あらすじ奴隷使いサリバンの手に落ちた王都リバレーディア。エクレルトリカ姫は反逆者として国を追われ、靴磨きの少年レゾとともに王都奪還の旅に出る。『覇者の腕輪』の力でその身を奴隷にやつして。しかしサリバンの王都侵攻の狙いがまさしくその『覇者の腕輪』であった。「友達になろうよ」レゾにささやくサリバンの真意とは? 舞台は王都の玉座の間。最後の戦いがはじまる!
エロかわな表紙ですが存外読み応えがあって好きな作品です。 ヒロインの姫さまがとにかく途方もなく高潔で慈愛と正義に満ちていて、そんな彼女と主人公の絆の物語を、あろうことか暴力的エロスの皮で包み込んでしまったという非常に挑戦的な作品です。読んだ瞬間ノーガードの頭を殴られ胸を撃たれましたね。半端な覚悟じゃ描けないストーリーなんじゃないかなと思いました。 私がこれを読んで好きだなぁ凄いなあと思った点は、本当の意味での「プライド」の高さというの描いているところですね。民を守り、友を救う。それが彼女のプライドであり、そのために鞭打たれ踏みつけられ傷つくことを受け入れるのに微塵の躊躇もありません。そんな人間離れした精神を、100%理解し寄り添うことのできる主人公もまた常軌を逸した存在でしょう。彼は読者一般人が持つモラルや常識、正義感と呼ばれる嫌悪感など、そういった概念に一切囚われることなく、姫さまだけを信じ抜くことができるのです。信頼関係や以心伝心、パートナーシップといった類のものの究極系とも言えそうです。 漫画やラノベに限らず映画なんかでも、「舞台は中世欧州風なのに社会通念やモラルなどは現代のそれなのが違和感」ってツッコミはよく目にしますが、この「奴隷姫」は狙ってか意図せずか結果的に読者の現代っぽい感覚を上手にくすぐってくるなって印象ですね