少女暴走伝説 Fair

90年代の暴走族雑誌「ティーンズロード」で連載していたバリバリのレディース漫画

少女暴走伝説 Fair きらたかし
ウマタロ
ウマタロ

90年代の暴走族雑誌「ティーンズロード」で連載していたバリバリのレディース漫画。この頃はまだ暴走族系の雑誌が残っていたが、時代の流れとともに雑誌自体が廃刊となり連載が終了。2008年に上下巻の完全版の発売を最後に絶版状態が続き、2021年5月に電子書籍でまた復刊された。 作者・きらたかし氏が、実在のレディースチームを取材したエピソードを元にしたストーリーで、小さい頃からいじめられっ子だった少女が暴走族に入り、徐々にたくましく成長していくという物語だ。レディースという存在をかなり本気(マジ)で描いてるので、バイクを改造するわ、殴る蹴るの暴力は当たり前、タバコ酒、クスリ、男絡みの喧嘩など過激な描写も少なくない。普通の漫画だったら、美談になりそうなエピソードであっても決してそうは描かないのはリアルさを重視していると思われる。きらたかし氏の描く女の子はみんな純情な雰囲気を持っているのだが、そういう子がグレていき立派な族になっていく過程の生々しさといったら凄いのだ。 レディースにはレディースの仁義があり、男の暴走族とはまた違った仲間意識だったり、流儀があることがこの漫画を読むとよくわかる。あとがきを読むと、レディースの方々からの評判はかなり良かったらしく、令和になった今でも電子書籍で復刊されたというのも、いまでも根強い支持がある作品なのかもしれない。 「赤灯えれじい」のチーコの原型となった作品とされてるが、個人的にはそれと切り離して読んだほうが良いと思う。チーコ的な何かを求めてこの作品を読もうとするのはおすすめしない。

アトモスフィア 完全版

ふざけんななんて絶対言ってやらない

アトモスフィア 完全版 西島大介
野愛
野愛

西島大介はとんでもなく悪いやつだ。なんとなく恐ろしくて意味があるのかないのかもわからないけれど、雰囲気だけだろと言い切る勇気すら奪うような作品を生み出すのだから絶対に悪いやつだ。 なんて、全部全部言いがかりだけども。 ある日、わたしの前にわたしの分身が現れる。恋人も家族も居場所もすべて奪われるけれど、わたしは一切取り乱したりしない。「ふざけんな」なんて絶対に言わない。 わたしは全てを赦しているから。 そこにあるものを受け入れること、赦すことは救いだと思っている。怒りなんて生産性のない感情を手放し、ただそこにあるものを見つめる。自分にとっても世界にとっても正しいことだと思っている。 この考えを手放すつもりはない。そうでなければ自分を保てないと思っている。 この広い世界のどこかで手放した自分が自分として生きていたらどうしよう。 飲み込んだ言葉が、切り捨てた感情が実態を持って生きていたら。殺した自分が生きていて、自分の目の前に現れたら。 そんなことある訳ない。 でも、作品中のわたしだってそんなことある訳ないと思っていたはずだ。 自分は自分である。誰にもわかってもらえなくても自分だけはわかっている。 曖昧にして唯一の揺るぎない真実だと思っていたことを、いとも簡単にぶち壊しにきた。ぶち壊して怖がらせるだけ怖がらせといて、最後の最後は電源をぶちんと切るみたいにぶん投げて終わる。こんな終わり方信じられない。本当に本当に西島大介は悪いやつだ。 でも赦す。

じじいくじ ~元最強刑事の初孫育児~

格好良いじじいが孫を育児#1巻応援

じじいくじ ~元最強刑事の初孫育児~ 上地拓郎
六文銭
六文銭

育児系のマンガって、ツライとかシンドイとか、旦那が非協力的とか暗いものが多く(リアルといえばリアルなのですが)読んでて共感もありますが、 滅入るんですよね。 そんな育児マンガジャンルに超新星があらわれました。 じいさんが孫を育児。じじいが育児でじじいくじです。 「じ」がいっぱい! 最強の刑事だった主人公が、娘の子供(つまり孫)の育児、出産後の娘のケアなど全面サポートする話。 基本的にギャグがメインで、新生児に翻弄される様、また家族思いの姿に、なんとも癒やされます。 皆が皆思い合って、優しい世界が広がってます。 おじいちゃんが面倒みている、この家族構成に最初は、 「旦那さん、亡くなっちゃったのかな?」 と不安になりましたが、安心してください。単身赴任なだけでした。 また、ただのギャグに終始せず、純粋に子育てマンガとしても参考になる点があります。(おむつかぶれとか) 著者さんの経験談でしょうかね。 最後に、育児をする全ての人に 「完璧を目指さない。そんなものはないから。」 と、とある人のセリフがグサリと刺さりました。 まったくもって、おっしゃるとおりです。 育児に疲れた方、これからする方、笑って学べる本作がおすすめです。