舞台は閉じ込められた山奥の館。“曰くつき”のオキナガ療養施設――― 光明苑。オキナガの哀しき自殺。襲いかかる嵐。現れた、12年に一度の殺人「羊殺し」の重要人物。そして動く、あかりと魁と三角関係!? ―――不老不死の謎めく種族「オキナガ」。全国に10万人ほど存在し、厚生労働省の管理下にある。88歳にして少年のような風貌のオキナガ・雪村魁と、オキナガを管轄する厚労省“夜間衛生管理課”の新米公務員・伏木あかりの迷コンビ。とあることから魁と大喧嘩になってしまったあかりは、研修のため一週間長野の山奥にあるオキナガ療養施設・光明苑へ。そこは、生活に貧窮したり問題行動を起こしたりしたオキナガが収容される場所。中には、特に集団行動に適さないオキナガを収容する“隔離棟”も…… 魁が追い続ける連続殺人「羊殺し」に深く関係する、謎の眠れる美少年。光明苑を襲う嵐、閉じ込められるあかりと魁。これまであかりも知らなかった、オキナガの“本当の絶望”――― そしてあかりの大学時代の先輩も現れ、あかりと魁の関係も進展が…!? 光明苑。魁の過去とも関係するここは、絶望が影をひそめる、オキナガ達の楽園。そこで一体何が――― 過去・現在・そして“永遠の未来”が絡み合い生み出される謎。ゆうきまさみ極上ミステリー第5集!
「羊殺し」にまつわる謎の映画プロジェクト、その現場で起こる惨劇――!! ――――――――――――――――――不老不死、現代の吸血鬼“オキナガ”の雪村魁は、かつて恋をした女性―棗(なつめ)―を殺した犯人――― 12年に一度若い女性を殺害する殺人鬼、“羊殺し”を追い続ける。厚労省の新人・伏木あかりとは小さな喧嘩を繰り返しながらも、なんだかんだ相棒関係(!?)に… そのあかりが、棗の孫だと知った魁。そんな中、「羊殺し」を題材にした映画の制作が発表される。謎のプロジェクトの思惑や意図を探るべく、現場に潜り込んだ魁&あかり、その矢先、「羊殺し」からの脅迫状が届き――!? ピンチに陥る魁、あかりは魁を救えるか!? 現代の吸血鬼×極上ミステリー、緊迫の最新7集。
分類をするなら探偵物とかミステリーになるか? 特殊能力を有する主人公のディテクティブ・ストーリー と言うべきか? だがそれだけにとどまらず、少々SF的な設定だが、 SFとしてもミステリーとしても ホラーだとかサスペンスだとかとしても 命とか人生を問う作品としても、とても良作だと思う。 主人公が有する特殊能力は「ほぼ不老不死」 息長(オキナガ)という殆ど不老不死の人間が、 1000人に1人くらいの割合で存在し、 世間もタテマエ的には認知し行政も仕組みを整えており、 一般人とオキナガがちゃんと共棲している、 とされている現代日本が舞台。 しかし現実にはマイノリティな存在のオキナガは 色々と差別・迫害を受けている。 厚労省の新人・伏木(身長180cm近い女性)は 行政側の人間としてオキナガと関わることになる。 オキナガにはほぼ不老不死と言うこと以外にも特徴があって ・オキナガとして「成り上がった」時点で容姿その他? の成長が止まる ・日光を長時間浴びると死に至る ・食欲や性欲レベルで喫血嗜好が沸くこともある その他にも色々と特殊な面があるオキナガだが、 伏木が担当したオキナガ・雪村カイはさらに特殊だった。 見た目は18歳前後の少年。実年齢は88歳の雪村。 彼は、12年ごと70年以上に渡って羊年の年末に 繰り返されている連続殺人事件「羊殺し」の 真犯人を執拗に探していた。 伏木は巻き込まれる形で雪村と行動を共にすることになり、 「羊殺し」に関わっていくことに。 模倣犯罪やタテマエや現実や、行政の施策と効果のギャップ、 そして不老不死の人間達がそれゆえに直面し、 抱えこみ、蓄積していかざるを得ない社会的現実。 雪村と行動を共にすることでそれらを実体験しながら、 羊殺しの真相とともに思いもよらなかった世界を 伏木は知ることになる。