あらすじ

はるか天空から降り続け、3000年前に男性を滅ぼした<サキュバス現象>は、かろうじて生き延びた女性たちをも、滅ぼそうとしている。世界で唯一の男性・姫は、愛する幼なじみ・皇との愛を微かな望みとして生きてきた。<生殖実験>でそれが果たされたとき、過去から託された、人類救済の希望が現れる。看守が本意を明かすとき、最も残酷な運命が姫・皇・霧江に突き付けられる。それは希望か、絶望か――。
テンペスト 1巻

Y染色体、消失。男子、滅亡。――西暦2012年、太陽系に発生した磁気嵐群の影響で、地球上のヒト科のY染色体は絶滅。残された人類は、卵子同士での生殖に成功。地球は女だけの新たな世界に生まれ変わった。だが、運命の西暦3992年。安斎(アンザイ)・Y(イアント)・姫(ヒメ)、誕生。<彼>は、世界にたったひとりの男性となった――。

テンペスト 2巻

<男>は<女>に造られる。――かつて、男女ほぼ同数であった地球に突如として出現し、人類のY染色体を滅亡させた、サキュバス現象。2000年の時を経て、今度は女性滅亡(フィメールロスト)が近づく。人類を救う唯一の方法として、人工的な男性創出実験が繰り返される一方、ウイルス保持者(キャリア)として隔離された皇(コウ)。愛する人を救うため、世界唯一の男性、姫(ヒメ)が選ぶ道とは――。

テンペスト 3巻

<男性消滅(メールロスト)>により<女>だけになった地球は、原因不明のサキュバス現象により今度は<女性消滅(フィメールロスト)>に襲われる。サキュバス予備軍(キャリア)として地下に隔離された皇(コウ)は、自らの健康体を証明すべく原因をつきとめようとする。一方中央では、<K-10Rα>内のカヤシマの体内で2000年ぶりに「卵子と精子の受精」が試みられる。皇と、世界にただ一人の<男>姫(ヒメ)が選ぶ生命への道は――!?

テンペスト(4)

2000年間、誕生し得なかった<男>創出のため、冷凍保存精子による授精実験を開始した中央。すべての被験者が着床に失敗する中、唯一<妊娠>に成功したカヤシマに異変が。一方、女性消滅(フィメール・ロスト)を引き起こすサキュバス現象が中央付近で観測され、隔離中の皇(コウ)がサンプル回収に向かう。男であることを隠し続ける姫(ヒメ)と、彼を嫌悪する皇、ふたりの距離が限りなく縮まっていく――!?

テンペスト(5)

生き延びたことが、罪。女性消滅を引き起こすサキュバス現象が<中央>を襲い、地下施設での生活を余儀なくされた一行。月小路霧江は、自分以外の誰かのために死を賭した行動をした安斎・Y・姫に対し、強い執着を抱く。サキュバス現象を生身でくぐり抜け、なお生き延びた姫は、恋い焦がれた伊集院・R・皇との再会を果たす。だがふたりの心の距離ははるかに遠い。すべてを目の当たりにし、一人嗤う<看守>が握る真実とは―!?

テンペスト(6)

地下施設内で<絶対の大人>として君臨してきた看守(ジェイラー)は、姫(ヒメ)の<種子>を使っての生殖実験を指示する。秘密を隠し通すために、「子どもを産めない」ことを告白する姫。しかし、看守が握っていた真実は、それだけに留まらなかった。<完全なる男性>が存在することが白日の下に晒されるとき、姫に、皇(コウ)に、霧江(キリエ)に、突きつけられる絶望の選択とは――!!

テンペスト(7)

姫(ヒメ)と皇(コウ)と霧江(キリエ)に決定的な亀裂をもたらした“実験”。そこから逃げ出すかのように<サキュバス>被害者回収に赴いた姫だったが、その目にしたものは、信じがたい絶望の光景だった。一方、霧江とともに寝台での“実験”を続ける皇は、その胸の内に危うさを孕みはじめる。また霧江にも、月小路(ツキコウジ)家の血筋の定めが重くのしかかる。三者三様の闇の中にいる彼女らが、手にする希望のカタチとは――。

テンペスト(8)

サキュバス発生地区から帰還し、“生殖実験”という看守の残酷な遊びのため、皇(コウ)の待つ寝台へ向かう姫(ヒメ)。その手には、死んだ母たちからの“遺産”があった。霧江(キリエ)は、再会するかつての恋人たちを目の前に、絶望を深めていく。そして看守と霧江と姫、三人の身体に流れる月小路(ツキコウジ)の血が、その真実の姿を白日の下に晒すとき、滅びゆく世界を救う唯一の手がかりが、眼前に現れる――!

テンペスト(9)

はるか天空から降り続け、3000年前に男性を滅ぼした<サキュバス現象>は、かろうじて生き延びた女性たちをも、滅ぼそうとしている。世界で唯一の男性・姫は、愛する幼なじみ・皇との愛を微かな望みとして生きてきた。<生殖実験>でそれが果たされたとき、過去から託された、人類救済の希望が現れる。看守が本意を明かすとき、最も残酷な運命が姫・皇・霧江に突き付けられる。それは希望か、絶望か――。