あらすじ

遂にその波乱に満ちた生涯を閉じた北斎。八十八回もの転居を繰り返し、九十歳まで生きた北斎が追い求めたこの世の果てとは何か…?浮世絵師・北斎を描いた人生狂言、衝撃の完結!
狂人関係(1)
江戸の粋と風狂の中で生きた天才浮世絵師、葛飾北斎。酒を愛し、風流を愛し、新しい才能に嫉妬し…、画狂人・北斎の知られざる日常。彼が人生をかけて追い求めたテーマはなんだったのか。日本一の絵師としてその名を知らしめた人生を、昭和の絵師と謳われた上村一夫の筆がきり裂く!
狂人関係(2)
北斎に負けずとも劣らない才能を持つ、八方破れの若い絵師・捨八。北斎を師と仰ぎつつ、女を求め、秘画ばかりを描く彼がのぞいた人生の生き地獄とは?江戸の人情切絵図。昭和の絵師、上村一夫の筆が冴えわたる!
狂人関係(3)
遂にその波乱に満ちた生涯を閉じた北斎。八十八回もの転居を繰り返し、九十歳まで生きた北斎が追い求めたこの世の果てとは何か…?浮世絵師・北斎を描いた人生狂言、衝撃の完結!
修羅雪姫

修羅雪姫

時は明治、仕込み杖にした傘を操る美しき女刺客がいた。通り名を修羅雪姫と言う…。その過去は、まさしく修羅!徴兵制を悪用した連中に、父を虐殺され、その時に連れていた赤ん坊まで殺された母は、輪姦された上に、父を殺した犯人の一人に妾とされた。その男・正景徳市を殺して監獄に入った母は、残りの三人に復讐を果たす為に獄史に身体を与え、雪を産んだ。母の怨念を背負った雪は、子供の頃からの厳しい修練に堪え復讐を果たす為に生きる…。収録作「外題之一 隅田川湯文字俎板」以下「外題之二 女伊達血雨傘」「外題之三 愛憎血糸懺悔」「外題之四 死桜小袖白刃舞」「外題之五 鹿鳴館殺人八景」を収録。
関東平野~わが青春漂流記

関東平野~わが青春漂流記

昭和20年8月15日、日本が敗戦を迎えた――。戦争で両親を失い、小説家の祖父と暮らす金太は関東平野の片隅で力強く生きている。そんなある日、風変わりな女の子・銀子が隣に越してきて……。「同棲時代」「修羅雪姫」等で知られる上村一夫が戦後の人間模様を叙情的に描いた名作!!
狂人関係

狂人関係

浮世絵の巨人・葛飾北斎は、大きな屈託を胸に抱えていた。安藤広重をら新しい才能の登場に危機感を覚え、友人・滝沢馬琴の衰えに不安を感じ、焦燥に老いた身を灼かれながら画業に邁進し、引越しを繰り返す日々。その弟子・捨八は狩野派の絵師の倅でありながら枕絵師として頭角を現しつつあった。北斎の娘・お栄と、親思いの八百屋の娘・お七の二人はともに捨八に惚れているが……。北斎と捨八、ふたりの絵師の姿と江戸に生きる名も泣き人々の人情を描いた時代ロマンの傑作。単行本未収録分を加え、完全リニューアル版(全3巻)第一弾!収録作「其ノ壱~参」ほか「其ノ四 寒椿」「其ノ五 お七 七草」「其ノ六」「其ノ七 花だより」「其ノ八 母(前編)」「其ノ九 母(後編)」「其ノ十 お栄のこと」「其ノ十一 まどろみ」「其ノ十二 鎌鼬(かまいたち)」「其ノ十三 雛人形夢反故裏(ひなにんぎょうゆめほごうら)」「其ノ十四 屁熊」を含む全14話を収録。
劇魂

劇魂

バロン吉元の「柔侠伝」、上村一夫の「同棲時代」、滝沢解+ふくしま政美の「女犯坊」、小池一夫+平野仁の「少年の町ZF」、江波じょうじの「トップ屋ジョー」など昭和を席巻した劇画がズズーッと勢揃い! 掲載作品一覧------バロン吉元「柔侠伝」(第1巻第1話 『女掏摸』収録)、上村一夫「同棲時代」(第1巻Vol.1 『今日子と次郎』収録)、原作:滝沢解 作画:ふくしま政美「女犯坊」(第1巻 『怒根鉄槌篇』収録)、原作:小池一夫 作画:平野仁「少年の町ZF」(第1巻 『ラボック光』収録)、江波じょうじ「トップ屋ジョー」(第1巻 『ガンは俺の命だ』収録)
修羅雪姫

修羅雪姫

時は明治、仕込み杖にした傘を操る美しき女刺客がいた。通り名を修羅雪姫と言う…。その過去は、まさしく修羅!徴兵制を悪用した連中に、父を虐殺され、その時に連れていた赤ん坊まで殺された母は、輪姦された上に、父を殺した犯人の一人に妾とされた。その男・正景徳市を殺して監獄に入った母は、残りの三人に復讐を果たす為に獄史に身体を与え、雪を産んだ。母の怨念を背負った雪は、子供の頃からの厳しい修練に堪え復讐を果たす為に生きる…。収録作「外題之一 隅田川湯文字俎板」以下「外題之二 女伊達血雨傘」「外題之三 愛憎血糸懺悔」「外題之四 死桜小袖白刃舞」「外題之五 鹿鳴館殺人八景」「外題之六 極楽法事帳花千両」「外題之七 鏤骨彫心花面影」「外題之八 生命質屋無惨始末」「外題之九 恐喝源次郎朦朧節□1」を収録。
完全版 怨獄紅

