独特な手法で描く注目作家の最新短篇集! 「墨と水と主に爪楊枝」唯一無二の手法で漫画を描く注目作家、森泉岳土。幻想的で不可思議な愛の世界―― ビッグコミックオリジナル増刊に掲載された「冬の偶有的神秘エトセトラ」を含む、近年描いた珠玉の読み切り作品10編を収録!! <収録作品> 最後のフェリー リングワンデルング タゴールの「妖精」 片岡義男の「彼女のリアリズムが輝く」 夏の夜のけものfeat.けもの Two shades of summer 毒 『ランバーロール』 ムルの顔 爪のようなもの 冬の偶有的神秘エトセトラ
森泉さんといえば「爪楊枝で漫画を描く人」ですが、一番最初に掲載されている「最後のフェリー」は初めてボールペンで描いた作品だそうです。 あとがきに「そろそろペンで自分の線を描けそうな気がしたから」とありました。 普段爪楊枝で描いていることに対しては「自分でもよくわからない」と言っているのがなんか笑えました。 通常のマンガ誌に掲載されている読切等は読んだことがあったのですが、文芸誌やアーティスト個人に寄稿したものがあるのは初めて知りました(ランバーロールは読んでいます)。活動範囲が広いというのがわかる短編集です。大林宣彦監督って義理のお父さんなんですね。監督との二人のエピソードを描いた話が好きでした。 タイトルの「爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇」という普通ならどれかひとつの短編タイトルを付けたりするものですが、こういうかたちにしたというのになにか意味がある気がしてなりません。 またこれだけは強く言いたい。紙版を買って読むべし。 作品によって用紙が変えてあり(なのでさわり心地も違う)、ただお金がかかっているなという高級な感じはなく、リトルプレスのような自由さがあります。 ▼こんな感じ