キカイとココロの短編集、第一部完結! 「ぼくたちのお母さんは、ロボットです」―― 集められた孤児たちを家族として育て、送り出してきたロボット・ママジン。絶品カツカレー、ロールキャベツ、筑前煮。しあわせドーナツにスパイスチーズケーキ…… レシピとコツを熟知したママジンの料理は、こどもたちの大好物だ。だけどママジンには、この“おいしさ”がわからない。……ロボットだから。ぼくたちは、ママジンに知ってほしい。ママジンの料理のおいしさを。ぼくたちがどれだけ愛を感じてきたのかを―― ヒトとキカイのココロをつないで連載10周年。この巻から読める、1話完結の短編集! 『機械仕掛けの愛』はこの巻にて第一部完結、新シリーズ『機械仕掛けの愛 ママジン』へと続きます。
第17回手塚治虫文化賞短編賞受賞作。NHKでラジオドラマ化もされ、名実共に業田良家先生の代表作と言って良いでしょう。 こちらも、一話完結型の短編集です。上記の、『ゴーダ哲学堂』や『ロボット小雪』などでも描かれて来た、「心を持ったロボット」というテーマに今一度踏み込んだ物語群となっています。子供や老人と触れ合う、感情を持った純粋無垢なロボット達のお話は、ハートフルでとても感動的です。 しかし、この作品が凄いのは、そういった従来の「心を持ったロボットとのコミュニケーションによって生ずる感動」のみならず、戦闘用に作られたロボットや尋問用に作られたロボットたちが送るハードな物語も同時に描かれることです。その双極性によってそれぞれのテーマが立体化し、どちらもより痛烈に刺さって来るのです。業田先生は、ロボットを描くことによって、間接的にどこまでも人間を掘り下げて行きます。 今この瞬間に飢えている人に法を犯してでも食べ物を分け与えることは不正義なのか? 何かを築き上げてもいつかは天災などによって無に帰ってしまう不条理を前に、人間は諦観するしかないのか? 様々な哲学的な問い掛けに、業田先生は果てしない希望と愛情を以って筆を尽くします。誰かの為に何かを為すことの尊さは、決して失われることのない永遠性を持つのだと。そう、この作品は、負の面も含めた人間賛歌の究極形なのです!