あらすじラジオがつなぐ秘密の逃避行・第2巻! 逃亡者・瀬良不二夫は、一部に名の知れた個人ラジオ「フジオのラジオ」を配信していた。逃亡の途中、不二夫のファン・伊丹洋子と出会い、逃亡生活を共にすることとなる。そんな中、偶然知り合ったプログラマー・透に、洋子が勝手に更新したラジオ配信の削除を依頼するが、交換条件を提示され――。明かされる不二夫の過去。着々と進む広がる捜査の手。二人の逃避行は福島へ舞台を変える――。
殺人を犯したネットラジオの配信者フジオとそのファンの女の子ヨーコが出会い、ふたりで配信をしながら捜査から逃げるというバディロードムービー的な筋書きです。 フジオは孤独な男です。 芸人として成功できず、ネットラジオで承認欲求を満たし、自身の価値をギリギリのところで認めています。彼を評価し、孤独の境界に踏み止まらせているのは顔の見えないリスナーたちだけなのです。 ヨーコが彼のラジオで救われていたのも、フジオと同様に、自分が孤独だと感じていたからです。 互いの孤独を癒やすように共に居ることを選択するふたりの姿は、痛々しくもとても尊いものに感じられます。 皮肉なことにフジオは彼のリスナーたちと出会うことで、さまざまな出来ごとに見舞われ、時には追い詰められ、時には助けられ、運命に翻弄され、のっぴきならない状態に陥っていきます。 優れた物語は「次はどうなるんだろう」という気持ちがずっと持続するものだと思います。自分は一気に読んでしまいました。 フジオの罪の真相と、ヨーコとの孤独な旅路がどこに行き着くのか、ぜひとも見届けてほしいです。