あらすじ「願いを叶える力」を持つ青年・緒方希和(おがた・きわ)。神が与えた奇跡とも言える特別な力は、同時に必ず代償を支払わねばならない危うい力でもあった。しかし、その秘密を恋人の茉洋に打ち明けたことで、彼女に乞われ「力」を使ってしまう。願いは成就し、その代償は茉洋の身に――。“代償を支払ってでも叶えるべき「願い」とは何か?”
何気なく手に取ってみたけど、いい設定だった。 ごく普通の男子大学生の主人公はある特殊な能力を持っていた。 それは、「願いを叶える力」。 ただし、代償は願いを叶えた人の身のまわりの大事なモノや人でバランスを取るかのような不幸が必ず起きるということ。 半信半疑だったその力に確信をもっていくような描写や、能力の分析・検証って面白いよねーといつも思う。 全3巻という短さの中で、その末路に至った人や、かつての関係者を描いていたのは良かったが、思っていたようなワクワクするような展開には転がっていかなかったので少し残念。 主人公にとってあまり大きい波風が立たずにある意味無事に終わってしまい、投げっぱなしのようなむず痒さが残る。 勝手な言い分だが、一度狂おしいほどの強烈な不幸を味わってほしかった。 この能力の肝は、死神?の意図かそうでないかに関わらず、能力を使わなきゃいけない状況・場面に追い込まれていったときに「願う」かどうか、願ってしまった上でどう対処するか、すべてを突き放し孤独に生きるのか、代償を支払わせるためだけの関係を割り切って作るのか、能力自体にどう抗い戦っていくのか、そのあたりをもう少し具体的に見たかった。 映画『ファイナルデスティネーション』的な方向でも面白そうだったけど、作者さんがやりたかった方向とは違うのかなー。 大事な人を守りたい、という部分が強かったから動かせなかったんだろうか。 大事な人を守りたいからこそ、願ってしまう姿を見たかった。 ハンターハンターのハンター試験でも出たドキドキ二択クイズのような、母を取るか、恋人を取るかのような命題がほしかったなー。 運命と諦めないで泥臭く抗うような、そんな漫画を読みたい。