あらすじ

アレックス渾身の拳を跳ね返し「競<セリ>」に勝利したナーグォには、指名通りにアキラをヨメゴとして抱く権利が与えられた。ナーグォの人とは思えぬ肉体に思うがままに蹂躙されていく最愛のアキラの白い肌。血を吐く思いで耐え忍ぶアレックスだったが、アキラの涙を目にして決死の覚悟を固める。一瞬の隙を縫ってジウベエの刀を奪い、ナーグォの局部を一刀のもとに斬り落とすアレックス。激昂し「捕らえろ、殺せ」と叫ぶジウベエを静止させたのは、会場に響く五人の少女の歌声だった。一方、座礁したアキラのクルーザーを発見した啓太たち。啓太の読みは的中する。「シュウカク」で荒らされた船内に残されていたのは、シマビトたちの理解が及ばなかったガジェットと武器弾薬―― 五感の官能を走り抜ける刺激の先で花開く静寂の地平にこそ人は救われるのか――波一つ立たない穏やかな水面の境地にこそ咲き乱れる生命の歓びそのものが救いなのか。剥き出しの人間存在の輪郭を描き出していく、トライバル・サバイバル・ストーリー!単行本限定、大奥でセイナたちを待ち受ける「キヨメの儀」を描いた『インゴシマR・ハラエ』収録!
インゴシマ 1巻

修学旅行先へ向かう高校生の一行を乗せた客船が、嵐に遭遇して難破してしまう。流れ着いた海図にない島―― そこに住まうのは、不気味な日本語を話し、野蛮な生活文化を営む「シマビト」だった。人が住む島だったと安心する生徒たち。だが直後、シマビトによる生徒たちの【捕獲】が始まる! 飲み水さえも満足に手に入らない極限状況の中で、シマビトたちの圧倒的な暴力にさらされるうちに、少年少女たちはその本能を少しずつ剥き出しにされていく。すべての道徳が吹き飛んだあとでも、人は人としていられるのか――獣に堕ちてしまうのか。命と生の意味を突きつける、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 2巻

座礁した客船にたどり着いた啓太たち。そこにも色濃く刻まれた「シマビト」の襲撃の跡におびえながら、炎がくすぶる船内の探索を始めていく。一方、洞窟で啓太たちの帰りを待つ一行は渇きに苦しんでいた。シマビトから受けた傷をもとに高熱を出した橘にさえ、飲ませる水がない。焦りを深めるさくら。甲斐谷は市原を洞窟の奥に誘う。水源があるはずだ――そう語る甲斐谷の目には、暗い淫虐の色が浮かんでいるのだった。誰が正常で、誰が異常なのか――その境界線を引くのは誰なのか。昨日までの日常が目の前の非日常に侵食されていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 3巻

手持ちのデバイスを駆使して島の調査を始めた啓太。シマビトたちの狂った風習が少しずつ明らかにされていく中で、啓太は葵の居場所についても手掛かりを得る。そこに現れた、英語を話す女――アキラは、二年前にこの島に流されてきた生存者だった。無謀だと制止するアキラを説得し、葵の救出に向かう啓太。一方、囚われの身の葵は島の王ガモウの前に引き立てられ、その妻として迎え入れられてしまう。希望は人を救うのか――絶望の深さを際立たせるに過ぎないのか。正気と狂気の間で加速していく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 4巻

島の王ガモウの屋敷に連れて来られた葵を出迎えたのは、ガモウの妻のうちのひとり、大矢野桐花だった。自らも「流されてきた人間」だという桐花の口から語られる、島に漂着した人間の運命―― それは葵の想像を絶する過酷なものだった。一方、洞窟の奥で「何か」を見た高崎は別の場所へ移ることを強行するが、夜雨と満潮の影響で道を見誤る。さくらの体調が悪化したことを受け、朝まで岩陰で雨風をしのがざるを得なかった一行が昇ってきた陽の下に見たのは、岩礁に打ち上げられた一艘の救命ボートだった―― 積み重ねられてきた暴虐の歴史を裁ける者はあるのか―― 時そのものが判決を下すのか。生きようとする意志が互いの運命を絡め合う、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 5巻

