ウッド・ノート【第3巻】
私立水瀬高等学校に転入し、そのバードウォッチング部を「ウッド・ノート」と名付けた唐須一二三。部の一体感は日増しに高ってゆき、部員たちは共に鳥たちの姿を追い、美しさに惹かれ、時に寄り添い、その厳しい環境で寄り添い生きてゆく姿に涙する、という充実した日々を過ごしていた。唐須一二三と恋人、穂刈田ひわの絆も深まってゆくが、部長の大潟新人の幼馴染であり、ウッドノートの部員でもある小椋ゆずりは突っ走る唐須について行こうとする「ひわ」がいつか壊れてしまうのではないかと懸念していた。そんな中、自分のかつて在籍していた小雀高校バードウォッチング部の制作したビデオに刺激を受けた唐須はひわを連れて冬の海にウミウを撮影しにゆき、これを知ったゆずりも後を追う。一人でウミウを撮影しに崖下に降りた唐須を追って自らもを崖下に降り、これ以上無茶をしないようにと唐須を諫めるゆずり。だが使っていたロープが切れてしまい、唐須とゆずりは崖下から動けなくなってしまう。強風と荒波にさらされ絶体絶命の二人。ゆずりを救うため唐須が下した決断は……!? 『すくらっぷ・ブック』『ぶるうピーター』に続く小山田いく青春三部作第3弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『昔はたくさん、昆虫や馬、魚といった動物のプラモがあったのに、最近はメカ物ばかりで、とんとその姿を見せなくなりました。鳥のプラモがあったら、羽毛の質感をあらわすのにいくら苦労しても、たくさん作るんだがな~…などとボヤきながら、紙ネンドの原型の上に、色づけした綿をはっては、オリジナルの野鳥模型を作っています。』
ウッド・ノート【第4巻】
私立水瀬高等学校に転入した唐須一二三はそのバードウォッチング部を「ウッド・ノート」と名付け、部員たちと充実した日々を送っていた。ある日、恋人の穂刈田ひわと共にウミウを見に冬の海辺へ向かった唐須は、追ってきた小椋ゆずりと共にアクシデントに合い寒風と波のたたき付ける崖下から動けなくなってしまう。唐須は生き延びるために傷ついたウミウを殺し、ゆずりと共に食べて危機を脱出するが鳥を殺した罪の意識に苛まれれ、ウッドノートを去ろうとする。悩む唐須を見ながらもなす術を知らないひわ。唐須を元気づけようと傍に寄り添うゆずり。そんな中、学校のそばの雑木林で火災が発生。逃げ惑う野鳥たち。唐須は鳥たちの命を救うため、ひわと共に燃える林の中に飛び込んでゆく……!? 特別エッセイ漫画『ウッド・ノートの素 鳥とんだ!はばたき・1 ヨタカとスズメ』も追加収録した『すくらっぷ・ブック』『ぶるうピーター』に続く小山田いく青春三部作第3弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『我が家は、長野県小諸市の市街地のはずれ…窓からは、すぐ近くの山が見渡せます。鳥もたくさんすんでいるので、よく山へでかけるのですが、最近、山の中まで建物が建ちはじめ、鳥が減るのでは…と心配していました。――が、どうして鳥たちもシタタカなもの。庭にも、キジはでるわ、カッコウはくるわ、ゴイサギは飛ぶわ…。当分、にぎやかな毎日が過ごせそうです。』
ウッド・ノート【第5巻】
恋人のひわが隣の部屋に引越してきた! ウッド・ノートも順調! 飼っているカラスの九郎に子供ができて! と平和で安穏とした日々を送る唐須。だが、ある夜、家のそばに現れたヨタカを追った唐須はふと疑問にとらわれる。今の自分はこのヨタカを追いきれるのか? このままの自分ではすべてが中途半端になってしまうのではないか? ・・・本当に好きな事、今やらないでいつできるんだ・・? 唐須は存分に鳥を追うため、旅に出ることを決意する。 旅先から届く手紙に唐須の様子を知りたくなったひわは卓也と共に唐須を泊めていたという老婆の家へ。既に次の目的地に向かっていた唐須は道中で知り合った、トキのロボットを作っているという少年にアドバイスを与えるため新人に連絡を入れた。すかさず、新人はひわたちの帰りも待たずに唐須の元へ行ってしまう。浮き足立つメンバーたちに危機感を抱く、ゆずり。そんな時、ウッド・ノートの存在を揺るがす事件が! その他、唐須が出合った、タカだけを見るバードウォッチャーとは?…「カラス対ハヤブサ」など。特別エッセイ漫画『ウッド・ノートの素 鳥とんだ!はばたき・2 宿題の鳥』も追加収録した『すくらっぷ・ブック』『ぶるうピーター』に続く小山田いく青春三部作第3弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『半年ほど前、直江津(なおえつ)の海岸通りを歩いていた時のことです。ハシボソガラスが数羽、車が通らない時を見はからっては、クルミをくわえて数メートル飛び上がり、硬い道路に落としてカラを割っているのです。そして実を食べている時の、カラスの得意そうな、うまそうな顔! ──ふだん人にきらわれることの多いそんなカラスが、大好きです。』
ウッド・ノート【第6巻】
