あらすじ

男が手に入れたものは榊キリコという名前だった。女が受け入れたものは遊佐明という存在だった。運命の女に再び出会うべく、死の淵から蘇った遊佐。女の姿を捉えたその瞬間、血みどろのカーニバルが幕を開けた。蠢く群衆のかなたから、すべての憎しみの根源が残酷な笑みを向ける――。遊佐明と榊キリコ。別れの日、東京は雪だった。
キリコ(1)

目の前で兄の頭が銃弾で吹っ飛ばされた。渋谷の雑踏の中、一瞬、遊佐朗(ゆさあきら)の視線が捉えた女。刑事としての直感が訴える。あいつが犯人だ!裏通りを抜け、廃墟と化したビルへ逃げ込む女。追いかける遊佐も廃ビルの中へ飛び込む。女は榊キリコ、暗殺者だった──。これが血にまみれ続けることになる2人の出逢いだった。

キリコ(2)

兄を失った。刑事を辞めた。願いはこの手で暗殺者、榊キリコを殺すこと――。遊佐朗(ゆさあきら)は母国、日本を捨て麗しの島=台湾へ乗り込む。台湾マフィア「天聯幇(テンレンバン)」に身を潜める榊キリコを狩り出すために。狂気に近い執念を抱える遊佐。女として目覚めつつあるキリコ。台湾で2人が再び出逢う時、新たな血が流される。

キリコ(3)

「あいつのせいでおかしくなったんだ」遊佐の残した傷痕に肉体の奥深くかき乱され忘れかけていた母の面影が蘇る。職業的暗殺者・榊キリコ、変わりつつある自らに惑う。「これで、いいんだ」榊キリコを殺す望みだけを頼りに天聯幇殺手(テンレンパンサヤシュウ)・遊佐朗、殺人を重ね生き長らえる。そして2人が3度出逢う時、夜は仄かな熱を帯びはじめる──。

キリコ(4)

男が手に入れたものは榊キリコという名前だった。女が受け入れたものは遊佐明という存在だった。運命の女に再び出会うべく、死の淵から蘇った遊佐。女の姿を捉えたその瞬間、血みどろのカーニバルが幕を開けた。蠢く群衆のかなたから、すべての憎しみの根源が残酷な笑みを向ける――。遊佐明と榊キリコ。別れの日、東京は雪だった。