無残な姿に成り果てた太一が残された力を振り絞るように語る、異形のシマビト「コリオ・インゴ」の残虐非道。怒りに衝き動かされた高崎は復讐の意志を固めるが、生き延びることが先決だと市原に諭される。啓太とアキラは合流を急ぐも、先に高崎たちを発見したのはコリオの手勢だった。一方、島における奴隷の身分「イヤツコ」に落とされた若林は、同じ立場にいる西洋人アレックスから脱出プランの話を聞き出す。アレックスは語る。リスクはあるがチャンスもある。飛び込めるか否かは、お前次第だ―― 荒ぶる運命の渦の中で、うねりに翻弄される者は闇に呑まれてしまうのか―― 希望を紡ぐ者を照らす光はあるのか。選択の重みそのものが生死を選り分けていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 6巻

漂着直後の「ギシキ」で生贄に選ばれなかった茜・加奈・薫子の三名は、薬草による陶酔の中、シマビトたちに凌辱の限りを尽くされる。ようやく男たちの手から解放され、朦朧とした意識のまま粗末な牢獄に放り込まれた薫子の耳に届いたのは、さらに過酷な運命が自らを待ち受けていることを告げる乾いた声だった。 一方、奴隷身分「イヤツコ」の集落に身を潜めている若林は、島の王・ガモウが集落を訪問するのを見る。ガモウの腹心の部下「ジウベエ」が告げたのは「エギ」の開催。それこそが、アレックスが待ち侘びていた、脱出につながる唯一にして絶好の機会だった―― 生そのものに普遍的な価値があるのか―― 死こそが業苦を逃れるために通過すべき門なのか。論理と倫理がそれぞれの形で裏返されていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 7巻

島からの脱出を狙うアレックスが待ち望んだ機会、「エギ・タイサイ」。その会場は島中のシマビトが集う大きな宴となっていた。ガモウに伴われて席に着いた葵が目にしたのは、見世物として裸の身で吊られる加奈と茜の姿だった。ガモウは決然と告げる。「弱者は弱者らしく、強者は強者らしく――それが道理だ」と。一方、参加者のひとりとして会場に足を踏み入れた若林は、島の論理に巻き込まれてしまった生徒たちを目の当たりにして自らの不甲斐なさに苛まれる。いよいよ幕を開ける「エギ・タイサイ」。参加者たちの眼前に現れたのは、アレックスが「死」と呼ぶ、異形の巨体だった―― 圧倒的な力こそが望みを叶えるための鍵なのか―― すべてを手に入れた者が宿すそれを力と呼ぶのか。血と執念の狭間で紡がれていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 8巻

辛くも「エギ・タイサイ」に勝利した若林とアレックス。死闘に興奮を煽られたジウベエが、狂気に瞳を歪ませて二人の前に現れる。華奢な身から漂う濃厚な血の匂いに、生き延びるための戦いは簡単には終わらないことを改めて悟る二人。一方、偵察のためにエギの会場に潜入していた啓太は、ガモウの横に見つけた葵に思わず呼びかけてしまう。絶対に助ける、そう叫んだ啓太の脳裏に、嵐までのタイムリミットが迫っていることを予感させる「ビジョン」が浮かぶ―― 希望を繋ぎ止めるための恭順ならば呑み込めるのか―― 隷属を否定した先にのみ見える隘路をあくまでも行くのか。生の形そのものが表と裏から運命に試されていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 9巻

