あらすじ

項羽がいない隙に彭城を奪った劉邦。しかし韓信がいない今、規律は守られず漢軍は略奪を繰り返し、酒に溺れていた。怒りの項羽は彭城に兵を向ける。魏豹ではやはり大元帥には荷が重く、漢軍は項羽の前に大敗を喫し、劉邦も九死に一生を得るのだった。
項羽と劉邦 1巻

紀元前、秦が中国全土を統一し、秦王・政は自らを始皇帝と称した。しかしその圧政に人々は苦しめられ、日に日に怨嗟の声は高まっていた。少年の頃よりキレ者でならす項羽。すこぶる度量のおおきい劉邦。若き獅子たちの歓喜のドラマが、いま始まる!

項羽と劉邦 2巻

酒好き、女好き、なまけ者…、とにかく評判の芳しくない沛県の亭長・劉邦。しかしなぜか劉邦は人望を集め、つねに彼の周りは人だかりができていた。一方、その頃豪腕・項羽は叔父の項梁とともに会稽を占領し、一足早く打倒秦の旗揚げをした!

項羽と劉邦 3巻

范増を軍師に迎え入れた項羽は楚を建国した。諸侯は続々と楚に集まり、項軍は一気に大勢力になる。そして10万の兵を率いて項羽の元にやってきた劉邦。ここに二人は初めて顔を合わせた!その時、范増は劉邦の全身から漂う強い運気に、冷や汗を流すのだった。

項羽と劉邦 4巻

鬼神のごとき強さを発揮し、秦の大軍を撃破した項羽。その勇猛さはあっという間に世間に広がっていた。一方その頃、秦の二世皇帝・胡亥は日夜酒と女におぼれ、実権は宦官の趙高が握っていた。次々と宮中の反対勢力を粛清した趙高は、遂に丞相にまで上り詰める。

項羽と劉邦 5巻

楚の懐王は項羽と劉邦に秦への進撃を命じた。そして先に関中に入った者を関中王とし、後から入った者を臣とするとの令を出す。殺戮を繰り返す項羽、義を重んじる劉邦、二人はそれぞれのやり方で関中を目指す。そしてその道中、劉邦は賢人・張良を臣下に加えた。

項羽と劉邦 6巻

劉邦率いる大軍は、項羽に先んじて遂に念願の咸陽に入城した。約束どおり関中王となった劉邦。しかし劉邦の臣になることが我慢できない項羽は咸陽に兵を進める。劉邦が後に項羽の大きな災いになるであろうことを見抜いた范増は鴻門の会にて劉邦の暗殺をもくろむが…?

項羽と劉邦 7巻

劉邦から咸陽を奪った項羽は早速秦の一族を容赦なく惨殺する。さらに始皇帝墓を荒らし、財宝を全て略奪した上で、焼き払う。そして項羽は戦の恩賞として劉邦に辺鄙な土地、漢中を与えるのであった。しかし劉邦は天下を狙うに最良の土地として、喜んで漢中へ向かう。

項羽と劉邦 8巻

劉邦のために天下の軍師を探しに旅に出た張良。そこで目をつけたのは項羽の下で働く警護兵、韓信だった。范増にはその才能を高く買われていた韓臣だったが、項羽には卑しまれて重く用いられなかった。張良の説得に応じた韓信は、一路漢中を目指す。劉邦の元にとてつもなく大きな獅子が今身を寄せようとしていた。

項羽と劉邦 9巻

漢中にたどり着いた韓信だが、あえて張良の紹介であることを明かさず、仕官を申しでる。しかし韓信の楚での悪い評判を知った劉邦は重く用いようとはしなかった。漢を去った韓信だが、丞相の必死の説得に応じて再び漢へ帰る。そして劉邦も韓信が張良の割符を持つことを知り、ついに韓信を大元帥として用いた!

