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平成3年10月10日より9年3月31日まで五年半、1935回にわたって朝日新聞朝刊に連載され、スタジオ・ジブリによりアニメ映画化(「ホーホケキョとなりの山田くん」)もされた国民的(!?)4コマ漫画全作品を半年分ずつ1巻にした文庫版全集。各巻末に「ワイはアサシオや」「がんばれ!!タブチくん!!」など往年の名作のオマケ頁付き。
おとうさん山田たかし、おかあさんまつ子、長男のぼる、長女のの子、おばあさん(まつ子の母)山野しげ、そして愛犬ポチ。5人と1匹の山田一家が送る太平楽な日々を描く4コマ漫画。家族や学校のあり方が問い直されている現在、この家族の生き方は、ぎすぎすした世知がらい現代社会における一服の清涼剤ではないだろうか。
おとうさんの山田たかしは、会社では一番辛い中間管理職。ノンキャリ・ウーマンに囲まれ、胃の痛くなるような毎日を送っている。帰宅しても、妻の母と同居で、たまのゴルフや家族そろってのドライブ以外は、パチンコに行くかゴロ寝をしているといったテイタラク。完全に粗大ゴミ扱いだ。存在感を示そうと日曜大工にいそしむが……。
おかあさんのまつ子の一日は、朝、おとうさんに起こされて始まる。きのうの残りを朝ごはんにしておとうさんと子供ふたりを送りだすと、とりあえず昼寝。おばあさんと昼ごはんを食べ、なんのあてもなく買い物に。また昼寝をして、夕ごはんの献立に頭を悩ませる。夜は、昼寝でためたエネルギーをゲームにぶつける――これのくり返しの毎日。
山田家の長男のぼるは、第三中学校に通う、ごく平均的な――もとい、あまりに平均的な中学生だ。成績はみごとにクラスでも、学年でもまん中。クラブ活動は野球部に所属するが、弱小チームゆえ、グラウンドの練習スペースも満足に確保できない。CDはしぶく奥田民夫、好きなタレントは菅野美穂。はやく卒業したいけど、将来の希望は特にない。
一家の人気者、長女ののの子は、食いしん坊で声の大きな、第三小学校の三年生。担任の藤原先生の下、久保くん、菊池くん、鈴木くんの三バカトリオや、みみちゃん、ななちゃんなどの仲よしたちと、楽しく大らかに暮らしている。勉強は嫌いだが、体を動かすことは何でも得意だ。何事にもめげることなく、のほほんと生きるののちゃんに声援を!
まつ子の母山野しげは、元気いっぱいなおばあさんだ。TVで、すもう、高校野球、サッカー、ボクシング、将棋の名人戦などを観戦するのが最大の趣味だ。まつ子に代わって晩ごはんを作ることがあるが、ビーフ・ストロガノフに挑戦するなど、無謀な行動に出ることも。いつまでも元気なおばあさんの姿は我々に勇気を与えてくれる。
山田家の愛犬ポチは、いつ頃だったか拾われてきた雑種である。呼んでも聞こえない耳、吠えたことのない口、お手もしない前足、振らないシッポ――と、およそ愛想というもののない犬である。散歩は大嫌い。行ったとしても自分のきめたコースしか回らない。気に入らないエサには見向きもしない。雪が降っても、喜んで庭を駆けまわらない。
山田一家をとりまくバイプレイヤーたちも、多士済々。おとうさんの実兄山田よしおは定年退職後、アパート経営をして毎日が日曜日人生を送っている。おかあさんの親戚で、小説家のタブチ・コースケは、自分の本が売れなくても、評判が悪くとも、落ち込むことがない、打たれ強い性格だ。市民講座で、ミステリの書き方を教えたりしている。
バイプレイヤーの中で、もっとも人気のあるのは、ののちゃんの担任、藤原瞳先生だろう。「勉強でもしましょうか」といういい加減な先生が、どうしてこんなに我々の共感を呼ぶのか。ヤブか名医か、いつも飄々乎とした広岡医院の広岡先生。ののちゃんの同級生の両親が経営しているキクチ食堂の不死身ばあちゃんはじめ、千両役者ぞろい!