アニメとゲームを愛するオタクの小野田坂道は、秋葉原への往復90kmを自転車で通うことで手に入れた凄まじいペダリングを武器に、2度のインターハイでライバルたちとの熾烈なレースを繰り広げてきた。3年生となり、総北高校のキャプテンに任命された坂道は、ライバルたちと再び一緒に走るべく高校最後のインターハイに向かう!! 壮絶さを増す、総北伝統の1000km合宿! 今年は2人一組で「相棒(バディ)」を組んで闘う新システムを導入。3年生となり最後の年となった杉元照文は、今年こそと本気でインターハイ出場を目指す。しかしそこに、ある人物が立ちはだかる! インターハイのレギュラーメンバーを決める合宿で、勝利を手にするのは一体誰だ!?
個人的仮説として、この世のスポーツ漫画は大きく4つに分類できるとする。 ①ビジュつよつよ型 ②必殺技「なにィッ!」型 ③精神性特化型 ④設定展開運転型 仮に例をあげると、①:『スラムダンク』『黒子のバスケ』②:『キャプテン翼』『テニスの王子様』④:『ブルーロック』で、弱虫ペダルは③にあたると考えています。(※異論他論認めます。個人的な見解です) ほかの分類は他で述べるとして、何をもって〈精神性特化型〉と言うかですが、基本的に弱虫ペダルの根幹はキャラクターの『気持ち』が非常に重要な鍵となっていると感じます。 日本であまり馴染みがなかったこのサイクルロードレースという分野をここまで認知度をあげ、経済的にも大きく影響を与え、ロードバイクの売上に寄与できたのか。何故ガチ沼した当時、私に20万以上もするデローザのロードバイクを買わせしめたのか。 全てはレース中の精神性、個々のキャラクターの精神状態、心理描写の熱さ、個々の気合、何を持って〈勝ちたい〉のか。それぞれの強い想いの描写が作品パワーを感じさせる重要な一因となっていると感じます。弱虫ペダルファンに聞くと面白いのが、他の漫画よりも最初にビジュ的に好きかも?と思ったキャラから、読んでからガチハマりするキャラが違うこと。 だいたい誰か、何かシンパシーを感じるキャラがいて、入り口とは違う沼に浸ることになることが多いです。 自転車漫画でありながら、レースの終盤や盛り上がり場面はテクニックとかよりも〈どれだけ勝ちたいと、どんな気持ちで思っていて、どういう精神状態で今臨んでいるか〉がかなり強く出ている印象で、やーもうやっぱり最後は気持ちですよ!!という気がします。スポーツ漫画というより気持ち漫画というか、精神漫画というか。 なので、スポーツ漫画や自転車に興味がなくても、人間で心を持っている方にはおすすめできる漫画だと思います。どのキャラが好きになるかでその人のなんとなく性格とか大事なものがわかる気がしますね。それがこの漫画の真骨頂であり、これだけ幅広い層に受け入れられた理由ではないでしょうか。 ちなみに私は手嶋純太の「フトン最高」が大好きですし、御堂筋くんを敬愛して止みません。結晶や。 ペダルの熱さにあてられて長くなりましたが、心を持っている方、熱くしたい方、わたしってこころあったかしら?とこの頃忘れてしまった方にもおすすめです。ぜひ心のありかを確認してください。