項羽と劉邦 10巻

大元帥・韓信は厳しい軍律を持って徹底的に劉邦の軍を鍛え上げ、周囲にその能力の高さを認めさせる。そして遂に漢は楚に反旗を翻した。韓信は火攻め、水攻め、と実に見事な計略で章邯を破る。その後もことごとく策謀が成功し、韓信は三秦を平定する。

項羽と劉邦 11巻

遂に咸陽に入場を果たした漢軍。劉邦はかつて咸陽に一番乗りした時に人民に危害を加えなかったため、その人気は絶大であった。そして咸陽に劉邦が最も信頼する張良もかけつけた。稀代の論客として名を馳せる張良は項羽に対抗するため、再び各国の王を口説く旅に出る。

項羽と劉邦 12巻

韓信の活躍、次々と集まる人材、劉邦はすっかり有頂天になっていた。韓信、張良が止めるのも聞かず、項羽を倒すべく、東征を決意した劉邦。不安を感じた韓信は咸陽の守りを申し出、大元帥の印を返す。そして劉邦は周りの反対を押し切って魏豹を大元帥に任じた。

項羽と劉邦 13巻

項羽がいない隙に彭城を奪った劉邦。しかし韓信がいない今、規律は守られず漢軍は略奪を繰り返し、酒に溺れていた。怒りの項羽は彭城に兵を向ける。魏豹ではやはり大元帥には荷が重く、漢軍は項羽の前に大敗を喫し、劉邦も九死に一生を得るのだった。

項羽と劉邦 14巻

大敗の責任を問われ、魏豹は大元帥の任を解かれたが、韓信は劉邦のもとには現れなかった。家柄で魏豹が選ばれたことに自尊心を傷つけられ、咸陽の屋敷に閉じこもる韓信。深く反省した劉邦と張良は、韓信を呼び戻すため、国を挙げての大芝居を打つ。

項羽と劉邦 15巻

韓信がいないと見るや、項羽が攻め入ってきた。劉邦は韓信の残した言葉通り、王陵を大将に任じる。王陵は期待通りの働きで楚軍に大被害を与える。項羽は人質として捕らえてある王陵の母を利用して味方に引き入れようとするが、王陵の母は自ら命を断つ…。

項羽と劉邦 16巻

川を背にして陣を築いた漢軍を見て、趙軍の陳余は自信満々に出陣した。しかしそれはまたしても韓信の策略だった。この世に言う「背水の陣」により、またしても項羽は煮え湯を飲まされる。そして誰も信用しない項羽はついに重臣范増にまで疑いの目を向け、范増は無念のままに項羽の元を去る。

項羽と劉邦 17巻

劉邦の危機を救うため、自ら身代わりとなった紀信。同じく捕らわれた従公、周苛など、劉邦の部下は項羽が寝返りを勧めるのも聞かず、次々と自ら命を絶つ。なぜ自分の部下は裏切るのに劉邦の部下は信義を貫くのか。その原因が自分自身にあることに項羽は気づいていなかった。

項羽と劉邦 18巻

失態を犯し兵を取り上げられた韓信は、麗食其が相手を説得し降伏させていたにもかかわらず、功を焦り斉を攻め落とした。韓信を天下人と見たカイ通は韓信に斉王となることを勧め、韓信は恐る恐る劉邦に申し出る。烈火のごとく怒る劉邦だが、それまでの功績を考え、それを認めるのだった。

項羽と劉邦 19巻

韓信の策によって追い込まれた楚軍。項羽は劉邦に降伏しなければ人質にとっている劉邦の父を殺すと言ってきた。心揺らぐ劉邦に対し、張良は項羽と和睦し、父親を連れ戻すことを提案する。そしてその命を帯び、侯公が和睦の使者として項羽の陣に乗り込んだ!

項羽と劉邦 20巻

漢と楚はついに和睦した。しかし張良はこの機を逃さず、すぐに項羽を討つことを劉邦に説く。しかし義を重んじる劉邦はその決断ができず、ようやく重い腰を上げたときはもう項羽は迎え撃つ準備を万端にしていた。さらに戦の恩賞に不満の韓信と英布が援軍に現れず…。

項羽と劉邦 21巻

遂に漢楚は最後の激突の時を迎えた!味方は次々と破れ、ある日漢軍に囲まれた項羽は四方から楚の歌が流れてくるのを聞き、敗戦を覚悟する。それでも最後まで鬼神のごとき強さで戦い続ける項羽。項羽、劉邦、二人の獅子の運命は…。横山光輝の絢爛たる史記の世界、遂に完結!