あらすじ文化祭の準備が始まる中、高峯は文芸部兼演劇部の三毛森から、文化祭での公演に出ないかと声をかけられる。三毛森から詳細を聞くうちに「作ること」を楽しそうだと感じた高峯はその誘いを承諾する。登下校中、楽しそうに演劇の話をする高峯に対して、咲倉は文芸部がなくなってから何もしていない自分に引け目を感じるが……。友情でも恋愛でもない、特別な関係性を育む少女達の青い春、感化の第3巻。
『春とみどり』の深海紺さんによる、新たな女性同士の関係性を描いた作品です。 一目見て深海紺さんだと解る雰囲気と絵柄で、繊細に静やかに紡がれていく感情の糸と糸が今回もとても良いです。 本作は、女子高生ふたりが読書を通して仲を深めていくという内容なのですが、本がキーアイテムとなっている部分も非常に好みです。本をあまり知らない人にお薦めするのは、難しくも楽しい作業だよねと本の虫の咲倉を見ながら感情移入を深めました。 女子高生らしい交友関係の中での諸々も程よく描かれていて、そちらの方に同調したり反発したりする人もいることでしょう。 何しろ、メインのふたりの関係性とその推移が、急行ではなく各駅停車のようにひとつひとつ進んで行くこの感じが良いです。停車駅のホームの屋根にでもなってふたりを風雨から守りながら見守っていたい。そんな風にすら思わせてくれます。 女の子同士の関係性の物語が好きな方は押さえておくべき作品です。