あらすじ豪雨降りしきる中、壮絶なダムレスキューで九死に一生を得た兵悟(ひょうご)。しかし救助の最中に襲われた死の恐怖を拭えず、ついにはトッキューを辞める事まで考えてしまう。だが、辞表を手にした兵悟がトッキュー基地で知らされたのは、大地震に見舞われたインドネシアへの国際緊急援助隊に、急遽選抜された事だった!壮絶なレスキューの現場で、兵悟が出した答えとは!?海の男の青春劇、感動の最終巻!!
ある秋晴れの日の朝。歩道橋の上からぼんやりとやや遠くに見える海をながめていました。そうしたら、あれ?こんな風景どこかで見たことがある…っと強烈なデジャヴュが。しばらく考えていたところ、何のことはない、それはついつい朝まで読んでしまった『トッキュー!!』の背景でした。ただ、それは目で覚えていたのではないんです。「空気感」とでもいうのでしょうか。作者の久保ミツロウは、この空気感を捕まえることに長けた人だと思うのです。例えば冬の早朝の校庭。あるいは蒸し暑い日の川にかかる橋のたもと。そこに在るただ寒かったり涼しかったりするだけではない、独特の空気感。『トッキュー!!』は海難救命士のストーリーですから、洋上での凄まじい爆炎や、漂流時の不安げな海などさまざまなシチュエーションがでてきます。それがいちいち感覚に残っている。「前作の『3.3.7ビョーシ!!』で気になっていたのはこれなんだな」「やはり女性の漫画家はその辺の感覚が優れているのだな」とか、考えているうちに眼が覚めた徹夜明けの朝でした。