あらすじ
アルバイトで塾の講師として働く大学生のゆきは、ある光景をきっかけに幼かったころを思い出す。母親はおらず父親と祖母に育てられたが、家庭のぬくもりなどない家の中で、いつもひとり孤独だった。そして、中学3年生になったゆきは、初潮を迎えたことで徐々に母親に想いを馳せるようになる。しかし、ある日、祖母の勘違いから母に関する衝撃の事実を知らされて……。母親というよすがを失い、家庭の中で宙ぶらりんのまま愛情を知らずに育った子どもの、葛藤と成長を描いたコミックエッセイ。【目次】プロローグ/1話 三者面談/2話 救いの言葉/3話 初潮/4話 真実/5話 捨て子/6話 死と現実/7話 生きる意思/8話 決別/9話 祖母の手/10話 箱の外/11話 父の回想(前後編)/12話 祖母の告白/エピローグ
壁の向こうでどのような生活をしているか、誰もわからない。 当たり前のことなんだけど、そうだよなあと気付かされた。 さらに、ちゃんと生活はできているけど足りていない状態は、なかなか外部には分かりづらい。 主人公は衣食住足りていたけど、愛情が足りていなかった。 かけ違いになってしまったボタンは戻されることなく、途中からやり直した形になるんだろう。 この漫画がフィクション混じりのノンフィクションなのか、ノンフィクション混じりのフィクションなのか、どちらかはわからない。 ただ、老い先短いという年齢にはまだ遠そうな祖母が救われていない気がして、やるせない。