あらすじ

やらずの竜に扇動された客は暴れだし、店をメチャメチャに壊してしまった。右手に深い傷を負い、店を追い出されたサブやんはあてもなく街をさまようのだった……。
釘師サブやん(1)

祖母の遺言を胸に秘め、たったひとりで上京してきた天涯孤独のサブやん。そして、「釘師の神様」と呼ばれていた根岸に師事して、日本一の釘師を目指すことに。そんなある日、サブやんが働く店に玉1個だけを買った奇妙な客が来て……!?大衆娯楽の王様・パチンコに命をかけた釘師・サブやんの娯楽超快作!!

釘師サブやん(2)

サブやんの働く店の店頭には、日本全国のパチプロからの挑戦状・金札がズラリと張られていた。サブやんは命をすりへらして戦う、金札勝負を受けようと決心するが……!

釘師サブやん(3)

狙った店は必ずつぶすという、恐怖のゴト師グループ・神竜組に狙われたサブやん。店を荒らし始めた悪名高いゴト師・やらずの竜を迎え撃つサブやんが考え出した秘策とは……!?

釘師サブやん(4)

やらずの竜に扇動された客は暴れだし、店をメチャメチャに壊してしまった。右手に深い傷を負い、店を追い出されたサブやんはあてもなく街をさまようのだった……。

釘師サブやん(5)

行商人・ガブ六の辰と一緒に札幌にたどり着いたサブやん。そこではパチプロのスカウト市である穴市が開かれていた。会場をのぞいたサブやんは、釘師を敵視するパチプロたちに捕まってしまい……!?

釘師サブやん(6)

サブやんは穴市の会場で、立川一家の大幹部・機関銃のマサと勝負することになってしまう。右手を負傷しているサブやんの代わりにライバル・美球一心がハンマーを握るのだが……!?

釘師サブやん(7)

サブやんと機関銃のマサの対決は、立会人のボス・三田源により名古屋で決着をつけることになった。数日後、名古屋の王様会館で、伝説の釘師・釘師宗家の茜正村の審判で再開されるが……。

釘師サブやん(8)

釘師としての道を断たれたサブやんは、愚庵和尚の寺で精神修行に励んでいた。しかし、パチプロたちの挑戦攻勢に折れ、勝負を受けることに。パチプロの地獄の裏場で、五寸釘の小鈴を相手に命をかけた大勝負に挑む!

釘師サブやん

釘師VSパチプロの戦いに終わりはない

釘師サブやん 牛次郎 ビッグ錠
名無し

『となりのトトロ』を見た小学生が「懐かしい日本の風景」とか言っているのは流石にどうかと思うわけですよ。お前生まれてないだろうと。いや、ちょっと待て。僕にもその手のがありました。『めぞん一刻』や『新巨人の星』に描かれる70~80年代(ざっくりしすぎ)の東京の町並みに、なぜか強い憧憬を感じるのです。謎は深まるばかりです。それにしても、週刊連載の漫画は、時代が反映されているので、読み返すと新たな発見があります。  『釘師サブやん』は釘師という職業に焦点をあてた漫画です。舞台は1970年代の前半の東京。パチンコ屋に勤める茜三郎、通称サブやんが主人公です(この頃のパチンコはバネで一球一球弾くもので、椅子もなありません)。サオ師は知っていても釘師はわからないという諸兄に説明すると、釘師はパチンコ台の釘を閉めたり開けたり調整するのが仕事です。なんだそんなものかと思うかもしれませんが、釘師の腕次第で客の満足度もホールの収益性も変わってくるのですよ!パチンコ店を支配する釘師にも天敵がいます。それがパチプロ(現在と大分意味合いが違うます)。この頃のパチプロは「打てば必ず勝てる必勝法」をもっているので、黙って打たせていては店に被害が出るばかり。とはいえ、普通に打っている分には追い出すわけにもいかない…。そこで技を使わせないように釘を調整するのが釘師の仕事。釘師VSパチプロの戦いに終わりはないのです。  日本一の釘師を目指し、日々精進を重ねるサブやんの店に、ある日、美球一心と名乗るパチプロ(ネーミングが最高だ)がやってきます。彼はたった玉一個(2円分)だけで、サブやん自慢の台を打ち破ってしまうのです。一心が使う「秘打・正村」や「忍球玉バサミ」という、物理法則を超越した技に打ちのめされてしまったサブやんはさらなる研究を続けます…。  『釘師サブやん』に登場するパチプロたちは、北海の無法虎(必殺技:暗闇二段打ち)、機関銃のマサ(必殺技:機関銃釘殺し)など、格好いい二つ名と理屈不明な必殺技をひっさげ、次々にサブやんに挑戦しては消えて行きます。  彼らはみな、パチンコのみを仕事にし、日本中を旅するゴロ。相手をするサブやんも、自分の腕を破壊しながらもだれも攻略できない釘を打つ釘師。この勝負に意味はあるのか?なんてそれこそ無粋な問はありません。  ただただ、闇雲に没頭し、無意味と思われることに挑戦し続ける…。70年代の風景のなか、軍艦マーチといっしょにパチンコホールに雪崩れ込む人々の絵をみると、前向きでいられた時代の空気がすこしわかるような気がするのです。