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「男組」は1974年から1979年に渡って少年サンデーに連載されました。米国の大学紛争,中国の文化大革命に触発された日本の学園紛争はすでに終息していました。しかし,一過性の現象とはいえ,権力に対峙しようととした学生たちの行動はまだ人々のこころに共感として残っていた時代ということになります。
国家権力を背後から操り,マスコミも手が出せない「影の総理」と呼ばれる人物に高校生や少年刑務所の受刑者が戦いを挑むという荒唐無稽な物語の設定はある意味では時代が後押ししたものともいえます。
原作者の「雁屋哲」は「美味しんぼ」の原作者としてすっかり有名になりましたが,1970年代は「男組」のような骨太の物語を考え出していました。作画の「池上遼一」は「平成の絵師」の異名をもち,現在でもトップクラスの画力をもってます。
これだけの重いテーマを書き上げるには池上氏レベルの画力が必要だったのは明らかです。当時の画風は現在よりも少年誌向けのものになっていますが,劇画調の緻密な絵により自らの信ずるもののために戦う男たちを骨太に表現しています。