美川べるのといかゴリラのまんが飯

かつてここまで美味しくなさそうなグルメ漫画があったのか

美川べるのといかゴリラのまんが飯 美川べるの いかゴリラ
六文銭
六文銭

待ってました。個人的に好きすぎるいかゴリラ先生の新作。 (いかゴリラ先生を知らないって人は、まず「オタクだよ!いかゴリラの元気が出るマンガ」を読んでほしいです。もしくは、いかごりら先生のtwitterをみてみると雰囲気がわかると思います) 知っている方はご存知だと思いますが、独特のハイテンションが持ち味のギャグ漫画家なのですが画力がアレなんですよ。 キャラクターの手なんか 「なんで、この人クリームパンずっと持ってんの」 って言いたくなるくらいの絵。 でも、どことなくそれが味があってよいし、開き直ってギャグにしている感じもよいんです。 そして、そんな画力のいかゴリラ先生が、まさかのグルメ漫画。 グルメ漫画のウリといえば美味しそうな絵でしょう。 なんでいかゴリラ先生なんでしょう?と一瞬思いますが、まぁ、面白い。 どれも絶望的に美味しくなさそうなのですが、それをベースにしたギャグが最高なんです。 描けなくなったからと実写を使ったあたりとか腹抱えて笑いました。 基本は、美川べるのといかゴリラ、あと編集担当の方、3人で毎回ある食材や料理をテーマに沿って展開されます。 一風変わったグルメ漫画・・・というかギャグを所望しているかたに是非おすすめしたい作品です。

保健室のせんせい。

男性養護教諭は「信頼」が命!

保健室のせんせい。 水島ライカ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

全国4万人の養護教諭の内、男性は百人に満たないという事実に、驚く反面納得もする……だって見たことないもの。そんなレアキャラ、新任の男性養護教諭の日々の奮闘記。明るくも緊張感の漂う、真剣な作品だ。 主人公は常に周囲からの「信頼」を得るために、気を配ることになる。 当然女子児童との関わりは酷く神経を使うが、そうでなくても児童の心と向き合い、信頼を得て悩みに寄り添う行程は、繊細で難しい。そのプレッシャーにハラハラしてしまう。 更には同僚や、男性医師等からも懐疑の目を向けられるとなると、心の休まる時がないなぁと、かわいそうなくらい。しかし彼のモチベーションと誠実さで、次第に周囲と歯車が噛み合ってくる時の喜び! 登場する子供達は、決して暗い性格ではない。普通だったり、明るかったり、しっかりしていても、それぞれに悩みを抱える。子供が抱きがちな痛みに共感してしまうし、それが救われる様は自分ごとみたいに嬉しい。 大人も子供もスマートな美形キャラで貫かれているので、暗さや生々しさがない(主人公・同僚・保健医の美男スリーショットが素敵♡)。美麗なイラストを気軽に楽しみながらも、大切な事を教えてくれる内容に、心を掴まれた。 (取材、参考文献も充実。安心して読める)

加賀谷次長、狙われてます!【電子単行本】

BL…?奇妙な三角関係が癖になる男3人の人間模様

加賀谷次長、狙われてます! 小山田容子
天沢聖司
天沢聖司

オフィスコメディだと思って読んだのでこの3人の関係の奇妙さにとにかくびっくりした! 主人公は顔がよくて仕事のできる性格のいい次長で、日頃から支店内で女房役を務め、仕事が円滑に進むよう絶妙なサポートを行なっている。 恋愛よりも「人を育てるのが大好き」という少し変わった人物で、態度の悪さで皆が手を焼いてる3年目の新人を喜んで指導することに。(ちなみに既に大学生の男の子のお世話もしてる) 次長が手塩にかけて大切に大切にお世話するうえに、「えっ、この人俺のこと好きなんじゃね…!?」とドギマギさせる思わせぶりな態度をとるせいで、タイトル通り大学生と新人くんの2人から好意を寄せられ狙われることになるという話。 あの態度をマジのガチの素でやってんのか、それとも意識してやってるのか今のところ言及がないので謎で、読みながら「えっ…なにこれ…? どういうこと? え…?」と戸惑わされそれが面白かった。 2人とも思いを寄せてるんだけど、それは普通に恋してるというか、初めて自分だけに注がれる愛情に舞い上がっちゃってるだけの気がする。2人とも家族からの愛が足りていないところがあって、次長から無償の愛をバンバン注がれて嬉しくなってしまい脳が「恋」と誤作動してるみたいな。 とりあえず今のところ恋(?)は新人くん&大学生→次長の一方通行で、次長がどう思っているのか感情が全く見えず、BがLになるのか全く予想がつきません。 レーベルはエレガンスイブなんですね。なるほど、わからん…。 加賀谷次長は一体どうなってしまうのか続きが気になります! https://souffle.life/manga/kagaya-jichou-nerawarete-masu/20200306-2/

私のジャンルに「神」がいます

全ての創作物に感謝したくなる

私のジャンルに「神」がいます 真田つづる
六文銭
六文銭

話題になって読んだが、特定のコンテンツにのめり込んだような経験がある人にはあるある的な内容だと思います。 自分は創作まではいきませんが、のめり込んだ先に色んな人のレビューや別の角度でとらえた新説なるもののブログ、はては二次創作の作品まで深入りした経験があるので、よりしっくりきました。 さて、本作の内容ですが、二次創作(BLジャンル?)界隈で才能を輝かせる綾城(あやしろ)とそれに触発された読者をオムニバス形式で展開し、加えて「おけけパワー中島」というSNS上で綾城と絡んでくる謎の存在がシリーズ通してでてくるというのが基本の流れ。 綾城という彼女の読者(というか信者)にとっては神的存在に、「おけけパワー中島」が馴れ馴れしく接する姿が、良い感じでイラッとさせるんです。 特に、文面上でしか出てこないという、その不気味さも残しながら人間味もある感じが妙にリアル。 また 「おけけパワー中島」 という、一度聞いたら忘れられないネーミング! たまに、SNS上でセンスフルなネーミングの人いますけど、そういう感じなんだと思います。 綾城に触発され創作意欲を燃やす人、嫉妬する人、綾城に会いたがる人など色んなパターンの悲喜こもごもが描かれ、読んでいて自分の中にある人格の全パターンが網羅されている感じ。 オタクとしては共感の嵐です。 創作の苦しみや喜びを感じるとともに、作家様の創作物を拝ませていただけるということのありがたさを痛感する作品です。