆかしい姿勢。 イケメンや美女に無条件で愛されちゃう~といったハーレム系作品とは一線を画します。 かくして、ふさわしい人間になるべく、二人の努力は続く。 この向上心、素敵ですね。 この流れから察するように、基本的にちょっと常人とはズレた二人の天然ボケ路線ですすむギャグテイストなのですが、これがなんともいえず素敵です。 二人とも、性格が真っ直ぐな才色兼備なので、邪悪な心をもった自分には眩しすぎて、ホント尊い。 二人が、本作のクラスメイトたちのいわゆる「推し」と化しているのもうなずけます。 恋愛よりもラブコメ的な展開ですが、絵もキレイで、今後が楽しみな作品です。

動物のお医者さん

いい冬を描いているエピソード #マンバ読書会

動物のお医者さん 佐々木倫子
nyae
nyae

次のマンバのイベントのテーマが #いい冬のマンガ と知り最初に思い浮かんだのがこの「動物のお医者さん」です。 読んだことがある人は御存知の通り北海道が舞台の作品なので、ただの冬エピソードと言うよりも「北海道の冬」を感じることができるのが特徴であり魅力だと思います。そこで個人的に好きな冬エピソードをいくつか紹介します。長くなりすぎないようにすごくざっくりまとめます。 ●ハムテルと犬ぞり 7巻でチョビがブッチャーさんという外国人にスカウトされハムテルたちは犬ぞりに出会います。ハムテルはいきなりマッシャー(そりに乗る人)を任されたうえに犬たちには完全に舐められ自分には無理だと諦めかけるも、ハムテルが犬同士の喧嘩の仲裁に入った際、新入りの犬に噛まれてしまったことにチームの犬たちが怒り、噛み付いた犬に一斉に攻撃をするという展開に。そこにはもちろんチョビも含まれているところがグッと来ます。あれだけ大人しいチョビもハムテルが噛まれたら怒るんだなぁ…。 結局、ハムテルは舐められながらも仲間と認められていることがわかり、華々しい(?)犬ぞり大会デビューを果たし、まんまと犬ぞりにハマってしまうという話。 そして9巻では、こんどこそ入賞を目指そうとするハムテルたちの前に漆原教授が犬ぞり経験のない寄せ集めの犬を連れて現れるなど波乱の展開。当然のことながら大会にも大迷惑をかけながら参戦します。いろいろあってハムテルはソリから降り自分で犬を引っ張りながら走ってゴールすることになります(なぜそんな事になったかは読んでみてください)。そのおかげ?か見事3位入賞を果たすのでした。 11巻では優勝を目指し参戦するハムテルたちの前にお決まりの漆原教授が今度は本場アラスカで訓練された犬ぞりチームを率いて参戦。果たしてハムテルは優勝できるのか?ぜひ読んで確かめてください。 ☆余談ですが私は北海道で犬ぞり体験をしたことがあります。一生忘れられないほど最高の経験でしたので犬好きの方にはおすすめです。 ●埋まる女・菱沼 動物のお医者さんのメイン女性キャラクター・菱沼さん。彼女はとにかく、大雪が降ると雪に埋まる。そして運悪く通りかかった人に引き抜いてもらうという迷惑な人です。9巻にはそんな埋まってばかりの彼女にほんのりとした恋心のようなものを抱く男子学生が出てくるという世にも珍しいエピソードが掲載されています。 雪の中を牛が通り過ぎる場面に北海道を感じます。 ●埋まるモモンガ・モモちゃん 雪に埋まるエピソード2つ目です。これはエピソードというよりある話の一場面です。二階堂の親戚・里穂が彼らの通う大学を受験するということで試験後に大学内で待ち合わせようとするも里穂は迷子になり、最終的に大学内で遭難(?)してしまいます。その里穂を探す中で以前ハムテルたちが保護していたモモンガのモモちゃんが雪の中で眠ってしまっているところを発見するという、少しヒヤッとする場面があります。北海道にはモモンガも雪の中に埋もれるんだなぁ。と思ったことが強く印象に残ったのでした。 今回このクチコミを書くにあたって読み返して気づいたのが、思っていたより冬のエピソードが少ないということ。北海道の冬は人間があまり活動できないから、マンガにできるエピソードも少ないのかな、と勝手に予想しました。

