あらすじ

ジオンの捕虜となったセイラはアルテイシアを名乗りラル派の残党を糾合、ギレンを暗殺し全軍を掌握したキシリアに叛旗をひるがえす。一方ガンダムを失ったアムロはシャアのあとを追って要塞深部へ向かった。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 1巻

ご存じファーストガンダムの安彦版コミックがついに登場。アムロがガンダムを起動させ、シャアとの壮絶な闘いを繰り広げる様を綿密に描く。ファン必見必携の1冊。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 2巻

サイド7を出て、初戦闘に突入するホワイトベースとそのクルー。シャアの乗る真紅のザクが経験浅いガンダムに襲いかかる!宇宙戦を経て地球にたどり着くまでを描いた「激闘編」。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 3巻

地上に降り立ったホワイトベースは、休む暇も無くガルマ隊の攻撃を受ける。ふさぎこむアムロは、それでも戦場に立ち敵と対峙する……。哀愁の「ガルマ前編」!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 4巻

因縁と策略が渦巻く地上戦。シャアの裏切りにあったガルマは、ホワイトベースの砲火によって壮絶な死を遂げる…。「ジオン公国に栄光あれ!」

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 5巻

歴戦の猛者ランバ・ラル現る!新型MSグフを駆り、ガンダムとアムロを追いつめる。ガルマの国葬シーンも完全収録。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 6巻

ガンダムを奪いホワイトベースを降りたアムロは、砂漠の飲食店で偶然、敵の将校ランバ・ラルと出会う。そしてその時、彼の目の前に現れたのは、ジオン兵に囚われたフラウ・ボウだった。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 7巻

ラルという生きがいをなくしたハモンは、死をも覚悟しホワイトベースに戦いを挑む。そこへ艦を守るべく、リュウがハモンの乗るマゼラトップに体当たりをする。それはリュウの壮絶な最期であった…。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 8巻

リュウ、マチルダを喪い、満身創痍のホワイトベースは、ついに目的地、連邦軍総司令部ジャブローに到着する。しかし、一時の休息もとれぬ間に、シャアの手引きの下、ジャブロー侵攻作戦が始まった--。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 9巻

宇宙世紀0068,サイド3で行われていた議会演説の真っ只中、議長のジオン・ズム・ダイクンが壇上に倒れ息を引き取る。連邦によるダイクン暗殺説が流れ、サイド3は混乱の時代に突入した--。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 10巻

それぞれエドワウ、セイラと名前を変え、テアボロ・マスのもとで穏やかな日々を送っていた兄妹。しかしザビ家からは刺客が放たれ、さらに母の急逝の知らせが届いた時、エドワウはある決意を固めるのだった。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 11巻

まんまとジオン士官学校に入学したシャアは、奇妙にもジオンの御曹司ガルマ・ザビと友好を深める。連邦からの独立への機運が高まる中、一計を案じたシャア。後に世界を揺るがすことになる、その驚くべき中身とは!!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 12巻

宇宙世紀0078、ジオンと連邦政府間の緊張が高まる中、月面では史上初のMS同士による戦闘が始まる。敗北を喫した連邦軍は「RX‐78ガンダム」の開発計画を発表し、運命の宇宙世紀0079をむかえる……。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 13巻

テレビシリーズでは描かれなかった、1年戦争開始1ヶ月に起きた人類史上最大の惨劇を描く、コミックオリジナルストーリーが展開!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 14巻

コロニー落しを遂行したジオンは次なる攻撃目標をルウムに移す。ジオン軍のモビルスーツ部隊に強襲をかけられた連邦軍レビル将軍は黒い三連星に捕獲されてしまう。さらに連邦戦艦を次々と撃墜する赤い機体が・・・

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 15巻

連邦軍大反抗戦「オデッサ作戦」を描く、女スパイ・ミハル登場のエピソードを含む、新章「オデッサ編・前編」収録。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 16巻

連邦軍は、ジオン軍地球侵攻軍の本拠地オデッサを攻略すべく進軍を開始した。ホワイトベースは新型MSの襲撃にあい、足止めをくらう。その情報を嗅ぎつけたガイア率いるドム中隊がホワイトベースに迫る!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 17巻

ホワイトベースは、補給のため中立都市サイド6へと寄港した。そこでミライはかつての婚約者カムランと、アムロは生き別れた父とそれぞれ再会する。さらにアムロは運命の少女、ララァ・スンと出会うのであった。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 18巻

サイド6で運命的な邂逅をはたしたララァ、シャアとアムロは再びテキサスコロニーで再会することになる。そしてシャアとセイラの出会い。シャアは新たなる野望をセイラに伝えるのだった・・・

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 19巻

ソロモンでの死闘がついにはじまった。戦闘の裏で暗躍するキシリアの思いとは?新ガンダムのアムロはソロモンにどう挑むのか!?安彦良和がソロモンの激戦の真実を描く19巻ついに発売!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 20巻

シャアの策動により孤塁となったソロモン、灼壊する要塞にドズルの怒号が谺する。ララァの操るエルメスを迎撃するアムロ、そこに投げかけられた意外な誘いとは!? 安彦ガンダムはさらなる高みを目指す!

