あらすじ

初子、文沙子、都。五番街で繰り広げられる愛のかたち。それぞれの想いが辿り着く先は…。オムニバス形式で綴られた表題作のほか、「月夜のつばめ」を収録。
五番街を歩こう
初子、文沙子、都。五番街で繰り広げられる愛のかたち。それぞれの想いが辿り着く先は…。オムニバス形式で綴られた表題作のほか、「月夜のつばめ」を収録。
ねこだのみ

ねこだのみ

東村アキコ、西炯子、波津彬子、そにしけんじといった超人気作家4人の描きおろしに21人の猫愛あふれる作家さんの珠玉の過去作品を掲載しました。泣けてくるものから、笑えるもの、じ~んと考えさせられるもの…いろんな猫が集まってきました。時代も、性別も越えた『猫愛』だけで成り立っている1冊です。猫に少しでも興味がある方はお手に取ってください。 ※デジタル版には含まれないコンテンツがあります。予めご了承ください。
岩館真理子 初期読み切り集

岩館真理子 初期読み切り集

【なぞなぞ狂の教師と恋を賭けて闘うちとせ!】イケメン男子・業平(なりひら)くんに熱烈片思い中の高2のちとせ。新任のひな子先生も彼の美しさに目を付け始めたけど、バスの中で彼と急接近するチャンスが…。ところが先生の反撃が始まった! なぞなぞ連発のラブバトル・コメディー。 【同時収録】キッスはせがまないで!
初恋時代

初恋時代

【恋占いが大好きないずみの泣き笑い高校ライフ!】高2女子のいずみの問題点は家族全員が超秀才なのに、自分の成績だけイマイチなこと。だけど毎日元気にがんばってるし、恋にもあこがれてる。そんな彼女がステキな男の子に出会った! はたして彼との相性はどんな感じ…? オトメ色のファーストラブ・ストーリー、前編。 【同時収録】わたしのいじめっ子
キララのキ

キララのキ

ある日、高校生の十秋は、10歳の時木から落ちて死んだはずのキララと出会う。キラワレモノのキ、キキカイカイのキ。キララの物語には、ミステリアスな謎がいっぱい。宝石箱をひっくり返したような感性の輝きと、その不思議さがマッチした超大型ファンタジー!!
まだ八月の美術館

まだ八月の美術館

【幼なじみの2人に、夏が意地悪をする…?】明智くんと百瀬(ももせ)は行く予定だった真夏のコンサートに間に合わず、駅前の美術館に入った。ひっそりと目立たず存在する美術館で2人が出会ったものは…? 表題作ほか岩館ファン待望の珠玉短編が集結! 【同時収録】天気図/春の国/ホロホロ鳥/美代子さんの日記/ピーチとシナモン/サヨナラの約束
白いサテンのリボン

白いサテンのリボン

離婚した父と母、それぞれに引き取られ育てられた藤子と波子。ひとつずつ大人に近づくほど欲しくなる、おばあちゃんの白いリボンのドレス。それは、愛が満たされることの証明……。表題作ほか3編の、それぞれの愛のかたち。じっくりと岩館ワールドを!! 【同時収録】アイリスの小鉢/天使の耳朶/花咲く森の乙女
薔薇のほお

薔薇のほお

満月がきれいなある夜、事故で記憶喪失になった正体不明の少女・のりこ。事故の原因を作ったコンビニの店員・南川の部屋に居候しているうちに2人の間に愛が芽生え始めるが……!? 表題作ほか傑作長編2編も同時収録。岩館真理子の豪華長編読切り集! 【同時収録】ヴィヴィアンの赤い爪/黄昏/世界で1番
おいしい関係

おいしい関係

【楽しいだけの恋愛はダメ?】高校3年生の南たまこは、体育教師の安藤先生と気楽に不倫中。ある日、スキー教室でちょっとかっこいいコーチ、音吉に出会う。その後、何度か音吉と顔を合わせるが、そのたびに性格が違う。実は音吉は、浩一と浩二という、顔はそっくりだが性格は正反対の兄弟だったのだ。そんな中、安藤先生が堀今日子というたまこの後輩と同棲を始めたことを知り…。
ふたりの童話

ふたりの童話

【好きだった男の子と運命的再会!】中学2年生の星河しのぶは、引っ越し先の街で「菅原高志」に出会う。彼はしのぶが小学生の時に思いを寄せていた同級生。だが、ある出来事を機にふたりの距離は離れてしまい、そのまま高志は転校し音信不通に。そんな高志との再会にしのぶは心をときめかせるが、友人が高志を好きだと知り、自分の思いを封印する…。
えんじぇる

えんじぇる

【若い夫婦が天使にした願い事は何?】周作とスウは夫婦だけど別居中で、気持ちがスレ違ってばかり。というのもスウは前の彼にフラれた勢いで結婚してしまったのだ!周作も「僕はきみの元カレとは正反対のタイプ」とあきらめ気味。いよいよ離婚の話し合いをすることになり、2歳の一人娘の親権は…?ぎこちない夫婦の一生懸命な再生の日々、4部作!
五番街を歩こう
「歩こう」の心地よさ
五番街を歩こう 岩館真理子
pennzou
pennzou
単行本タイトルはシリーズ名であり、このシリーズは1987年に週刊マーガレットにて掲載された。シリーズはそれぞれ「金魚草のこころ」、「紫陽花の陰に猫はいる」、「カルミア」というサブタイトルが充てられた3話から成る。単行本には短編「月夜のつばめ」(1988年発表)も収録されている。ここでは「五番街を歩こう」シリーズについてのみ記す。 岩館作品を熱心に読めていないため見当違いかもしれないが、シリーズ3話全てに結婚という概念が登場するのが本作の特徴だ。結婚する・しない、結婚後の行き違い、別れた後が物語の要素になっている。それは直接的にあるいは形を変えて登場人物の心に陰を落としているが、物語の最後には解決をみる。この解決は風が通ったような心地よさをもたらし、どこか楽になれた気がしてくる。また、登場人物の悩む内容には読者にとってもわかりポイント(現時点でそう思っているでもよいし、もし登場人物と同じ立場だったら確かにそう思うだろうなーでも構わない)があり、それも心地よさに作用している。 五番街という地名はおそらくニューヨークの五番街(Fifth Avenue)からとったネーミング。ネタ元の街並み通り、作中の街も当時の都会的なビル街となっているが、たまに出てくる庶民的なアイテム(ちくわとか……)やあんまりかわいくない猫にくすりとさせられたりもする。これらの要素は突き詰めると矛盾しているように思えるが、あまり世界設定にはこだわるなということだろう。こだわらない分、物語に集中できる効果もあるかもしれない。 岩館作品に共通しているあまりにも繊細で美しい絵も大きな魅力だが、たまにあるコメディチックな表情付けや演技もほっと一息つけて良い。 前述の通り、本シリーズは結婚という概念の存在感が大きい。つまり、所謂大人の世界を描いている。それが週刊マーガレットに掲載されていたと考えると驚いてしまうが、「五番街を歩こう」~「月夜のつばめ」以降は週マでの作品掲載がないことから、岩館先生の描きたいものが変化していっていると捉えることもでき (作品世界と混同するのは良くないが、3話の終盤の台詞にそのニュアンスを感じる)、そういった意味では過渡期の作品であるかもしれない。前後の作品を読み、その変遷について考えるのもいいだろう。自分はそうしてみようと思います。