あらすじ

怪しいのは胃之頭町だけじゃない!紙魚子の実家の古本屋宇論堂には怪しげな奇書珍書がいっぱい…。最近ご飯を食べなくなった栞の飼い猫ボリスの謎が解けた「雑貨の戦争」、胃之頭町で頻発する家ごと行方不明になる怪事件に栞と紙魚子が挑む「夜の魚」等、全8編を収録。
栞と紙魚子の生首事件

好奇心旺盛で怖いもの知らずの栞と博学で理屈っぽい紙魚子。女子高生コンビが遭遇した奇妙な人達、不思議な事件を描いた異色シリーズの第一巻。栞が朝の公園で生首を拾った「生首事件」、自殺願望をもつ人々が集まるカレー屋さん「自殺館」等、全10編を収録。

栞と紙魚子と青い馬

奇々怪々な人々が棲息し、摩訶不思議な事件が頻発する胃の頭町(いのあたまちょう)を舞台に、女子高生コンビの栞と紙魚子が大活躍!!包丁片手に中国の料理本を読む幽霊に栞と紙魚子が出会う「本を読む幽霊」、霧の深い日には普段とは違う何かが起こる「青い馬」等、全9編を収録。

栞と紙魚子 殺戮詩集

今日も女子高生コンビの栞と紙魚子が大活躍!!紙魚子の実家の古本屋にやってくる変なお客たちがこぞって欲しがる謎の本“アッカバッカ”に迫る「魔書アッカバッカ」、誰かを探して胃の頭町に突如現れた女性の謎を描いた「殺戮詩集」等、全8編を収録。

栞と紙魚子と夜の魚

怪しいのは胃之頭町だけじゃない!紙魚子の実家の古本屋宇論堂には怪しげな奇書珍書がいっぱい…。最近ご飯を食べなくなった栞の飼い猫ボリスの謎が解けた「雑貨の戦争」、胃之頭町で頻発する家ごと行方不明になる怪事件に栞と紙魚子が挑む「夜の魚」等、全8編を収録。

栞と紙魚子 何かが街にやって来る

スーパー女子高生の栞と紙魚子は、今日も胃之頭町を奔走する!!七つ目の謎が不明な胃之頭七不思議を描いた「烏賊井さんの逡巡」、胃之頭町が泡となって消えてしまうかもしれないという危機が迫る「何かが街にやって来る」等、全6編を収録。

栞と紙魚子の百物語

奇々怪々な事件が次々に起きる胃の頭町を舞台に、女子高生コンビの栞と紙魚子が大活躍!!雑誌「ネムキ」好評連載の、諸星大二郎の人気シリーズの単行本最新刊。「妖怪司書」「弁財天怒る!」「百物語」ほか計7編を収録。

栞と紙魚子シリーズ

二次元でも三次元でもなく、ど次元!!

栞と紙魚子シリーズ 諸星大二郎
影絵が趣味
影絵が趣味

漫画というのは二次元+一次元(コマの挿入による時間の推移)で出来ています。しかし、私たちの日常生活は四次元として展開されていますから、漫画もそれに即していかなければ、リアリティのある物語を描くことができません。そこで漫画の本来の領分であるところの二次元に補助として光学を採用する、すなわちデッサンです。これにより漫画は、平面上にかりそめながら立体を再現することが出来たということになります。 はい、何を当たり前のことを言っているんだろう、という感じですが、諸星大二郎に限っては、この当たり前が当たり前ではなくなってしまう。何しろ、タクシーのなかでさえデッサンが寸分も狂わなかったと言われる手塚治虫、大友克洋が出てきたとき「あんな絵は僕にも描けるんです」と豪語した手塚治虫が「諸星くんの絵だけは真似できない」と言っているのですから。 つまり、諸星大二郎は他の漫画家のように二次元+光学の補助という絵の描き方をしていないんですね。『栞と紙魚子シリーズ』はそれがもっとも顕著なんですけども、彼女たちの暮らす胃の頭町(いのあたまちょう)はなんかよくわからないけど異界に通じているらしい。その異界の異界ぶりをもっともよく表しているのがクトル―ちゃんのお母さんですよね。あの顔の目茶苦茶でかいお母さん、あれはどう考えてもデッサンでは描けない。あの顔で、いったいどうやって段先生のボロ屋に収まっているのやら。もしあれをデッサンで描こうものなら、それこそ二次元でも三次元でもない空間の捻じ曲がった異界が爆誕してしまう。というか、この爆誕してしまった異界こそが諸星大二郎の絵なんです。 とくに栞と紙魚子が姿のみえない首輪だけのペットを散歩させる回は秀逸でした。ペットに引っ張られて段々と異界に迷い込んでゆくわけですけど、その行く先のエステサロンにクトル―ちゃんのお母さんがいる。お母さんは「あら~、こんなところでお目にかかるなんて珍しいですわね」とか何とか言って、エステのマシーンから引き伸ばされたうどんみたいな姿で出てくるんです。もう、何がなんだかわからないでしょう。でも、これを大真面目に描いてしまうのが諸星大二郎なんです。