実家に帰りたくありません

義理じゃなく実親だからこそシンドイことってある

実家に帰りたくありません イタコ
六文銭
六文銭

よくある義理親の実家の話かと思ったら、実親の話だったので 「実家に帰りたくない」 とはなんぞや?と思い読んでみました。 読んで、なるほどと唸りました。 毒親・・・というほど酷い親ではなく、親の子供に対する干渉を描いたような作品。 一見普通の親なのですが、他人からみたら異常な感じがすごいリアルでした。 しょっちゅう帰ってこいというけれど、特に育児を手伝ってくれるわけでもない。 孫の教育に対してイチャモンをつける。 そして、何かと陰で悪口を言い合う。 年配者によくある「人の悪口」でしか繋がれない感じ、なんかよくわかってしまいました。 本作は、両親が、主人公や主人公家族を見下すことで実家の平穏を保っています。 主人公の姉も同じように、主人公夫婦を馬鹿にすることで両親と良好な関係を築いている。 酷いと思いながらも、実際こういうのあるわー、こういう人いるわーと思ってしまいました。 そんな中、良かったのが主人公夫婦、特に旦那さんの対応。 義理の両親や義理の姉夫婦に酷いこと言われても、受け流すスキルや自分たちは自分たちという毅然とした態度や行動をとっていて(かといって、断絶するわけでもなく、適度な距離感で付き合っている)、それが主人公にとって精神安定剤となって良かったのだなと思いました。 そして、旦那さんと娘さんと一緒に「新しい家族」をつくりたいという強い想いが、最終的に両親との決別につながったのだと思います。 根本的な解決にはならなかったけど、まぁこうなるよね、という納得感とこの後の時間が解決していくのかなぁとか思いを馳せました。 最後に、本作で出てきた言葉 「もう取り返しがつかないところまできていて、それでも臭いものに蓋をしてギリギリで保っている関係だってあるの」 「そんな関係でも、大事にしないと生きていけない人だっているの」 これが全てな気がしました。 人生、わかっているけど、どうにもならないことって沢山ありますよね。 また一つ渋みが増しました。

スーパードクターK

スーパードクターKの感想 #推しを3行で推す

スーパードクターK 真船一雄
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男

・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 久しぶりに全巻読み返したが無茶苦茶面白い。今回読み返したきっかけはK2を読んだのもありますが、オードリーの春日が『スーパードクターK』を読んでいたおかげで、過呼吸になった若林を救ったという話を見かけたのもある。ちなみにこの過呼吸の対応方法は現在では推奨されていないとK2で書かれていた。 Kが神技のメスを駆使する医者の頂点にいるなという感想は変わらないが暴力でも頂点に近いところにいるのではないかと思った。銃を持っている相手と戦って勝つなどは当たり前でマントに仕込んであるロープでサメを倒していたりもしていた。Kと暴力で勝負して勝てそうなのは一昭のところにいたロシア人ぐらいか?Doctor Kでもなんかあった気がするが忘れてしまった。 ・特に好きなところは? Kの話もいいのですが、高品龍一が一流の医者になっていくところがいい。 特に好きな高品のエピソードはいろんな医学書を読破し知識だけなら普通の医者以上と言われている医学マニアの死に神博士こと丸井伝五郎が登場する回。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 最初の方はハードな感じですが医療の問題や人情話やギャグっぽい話、校医になったりと色々と幅広い内容で大体一話完結なので読みやすい。 監修の中原とほるが描いた医者マンガの「ドクトル・ノンベ」もオススメです