あらすじ生島宝(41歳)は、生パスタ教室「ミ・テゾーロ」を始めた。以前はイタリアンレストランだったが、夫が失踪して今の教室形式になった。この教室は、生徒が生パスタを使った料理を教わり、その後、宝があらかじめ用意しておいたパスタとワインをいただきく。生徒が作ったパスタはお持ち帰り。また、希望すればオプションで、「浮気」「セックスレス」などの悩み相談ができる場所でもあります。オプションの心理カウンセリングは無料。果たして宝のアドバイスとは…!?
読むだけで少し心が軽やかになる作品です。 シェフである夫に失踪された宝さんは、1人残されたお店で生パスタ教室&心理カウンセリングを始めます。 悩み相談をするお客様よりも宝さんの方がずっと辛いのでは…と思うものの、強く明るく可愛らしい宝さんの言葉にたくさんの人が救われていきます。 宝さんのカウンセリングで素敵だなと感じた点は、その人が呼ばれたい名前で呼んであげるところです。 大人になると名字で呼ばれることが多いし、子どもがいる人は〇〇ちゃんママだったり仕事している人は役職名だったり…属性をとっぱらった自分を呼んでもらえる機会が減る気がします。 好きな名前で呼ばれて、ひたすらにパスタをこねて、美味しいワインをいただいて、多くの人が宝さんに心を開く理由がわかる気がしました。 失踪した夫のことは最後まで好きになれなかったけど、宝さんが納得して前を向けるようになったのはよかったなあと思います。 読者は宝さんのパスタを食べることもお話しすることもできないけど、自分の心を開放するヒントはたくさんもらえる作品でした。