山田くんと佐藤さん

まじめなカスとかわいいガールズ

山田くんと佐藤さん 松苗あけみ
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

松苗あけみの良さってキャラの良さだと思う。 今作の話自体は学校のアイドル的なクールイケメン男子1人を女の子2人が取り合う、 少女漫画としてはよくありそうな展開である。 だけどそこに関わるキャラの性格。。。 これが他の作品にはなかなか無い絶妙なラインを攻めていて味を醸している。 本作のメインキャラであり、 ヒロイン2人の恋心を一身に受ける山田くん。 こいつがカスである。 プレゼントを焼却炉に投げ込み、他人に無関心、デートは途中で帰る。 興味がない女子にも思わせぶりな態度をとるが、 興味がないから冷たい態度をとって女子を泣かす。 深いこと考えてそうで浅い男。 それが山田。 でもそんな浮世離れした、 飄々とした雰囲気がなぜかたまらなく魅力的に見え、 乙女心に火をつけるのだ。 雨の中猫に餌をやる男子♡ みたいなギャップ萌えがテンプレ化していた時代、 こういう純粋なカスを主人公に据えたことは、 作者の当時の少女漫画界に対する反抗でもあったのではないだろうか。 メガネかけてるイケメンの元祖でもあるらしい。 あとヒロインも他の女の子もかわいいし普通に話が面白い。永久保存です。

アイドルを探せ

80年代カルチャーと花の女子大生ライフ♡

アイドルを探せ 吉田まゆみ
かしこ
かしこ

私は一応平成生まれなので80年代のカルチャーに疎いのですが(大江千里は名前だけ知ってる…くらいのレベル)、それでも面白かったのはやっぱりあの時代そのものに魅力があったのと、それを描き切ることが出来るパワーとセンスを持っている吉田まゆみ先生だからこそだと思いました。アイドルを探せを連載していた「mimi」という雑誌のことも初めて知りました。講談社から発行されてた10代後半の女性向けの漫画雑誌(主な連載作品はあさきゆめみしや白鳥麗子でございます!)で、アイドルを探せは当時大人気でドラマ化や映画化(ちなみに同時上映はLet’s豪徳寺!)もされたそうです。 「アイドルを探せ」といっても「私にとってのアイドルは誰?」という意味なので要は普通のラブコメなのですが、生まれも育ちも東京でオシャレな主人公のチカちゃんが風呂無しの木造アパートで一人暮らしするところとか、自分でも手が届きそうな夢の世界を見せてくれるので共感しちゃうんですよね。主人公は花野女子短大に入学したチカちゃんですが、漫画家志望のカンロちゃんとバスガイドをしている千明さんもアパートの入居者であり準主役です。ショートカットが可愛いチカちゃんはモテモテでいかにも主役って感じがいいのですが、地味でモテなかったカンロちゃんの恋が成就したことが何よりも嬉しかったです。番外編もカンロちゃんの話が一番好きでした。どうやら続編「夜をぶっとばせ」があるようなので、そちらも読んでみようと思います!

嫌われ令嬢は愛されたい

鈍感すぎて、でも正直で、ちょうどいい2人なのかもしれない。

嫌われ令嬢は愛されたい 鶏冠勇真 新見まにも
ゆゆゆ
ゆゆゆ

王子の言葉に傷つけられ、嫌われ者として仕立て上げられているヒロイン。 彼女を美しいと真っ直ぐに伝えるヒーロー。 素直になれない、当て馬の王子。 よくある設定なのにコミカルでおもしろいのは、ヒーローが空気を読まずに馬鹿正直なせいか、ヒーローが数少ない光魔法の使い手というヒロイン枠の能力持ちせいか。 それとも、教師陣が当て馬王子へ忖度しすぎてヒロインが割りを食い、空気を読めないヒーローが忖度して作り上げたフラグを叩き折り、ヒロインも残りのフラグを踏み潰すせいか。 学校の貴族男性陣は王子の気持ちをわかっているのに、貴族女性陣が理解していないせいで、当て馬王子のフラグが真横からも叩き割られるせいか。 こういうタイプのキャラクターが好きだよなあ、と読みながらしみじみしてしまった。 追記 当て馬王子の主人公に対する酷い言動について、外野女性陣は本心からと思っていて、外野男性陣はこじらせた恋と思っている理由。 「恋してたら好きな女の子にちょっかい出しても仕方ないよね。好きなんだもん。多少酷くても許されるよね」と外野男性陣はこころの何処かで思っていて、外野女性陣はそんな傷つけられ損の「考え方」を認めていないからでは…とふと考えてしまった。

今世は当主になります

パワー以外、強くてニューモード

今世は当主になります Mon、 Antstudio
ゆゆゆ
ゆゆゆ

翻訳縦読み系って、第1〜3話くらいでエンディング付近というか、大逆転後の今が描かれているので、途中で読み直すと「あ、この人、こういう人だったんだ」と再理解できて、二度美味しいですね。 ただ、オチのネタバレになっていることもあるので、苦手な人は苦手かもしれません。 もし、これが推理モノだったら、黒ずくめでない人物が描かれていて、その人が犯人と明らかになっているのか、もしくは殺されなかった人がわかってしまうのか。 脱線しました。 名家の子であるものの、親戚従兄弟たちから虐げられてきた転生主人公が、幼い頃へ再び蘇りやり直すお話です。 彼女とその家系を蔑ろにするクズみたいな従兄弟や親戚、王子たちに対して、10倍でやり返したり、過去の記憶で虐げられていた人たちを救ったり、敵の儲け話があれば未来を知っているパワーで正々堂々と奪っていったり。 そういえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、くじの当たりを知って大儲けする適役の話があったなと、ふと脳裏をかすめます。 作中でしばしば言われる「ロンバルディだから許される」は、漫画が違えば悪役になりそうなほど横暴な言葉だけど、その横暴さをもってティアもお祖父様も勧善懲悪していくのが痛快です。 それなら身も心も成長していく主人公ティアたちもなかなか見ものです。 大きくなります。 このままヒロインとヒーローがおじいちゃん・おばあちゃんになるまで続くんでしょうか。 どこまでティアのやり直し人生は描かれるんでしょう。