あらすじラジオがつなぐ秘密の逃避行・最終巻。逃亡者・瀬良不二夫と彼のファンであるデリヘル嬢の伊丹洋子が、ヒッチハイクを乗り継いで辿り着いたのは北海道。安定した生活を手に入れたと思った矢先に届いた、捜査の手。不二夫は自首をするのか、諦めずに逃亡生活を続けるのか。全ての謎と二人が辿りつく結末が明らかに――。男女の歪んだ秘密の逃亡物語、ついに完結!!
殺人を犯したネットラジオの配信者フジオとそのファンの女の子ヨーコが出会い、ふたりで配信をしながら捜査から逃げるというバディロードムービー的な筋書きです。 フジオは孤独な男です。 芸人として成功できず、ネットラジオで承認欲求を満たし、自身の価値をギリギリのところで認めています。彼を評価し、孤独の境界に踏み止まらせているのは顔の見えないリスナーたちだけなのです。 ヨーコが彼のラジオで救われていたのも、フジオと同様に、自分が孤独だと感じていたからです。 互いの孤独を癒やすように共に居ることを選択するふたりの姿は、痛々しくもとても尊いものに感じられます。 皮肉なことにフジオは彼のリスナーたちと出会うことで、さまざまな出来ごとに見舞われ、時には追い詰められ、時には助けられ、運命に翻弄され、のっぴきならない状態に陥っていきます。 優れた物語は「次はどうなるんだろう」という気持ちがずっと持続するものだと思います。自分は一気に読んでしまいました。 フジオの罪の真相と、ヨーコとの孤独な旅路がどこに行き着くのか、ぜひとも見届けてほしいです。