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 21巻

母なる大地コロニーすら兵器となし、殲滅戦につき進むギレンの姿に絶望した公王デギンは和平交渉へと動く。一方WB隊は、ジオン本国へ侵攻する主力艦隊から離れ、ア・バオア・クーへ陽動をかけようとしていた……。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 22巻

主力艦隊壊滅の逆境を打開せんと、ワッケイン司令は生き残った兵力によるア・バオア・クー直接攻略を決断した。アムロら、MS隊は先鋒に選抜されたが……、一方ゲルググを失ったシャアは意外な人物の許へ向かう。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 23巻

ジオンの捕虜となったセイラはアルテイシアを名乗りラル派の残党を糾合、ギレンを暗殺し全軍を掌握したキシリアに叛旗をひるがえす。一方ガンダムを失ったアムロはシャアのあとを追って要塞深部へ向かった。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 24巻

公式ガイドブック1、2収録作作品(「その前夜」「キャスバル0057」)と、作品完結後に特別に新規で描き下ろされ月刊ガンダムエースで掲載された「アルテイシア0083 I」「アルテイシア0083 II」「アムロ0082 I」「アムロ0082 II」を1冊にまとめて刊行。開戦前のザビ家の動向、終戦後のホワイトベースの仲間のその後が描かれる。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

モデルを持たない僕達の、たとえ稚拙な芝居でも…

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 安彦良和 矢立肇 富野由悠季 大河原邦男
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)

2024年3月17日 「また、死ぬよ!」(伝説の大根役者ロバート・コーツの「迷演技」,リーダーズダイジェスト『世界不思議物語』より引用)  安彦良和による表情がコミカルでいいんだけど、一年戦争後期のギレンとかシャアが中々しやがらないんだ、これが。仏頂面や一物抱えた薄笑いばっかりでさも自分等をアレクサンダー大王やナポレオンと思ってるんだろうね。あの芝居がかった態度は。それが大変不気味であるんだが、不気味ゆえに彼らは強い。彼らの心持はナポレオン、カエサルであるからだ、英雄は容赦を知らない、それ故負けも知らない。  それに比べるとホワイトベースの乗組員はケツの青いひよっこもイイとこ。たかが仲間が将軍を尻に敷くと言う粗相をした程度で目を丸くして開いた口が閉まらない。彼らの振る舞いもまた芝居がかってるが、ギレンやシャアと違ってそこには英雄を憑依させた凄みなんか無い。あるのは一身上の苦悩と戦場での生の証を立てようと足掻く青臭さ、それだけだ。  然し、彼らはハムレットやヒットラーを憑依させて何かしらの大物になろうとしているシャアやギレンと違って自分を生きている。彼らが英雄にのめり込み過ぎて自分でも何でもない暴力の化身になり果てているのに対し、ホワイトベースの乗組員はちっぽけな自分でしかないが、それを貫徹していく最中に英雄に届かなくても何かしら自分を語るヒストリーを身に着けた。詰り立場は逆転したのだ、余りにも豊かな教養とバックボーンにより得た資格で歴史に寄り過ぎた男たちは、逆説的に歴史の中での自分の立ち位置を忘れて骸か神か以外の自分の存在を忘却した。これは結局誰よりも歴史と己の対比に自覚的であり、メタ的にシャアやギレンの思想的師となっていたマ・クベが結局不出来な部下一人教育できず、歴史のダイナミズムを意識したアムロたちに敗北を喫した(『アムロ0082』)姿を見ても窺えよう。  『ガンダム』は45年続くロングランのシリーズだ。その中で築き上げられた設定や歴史はとてつもなく膨大で長くそれを専ら漁るファンも大勢いる。然しそのような流れの中に於て『THE ORIGIN』はフラットな設定に紐づいた歴史に異を唱えるように、そこでの「健全なダイナミズム」を描き出す。勿論、これは安彦良和の一存の作品であり、とても「粛清」の域に至らないのであるが、それでよいではないか(安彦もそこまで考えてはいない)。  結局、こういう作品が打切にならず大団円を迎えた辺りに「ガンダム」は恵まれた作品であり、我々はそれを盲信の観念を払拭して健全に引き継がねばならない。これは『ガンダム』の意匠を用いた歴史漫画であり、この歴史に『ガンダム』が含まれているとの告白だろう。 P.S:  或いはジオンが、事故演出家した歴史とするなら彼らはヨーロッパで、逆に自分を規定する歴史を持たず力で押しがちな連邦はアメリカなのかもしれない。然し少なくとも作品の後者には、己を語る語彙を得ようとするチャンスがあるのだ。作品ラストにジオンの残党が連邦で再就職するオチは「何物でもない」余地、ナポレオンでもヒットラーでもないモデルをさがす余地をアメリカに求めた隠喩なのかもしれない。これは余談の通り、根拠の無いトンチキ歴史観だ。忘れてくれて結構。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