森の庵に暮らすマオモとマイルの元で不思議な共同生活を始めたまんじゅうとサイコ。マイルが「カタキを取る」と誓って手を合わせるのは、かつてガモウから理不尽な死を強要された父親の遺影だった。一方、アキラの洞窟に戻り、偵察から得られた情報を高崎たちに知らせる啓太。加奈と茜は若林とともに生きていた。そして葵も、島の王ガモウの「ヨメ」として命を繋いでいた。赤城はエギの会場で確かに薫子を見たという。その全員を連れ戻すために、立案した作戦を説明する啓太。力を貸して欲しい、必ずみんなで家に帰るんだ―― 迫りくる刻限が一筋の希望すら押し潰してしまうのか―― 僅かな可能性にでも賭けるその意志が切り開く時間をこそ明日と呼ぶのか。時とともに流れていく血と運命が綴る、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 10巻

脱出のためのタイムリミットが迫る中、アキラはアレックスを探していた。熱狂する観衆の前で闘技の「勝者」と讃えられた男をあえて殺すことはしないはず。アレックスはまだ生きている―― その確信を胸に、アキラは島の中心部へと潜入していく。一方、足を痛めた葵を背負って懸命に走る啓太だったが、あと数歩で森に逃げ込めるというところで、ガモウが二人の前に立ちはだかる。「ヨメゴ」を返せと迫るガモウに、啓太は自分の覚悟を言葉にして返す。葵はお前なんかに渡さない――人が他者を求める感情の根源に横たわる暗く温かなものを愛と呼ぶのか―― 極限の状況で蠢き出す本能の働きを愛と錯覚する甘さこそが人たる所以なのか。信じる絆がそれぞれの形に編み込まれていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 11巻

ガモウと対峙する危機的な状況をマイルに救われた啓太と葵。運ばれた先の森の庵でまんじゅう・サイコと再会を果たした啓太は、庵の主・マオモから衝撃的な話を聞かされる。島から出る方法はある。ただし、それは「嵐の到来を待って船を出す」やり方ではない―― アキラの計画の失敗を悟り、庵を飛び出していく啓太。一方、島の「ツワモノ」として、嵐に運ばれてくる「オメグミ」の収穫を指揮するアレックスは、シマビトの人員を局所的に集中させることによりアキラが脱出するための間隙を作ろうと企む。生きて島を出た彼女が、米海軍の艦隊とともに戻ってくることを信じて―― 暗闇に射す一筋の光を希望と信じて手を伸ばすのか―― その手が絶対に届かないと知った時の戦慄の鋭さこそが人を絶望させるのか。重ねてきた思惑が運命の波浪に弄ばれていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 12巻

嵐を利用したアキラの作戦は失敗に終わる。再び島に漂着した彼女は小早川とともに今回の「オメグミ」として捕らえられてしまった。船から放り出されていた陸を救出した啓太は、高崎、梨帆、さくらとの合流を果たし、マイルとともに改めてマオモの庵へと戻る。マオモが語る島からの脱出方法、「結界<ハザカイ>に縁<ムスビ>を与える」――その意味を解き明かすために。同じ頃、島の各地に散った吉ノ宮高校の生徒たちも生き残るために力を尽くしていた。「マジモノ」の煙に酩酊しながらも牢を出ることに成功した橘は、シマビトたちに陵辱されていた赤城を救い出す。一方、薫子は、自らの命と肉体を賭してガモウへと接近していく―― 砕け散った希望の欠片をさえ拾い集めることが未来に繋がるのか―― 古い執着を断ち切り新たな地平に飛び上がらんとするその跳躍をこそ希望と見るのか。瞬間ごとに運命の色が入れ替わっていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 13巻