部室の施錠ミスで起きた学校荒らしの責任を問われ、1年間部活登録抹消の通告を受けたウッド・ノート。知らせを聞いて旅から戻った唐須は休学を取り消し、生徒会長に直談判しに行くが決定は覆らなかった。失望の中で部室の片付けを進めるなか、ゆずりは一冊のノートを見つける。それは、前部長の尾久が残したウッド・ノートの記録だった。そして、そのノートにはウッド・ノートが生き残るカギが記されていたのであった! その他、プールで泳いでいたゆずり達女子部員の脇をすり抜けていった者の正体は?の「水中飛行」。台風に巻き込まれてウッド・ノートのフィールドに飛ばされてきたアジサシを故郷に戻そうとする唐須達の奮闘を描いた「ブルースカイ」など。特別エッセイ漫画『ウッド・ノートの素 鳥とんだ!はばたき・3 アワガラスの話』も追加収録した『すくらっぷ・ブック』『ぶるうピーター』に続く小山田いく青春三部作第3弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『いつでしたか、家の近くでブンチョウを見たことがあります。最近、セキセイインコなどの外来種の飼い鳥が、逃げ出して殖えているようです。鳥が自由に飛びまわるのを見るのはうれしいんですが、かつての米国の、強いアメリカザリガニが日本中に殖えて、日本在来種のザリガニが減ったようなことが、鳥の世界で起こらないように願いたいですね。』
ウッド・ノート【第7巻】
魔鳥バジリスク。その怪物は毒を吐き、周りの土地を不毛の砂漠に変える…。いつものホームグラウンドでバードウォッチングをするウッド・ノートのメンバーたち。だが、その日は何かがいつもと違っていた。妙に落ち着きなく飛び立って行く鳥たち。不審に思う唐須たちの前に一人の女が現れた。彼女の名前は堤まりも。彼女は石蕗ノ台高校に通う井津母の中学校の同級生だった。まりもはウッド・ノートのホームグラウンドから「ウッド・ノートが出ていくよう」井津母に告げ、仲間たちとウッド・ノートの邪魔を始めたのであった。「魔鳥バジリスクめ…」家が同じ養鶏場でありながら鳥を嫌い、鳥を虐めるまりもが井津母には、周りの土地を不毛の砂漠に変える魔鳥バジリスクに思えたのだった。果たして…ウッド・ノートはホームグラウンドを守り切れるのか!? その他、渡り鳥の情報を求め皆に内緒で世界中に手紙を送る拓也の「テリトリーは無限大」。パッフィン、拓也、まりもの三角関係勃発?!の「鳥難の相あり」など。特別読み切りエッセイ漫画「鳥とんだ!」第4話も収録。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『ウッド・ノートをはじめてよかったことは、なまけグセが出るひまのないほど、勉強しなければならないこと。取材と称して旅行に行けること。巣箱やエサ台のおかげで、わが家に姿を見せる鳥がふえたことなど…。悪かったことは、焼き鳥を食べる時、タレのしずくに哀愁を感じてしまうようになったこと…です。はい。』
ウッド・ノート【第8巻】
渡り鳥の行く先を知りたい─ ホームグラウンドに来るサンコウチョウの行き先を突き止めるため、そのサンコウチョウの特徴を手紙にしたため世界の文通希望者に出していた拓也。その努力が実る日が来た…! クリスマスを迎え、ウッド・ノートのメンバーはパーティーの準備中だ。特に唐須は浮かれている様子。なぜなら彼が尊敬する動物カメラマンの和木貴彦が一年ぶりにウッド・ノートに立ち寄るからだ。パーティーの準備が終わる頃、ついに和木が現れた。それも新聞記者と一緒に! 新聞記者に不思議がる唐須たちに和木は一枚の写真を見せた。和木が中国、広東省で撮ったというその写真には何と拓也が追っていた、サンコウチョウそのものだったのだ! 手を取り合い喜ぶウッド・ノートのメンバーたち。それは高校の同好会に起きた一つの奇跡だった。明けて翌日、いつもと変わらずホームグラウンドに出かけるメンバーだが、まりもだけ寝坊してしまい和木の車でホームグラウンドまで送ってもらうことに。その中で和木が口にした言葉は・・・?! その他、ホームグラウンドに現れた密漁者にウッド・ノートのメンバーが立ち向かう「光の弾丸」。ウッド、ノートのメンバーがそれぞれ未来に向かって歩き出す「そして2年後」など。『すくらっぷ・ブック』『ぶるうピーター』に続く小山田いく青春三部作第3弾の最終巻!! ウッド・ノート特別読み切り(第0話)も掲載! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『強い鳥、弱い鳥、きれいな鳥…大きな鳥、小さな鳥、いろんな鳥がいます。すごい速度で飛べる鳥、泳ぎがうまい鳥、木の実をじょうずに割る鳥、猟が得意な鳥、本当にさまざまな鳥を見てきました。今、振り返って、このステキな生き物たちの、ほんのわずかのエピソードしか描けなかったのが残念です。しかしつきあっていくことは一生できそうだ…と思っています。』
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