完成度が高すぎる奇跡のガンダムマンガ

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 安彦良和 矢立肇 富野由悠季 大河原邦男
酒チャビン
酒チャビン

初めて読んだとき本当にびっくりしました。完成度が高すぎます。アニメのコミカライズになりますが、アニメの全43話の完成度がかなり高いように感じていたので、どうせそれよりは面白くないだろうとタカを括っていたのですが、全然そんなことありませんでした。 どうしてもアニメのコミカライズとなると、アニメ見てるのが前提になってるのか、ストーリーが端折られていたり、薄まることが多いと思いますが、これはかなりストーリーが過不足なく濃密にしっかりと描写されているうえ、アニメではうまく描ききれなかった部分を補足し、なおかつオリジナルエピソードまで入れ込んでくるという離業をやってのけています。 マンガってすごいんだって心底思いました。 圧倒的な完成度を誇りすぎていて、もう多分これを超えるガンダムマンガは出てこないと思わせられます。可能だったらでいいのですが、この感じでゼーターガンダム&ダブルゼーターガンダムを描いてほしいです。必ず描います(豪華版の方で)。 ガンダムに興味がある人で読んでない人はいないと思いますが、もしいれば、絶対に読んだ方がいいと思います。なるべく早めに。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

キャスバル=シャアのミッシングリンク

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 安彦良和 矢立肇 富野由悠季 大河原邦男
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

宇宙世紀0080年1月1日、連邦とジオン公国の間に終戦協定が結ばれた……とのことで、1月1日は(ガノタ的には…)一年戦争終戦記念日です。ここでは最新の戦史としての『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の見所をご紹介します。 まず、前のさいろくさんのレビューの通り、現代にこの物語を、丁寧な解釈で蘇らせて下さった事が有難いですよね! ジオンにも真っ当な大人(ドズル・ザビやランバ・ラル)がいる一方、 連邦にだって阿呆な士官もいる。『THE ORIGIN』では、敵味方関係なく、様々な大人達が紡いでいる大小の物語を、余す所無く丁寧に纏め上げています。 アムロ・レイとホワイトベース隊中心史観だったアニメの1stガンダム。『THE ORIGIN』はそこに沢山の、別視点からの物語を加えることで、ジオン建国から一年戦争終結までの歴史の全体像を、偏り無く記述した戦史として、新たな発見が沢山ある作品となっているのです。 (偉そうな割に功績がよく分からなかった、マ・クベやレビルの活躍なども面白いですね) そこを踏まえて、敢えて一点。この物語が、ガンダム史の重要人物でありながら、謎の多い「シャア・アズナブル」の欠けていた部分を、沢山のページを割いて埋めている点を、紹介しておきたいのです。 ジオン建国の祖、ジオン・ズム・ダイクンの息子、キャスバル・レム・ダイクン。彼は名を変え、ジオン軍のパイロット・赤い彗星のシャアとして出世し、公国を私物化するザビ家に接近します。 それにしても、彼はどうやってジオンの亡き後、ザビ家の監視から逃れたのか。そしてシャア・アズナブルの名の由来とは……。 更にはガルマ・ザビとの友情の日々から、シャアが仮面を被る迄、卓越したMS使いの理由からララァ・スンとの出会い等々、様々な秘密が破綻なく描かれ、その後の彼の行動原理がしっくりくるようになっています。 キャスバル(シャア)は、人として真っ当な理想を持ちながらも、それを先鋭化させ、人に本心を露わさず孤立し、そして力がありながら、誰も幸せにしませんでした。 その後のZや逆襲のシャアにまで通じる、彼の哀しみの源泉……命懸けの日々の中で理想とプライドを保ちつつ、歪んでいく過程が、この作品ではじめて描かれているのです。 是非若いキャスバル(シャア)の真っ直ぐな冒険と、そこに潜む哀しみを、ご一読いただきたい!