チオモによって進められるオメグミのセンベツ。今回のニエには小早川が選ばれてしまう。若林は小早川の救出のために動き出し、橘と赤城もそれに呼応する。その直後、姿を見せたガモウはセンベツの場を埋めた群衆に向かって宣言する。「此度のオメグミは我がヨメゴに非ず。娶りたくば、奪い合え」――一方、マオモの庵で、これまで得られた情報をもとに島からの脱出について推論を重ねる啓太たち。島を出るためには、島内に八つ存在するという禁足地<オソロシドコロ>で「カムの柱」に働きかけて「ブッコダマを起こす」必要があるという。だが、その方法は――? 曲がることのない意志が本来あるべき道を浮かび上がらせるのか―― 望むべくして望んだ針路を進む歩みの積み重ねをこそ意志と呼ぶべきなのか。押し寄せる非情の狭間に運命の炎が揺らめく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 14巻

オメグミの奪い合いに勝ち残ったガモウ腹心の「カンシ」たち。報酬として自らのヨメゴに迎えるべき女を指名することが許され、入札による「縁組」が進んでいく。囚われの身としてオメグミの立場に陥ったアキラを迷わず指名するアレックス。同じくアキラを指名した巨漢・ナーグォとの「競<セリ>」が始まる―― 一方、若林の小屋を出ることに成功した加奈と茜は、改めて島からの脱出のために動き始める。船が漂着した砂浜へ向かおうとする二人の前に現れたのは、梨帆を犯そうとしたところを高崎に咎められ消息を断っていた委員長・甲斐谷だった―― 肉体に宿す力こそが希望へと繋がる狭き門扉をこじ開ける最初の鍵となるのか―― 底の見えない絶望の断崖を飛び越える際に湧き起こるそれを漲らせることこそが肉体に与えられるべき最後の役回りなのか。肌を走る予感が未来を紡いでいく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 15巻

アレックス渾身の拳を跳ね返し「競<セリ>」に勝利したナーグォには、指名通りにアキラをヨメゴとして抱く権利が与えられた。ナーグォの人とは思えぬ肉体に思うがままに蹂躙されていく最愛のアキラの白い肌。血を吐く思いで耐え忍ぶアレックスだったが、アキラの涙を目にして決死の覚悟を固める。一瞬の隙を縫ってジウベエの刀を奪い、ナーグォの局部を一刀のもとに斬り落とすアレックス。激昂し「捕らえろ、殺せ」と叫ぶジウベエを静止させたのは、会場に響く五人の少女の歌声だった。一方、座礁したアキラのクルーザーを発見した啓太たち。啓太の読みは的中する。「シュウカク」で荒らされた船内に残されていたのは、シマビトたちの理解が及ばなかったガジェットと武器弾薬―― 五感の官能を走り抜ける刺激の先で花開く静寂の地平にこそ人は救われるのか――波一つ立たない穏やかな水面の境地にこそ咲き乱れる生命の歓びそのものが救いなのか。剥き出しの人間存在の輪郭を描き出していく、トライバル・サバイバル・ストーリー!単行本限定、大奥でセイナたちを待ち受ける「キヨメの儀」を描いた『インゴシマR・ハラエ』収録!

インゴシマ 16巻

チオモの隊列を急襲した若林たち。赤城とともに奮闘し、小早川の救出を成功させた橘の胸中には、真剣で人を斬ることにためらいをなくしてしまった自分自身の変化を畏怖する感情が芽生えつつあった。チオモは殺さずに人質に取ることを決める若林。期せずして島の女王を手中に収めた三人は、チオモの慰み者にされていた相川とともに、啓太が飛ばすドローンに誘導され、葵や市原たちが待つ海沿いの拠点に辿り着く。一方、反旗を翻した「ツワモノ」の一行に母・チオモをさらわれたことを知ったガモウは激昂する。その怒りに同調しながらも、ガモウをミガトの務めに専心させるため、女王奪還の使命を自ら引き受けると名乗り出たのは―― ガモウが厚い信頼を寄せる男、副王<ガイナ>のシンジだった。いくつもの生命の火柱が重なり交錯するその一点にこそ絞り込まれた運命を見出すべきなのか―― 予め定められた地点へとそれぞれの魂を導いていく大いなる機構そのものを運命と呼ぶべきなのか。過去も未来も今この瞬間の表裏として織り込まれていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 17巻

