あらすじ上方の昆布と江戸の鰹節。出汁を合わせひくことで作り上げた澪の『とろとろ茶碗蒸し』は料理番付で初星に!! しかし、順風満帆な「つる家」に怪しい影…!? コミック版『みをつくし料理帖 八朔の雪』完結巻。巻末には原作者・高田 郁氏によるエッセイも収録。
両親を失い、天涯孤独となった澪は江戸へ向かい、神田の蕎麦屋「つる屋」で働き始めますが、腰を痛めた店主に頼まれて、ついには雇われ店主になることに。若くして苦労人の澪ですが、いつでも健気で一生懸命、「つる屋」を守りたい、そして美味しい食事を町の人たちに食べてもらいたいという一心で料理にも取り組む姿が、作品を読んでいてとても愛おしくなります。下がり眉で、ちょっと天然な澪と周囲の人々の繰り広げるドラマの数々にも、人情に触れてジーンときたり、時には笑わされたり、憧れの人への恋心にほっこりしたり、と温かい気持ちになりました。世知辛い世の中にふと疲れた時に、美味しそうな料理と、人の心の温かみに触れられ、しばしの癒しを得られる素敵な作品です。