完全版 怨獄紅

『肉奴隷の少女の復讐の炎、呪殺の願掛けに励む女の過去、我が子の首をはねた母の狂乱……。目を背けてはいけない。ここに描かれているのは人間の本性そのものなのだから……』昭和45年から青年劇画誌「ヤングコミック」で1年間連載された「怨獄紅」―――。上村一夫の初期の名作として名高い「怨獄紅」は人間の残酷な本性や情念、因業な罪深さを鋭く描き、その才能を世に知らしめた出世作でもある。同業者だけでなく編集者はもとより、映画監督、音楽アーティスト、小説家に至る様々なクリエイターに衝撃と感銘を与えた、非常に『毒濃度』の高い作品である。全25話の短編で成り立つ、この「怨獄紅」は過去単行本未収録であった4話分も含めて完全網羅された「完全版 怨獄紅」として世に再び生まれ出た。時を経て蘇った最高傑作を堪能せよ!収録作「お綱の門」ほか「おかね餅」「お絹怨炎」「淫桃記」「おんな腹」「子堕しお香」「乱華抄」「絡縄」「平安京」「ブルーフィルムの女」「青春日記」「竹馬物語」「隠恋慕」の全13話収録。
60センチの女【分冊版】

60センチの女【分冊版】

漫画家になるために故郷の岩手から単身東京に出てきた健二は、ボロアパートで原稿と格闘する日々を暮らしていた。出版社に出向いては編集長に追い返され、ふてくされていたある日、奇妙な女と出会う。アパートを探しているという女に場所を教える健二。部屋に戻り窓を開けると、目の前にさっきの女がいた。女は今日この部屋に引っ越してきたという。健二の住むアパートと女のいるアパートの部屋は、わずか60センチほどで向かい合っているのだ。妙に人懐っこいその女と隣人同士の生活が始まるが、その日から不思議なことが身の回りに起こりはじめ……。奇才・上村一夫が描く、人情ファンタジーの傑作!
修羅雪姫 外伝

修羅雪姫 外伝

死んでいた朝に海鳴りが哭くいのちの渚を行く女涙はとうに捨てました怨流の道を行く女心はとうに捨てました──小池一夫と上村一夫による『修羅雪姫』から二十数年。上村一夫の急逝により新作が望めなくなってからも作品は愛され、海外へも影響を与えてきました。そして、池上遼一も、この作品に魅了された一人でした。「雪を描きたい」という絵師・池上遼一の想いが、小池一夫に新作『修羅雪姫外伝』を書かせたのです。
愛蔵版 同棲時代

愛蔵版 同棲時代

―――もし愛が美しいものなら、それは男と女か犯す過ちの美しさに他ならない。今日子21歳、次郎23歳、巡る季節とともに移ろい行く愛の行方。歌に映画に一世を風靡した、上村一夫の代表作、単行本未収録の7話分を追加した愛蔵版シリーズ第一弾。収録作「今日子の次郎」ほか「性電車」「喧嘩しぐれ」「春海奇行」「水中花」「蝶々行進曲」「ああ球根」「青い鳥」「記念日」「モナ・リザの微笑」「落花抄」「陸橋」「白い時間」「葬式出演料」「小さな指輪」「緑の季節」「朝顔のこと」「ふしぎな女」「甘い夜」「流行性感賞」「詩人の肖像」「月見草情死行」「帰郷」「風立ちぬ」「海辺の日記」「鈴虫夫人」「花のノクターン」「酔いしれて」「夢について――」「花梨怨歌」「秋風愁雨」「風落ちて曇り立ちけり星月夜」「赤い秋」「冬の旅」「母と子の鎮魂歌」「奇妙な酒宴」「広場」「降誕祭の贈り物」ぼ全38話を収録。
狂人関係
諸行無常の響きあり
狂人関係 上村一夫
野愛
野愛
天才浮世絵師・葛飾北斎という圧倒的な存在を軸に、弟子・捨八や娘・お栄らの生活を描いた作品。 捨八と彼を取り巻く女達の姿が艶っぽく、移ろいゆく四季と相まって心を掻き乱されるのです。 捨八への想いを内に秘めたまま彼を見守るお栄と、派手好きで大胆なお七、正反対のような女2人がなんとも魅力的。 どちらも激しくて悲しくて、どうしようもないくらいに「女」として描かれています。 個人的に一番感嘆したのはお栄の手の描写です。冬は北斎や捨八の世話を焼く手があかぎれだらけになり、だんだん暖かくなるにつれてもとの白い手に戻っていく。綺麗になった頃にはまた厳しい冬がやってくる。 季節の移り変わりとともに、お栄という女の強さと儚さがこの描写に凝縮されているように思います。 手が綺麗になっても、男と女が関係を持っても、浮世絵が完成しても、終わりに向かっているだけである。失われていくだけである。 激情に満ちていながらも、根底に流れる諦念のようなものが美しく儚い作品でした。純文学に出会えました。 決して理想的ではないけれど捨八に惹かれてしまうのは女の性だし女の業ですね。狂おしいほど好きです、捨八。