啓太たちが乗っていた客船フリージアの船体の「半分」が太平洋上で発見された。ようやく飛び込んできた一報を受けて、吉ノ宮高校では緊急の記者会見が開かれる。だが、校長・宇野沢が伝える情報は、生徒たちの家族を失望させるものだった。発見された船体の中に乗員や乗客の姿は認められず、彼らの安否は依然として分からないままだという。要領を得ない説明に対して、一人の女性記者が宇野沢に噛み付く。彼女は自らを「伊吹七瀬」と名乗った── 一方、チオモの奪還を至上命令としたシンジの手勢が迫るマオモの庵で、啓太はその人質・チオモを用いた島からの脱出プランを説いていた。「王の母」はガモウに対する絶対的な切り札になると話す啓太だったが、そのプランはマイルによって即座に否定される。ガモウに対する「交渉」は「宣戦布告」と見なされる、皆殺しにされて終わりだ…そう怒るマイルに、啓太はひとつの策があると切り出す。揺れ動きながら交錯する復数の目線が偶然の連続の中で一致するその一瞬にこそ真実はあるのか──傑出した一つが全ての目線を断絶させた後に立ち現れる水平な世界をこそ真実と名付けるべきなのか。生きるための熱の軌跡が螺旋状に絡み合う、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 18巻

再び甲斐谷による凌辱の標的となってしまった加奈と茜を救うべく、ドローンを操る啓太からの指示を受け、高崎・橘とともに二人のもとへ急行する若林。手下のシマビトが一掃され、慌てて命乞いと自己弁護を始める甲斐谷をそっと抱き締めた若林は言うのだった。「甲斐谷、よく生き抜いた」── その頃、マオモの庵の一室で、赤城と小早川は二人だけの時間を過ごしていた。酒の酔いも手伝い、赤城に対する感情を抑えきれなくなる小早川。「あなたが学校に残ってくれて良かった」潤んだ瞳で見詰められる赤城もまた、小早川への想いを自覚していた。視線を絡ませた二人は、教師と生徒という立場の間に引かれた線を越えていく。決壊の時が近付いているという言葉にならない切迫の予感が、人と人の間に確かなものを取り結ばせるのか──心の間に通い合ったものの手応えと肌触りこそが、限界状況にあってもなお、人を人として立ち上がらせるのか。人間存在の輪郭に沿って感情と熱量が振り切れていく、トライバル・サバイバル・ストーリー!

インゴシマ 19巻

一度はマオモの庵に辿り着いたものの、追い付いて来ない甲斐谷の身を案じた若林は来た道を引き返す。その途上で見たのは、切断されたばかりの若い男の「足」だった。甲斐谷のものなのか、そうだとすれば本人は足を切断されたあとでどこかに連れ去られたのか…だが…何者に…? 浮かぶ問いへの答えを考える暇もなく、インゴ将<タスク>衆「ギョウ」のひとり、ゾウジョウが居合の刃にて若林に斬りかかる! 一方、遭難以来の再会を果たした葵と加奈をはじめとする吉ノ宮高校の面々は、庵の温泉で久し振りの穏やかな時間を過ごしていた。生き延びて相見えることができた喜びとともに、温かな湯に身を浸す一同。だがその頃、女王チオモの奪還を目指して森の中を進んでいたシンジたちもまた、マオモの庵に到達しつつあった。啓太が仕掛けた罠<トラップ>が発動し、開戦の火蓋が切って落とされる── かけがえのない絆を保守するためならばこそ、人は自らの生命を盾にもすることができるのか── 全存在を賭けた闘争の中でこそ感じられる安息の重みが、男と女をその根源から奮わせるのか。命運の光線が交錯する一点に向けて白熱した感情が収束していく、トライバル・サバイバル・ストーリー! 【電子版単行本:2024年8月31日発行】