あらすじ震災後の宮城県石巻、いじめられっ子の女子高生・サキが絶望の中で出会った人々、出会った音楽。真っ暗闇の中で見つけた、仄かな灯火…それは「ブルース」。東日本大震災から9年。石巻出身のたなか亜希夫が、震災後の故郷を舞台に描く最新作、少女の物語が動き出す第5巻。
東日本大震災の爪痕が深く残る石巻。 主人公のサキはJKで、いじめられっ子。 原因はほんの些細なこと、「絆」で支え合っていこうと強制される被災地の現状に「絆」という言葉が好きじゃないと言っただけ。 ただそれだけ、と思ったけどよく考えるとそれを聞いた子たちにも大切な人たちを失った経験や絆に支えられて生きているギリギリの背景があるのかもしれない。 たった一度の失言でこんなに目の敵にされるのか、というのはあるけどそこが田舎であることと幼さの重なった条件下では仕方ないのかもしれないなと妙に納得してしまった。 ちなみにいじめについては本作の主題ではない。 ただ、そういう背景があるからこそ出会ったんであろう無頼漢(マスター)との物語が面白い。 潮が底に在る石を中心に巻くことから名付けられたという石巻(らしい)での潮のような渦がサキを中心としていく・・・ のかどうなのかはまだ2巻までしか読み終わってないんでわからないけど、意外とほのぼのしてアットホームな空気がどんどん出てくる。 ハードボイルドばかりなイメージのあるたなか亜希夫作品だけど、「軍鶏」でも「リバーズエッジ〜」でも不思議な脇役たちに支えられて味わい深い作品になっていった。 今作は果たしてどういう流れになっていくのかしっかり読んでいきたい。 間違いなく面白い作品なので是非多くの人に読んでもらいたいなぁ