あらすじ

山へ――。若者達が向かう先は、新たなる革命の拠点。この物語の登場人物達は決して特別ではない――。革命のため武力を手にした若者達。彼らは新たなる拠点に「山」を選んだ。同じ目的のために集まったはずだった……。しかし、そこでは少しずつ歯車が狂い始めていく。社会とは隔絶された場所で、男と女が夢見る革命の光。その光は彼らに届くのか――。※単行本に収録されている「『レッド』前史」はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。
レッド 1969~1972 1巻

革命を目指す若者達の青春群像劇。この物語の登場人物達は決して特別ではない――。物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。ごく普通の若者達が、矛盾に満ちた国家体制を打破するため、革命運動に身を投じていく。それは、正しいことのはずだった……。激動の学生運動の行き着く先とはどこなのか!?全ての世代に捧げる、若き革命家達の青春群像劇。雑誌収録時から全ページにわたり、加筆修正した完全版!!

レッド 1969~1972 2巻

ついに銃砲店から銃を奪取した革命者連盟だったが、それ故に権力からの追及は厳しさを増す。来るべき闘争のため彼らが辿り着いた潜伏地は厳寒の北海道だった。一方、赤色軍の岩木(いわき)たちは闘争資金強奪作戦・通称『G作戦』を成功させるが、同時に全国に指名手配されてしまう。それぞれ緊張を強いられる状況での逃避行だったが、そこにはごく普通の青春があった。決して特別ではない若者たち。彼らの欲しかった未来とは何だったのか?※単行本に収録されている押井守×山本直樹の対談はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。

レッド 1969~1972(3)

山へ――。若者達が向かう先は、新たなる革命の拠点。この物語の登場人物達は決して特別ではない――。革命のため武力を手にした若者達。彼らは新たなる拠点に「山」を選んだ。同じ目的のために集まったはずだった……。しかし、そこでは少しずつ歯車が狂い始めていく。社会とは隔絶された場所で、男と女が夢見る革命の光。その光は彼らに届くのか――。※単行本に収録されている「『レッド』前史」はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。

レッド 1969~1972(4)

処刑――。その道に理想はあるのか……。権力の追及から逃れるため、山岳にアジトを築いた若者達。だが、山での生活は人の本性を剥き出しにする。微かな不協和音は、次第に大きなうねりとなり、若者たちに恐ろしい決断を迫る――。大義と割り切る者と、違和感を覚える者。彼らを取り巻く闇は、その濃さを増していくばかりだった……。革命運動と若者の行く先は――?

レッド 1969~1972(5)

決行される殲滅戦。国家権力の象徴である警官殺害を目的とした戦いは、若者たちにとって正義であり、殺された仲間の復讐でもあった。大義名分のもとに行使される暴力は彼らを少しずつ狂わせていく――。その正義は意思を持ったように暴力の触手を内と外に伸ばす。果たして革命の業火は次に誰の身を焼くのか――!?第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞※単行本に収録されている山本直樹と革命者連盟・恵那による架空対談はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。

レッド 1969~1972(6)

共同軍事訓練!!『革命者連盟』と『赤色軍』、二つの組織は新たな体制に移行する――。『赤色連盟』結成へ。世界の情勢が大きく動き出す頃、二つの組織は革命のため一つになることを模索していく。だが、山という過酷な環境は、彼らの攻撃性を剥き出しにする。『革命者連盟』と『赤色軍』、共に大義を掲げながらも、わずかな差異が溝を生み、それは次第に取り返しのつかない深さとなっていく……。※単行本に収録されている山本直樹と赤色軍・キムによる架空対談はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。

レッド 1969~1972(7)

『赤色連盟』となった二つの組織は、銃を持って闘う革命戦士となる為、共産主義化を勝ち取る事を誓う。だが、その為に行われる総括要求は弱き者達を追い詰める。山という閉ざされた空間で、革命への熱は次第に言いようの無い凶気を帯びていく……。決して特別ではない若者達。目指すは革命。だがその運命は“闘争”とはかけ離れたうねりの中へ――。※単行本に収録されている山本直樹と赤色軍・キムによる架空対談はこの電子書籍版には収録されておりません。ご了承下さい。

レッド 1969~1972(8)

1971年、日本で革命を目指す赤色軍と革命者連盟は急接近し、『赤色連盟』を結成。銃を手にした彼らは、榛名ベースへ続々集結する。しかし、そこで展開されたのは革命への行動ではなく、『総括』と称した、立派な革命戦士になるための、各自の過去の言動に対する自己批判、相互批判の応酬だった。総括要求はエスカレートし暴力になり、大晦日にはついに伊吹が力尽きて死に至る。彼らは一体どこに向かおうとしているのか!?

レッド 1969~1972

言葉の力に翻弄されていく普通の人達

レッド 1969~1972 山本直樹
名無し

事件関係者達の手記をかなり忠実に再現している。 この漫画をきっかけに連合赤軍に興味を持った。主要人物や事件に至るまでの流れを一通り把握することができるので、連合赤軍入門書としてはかなり良いのではないだろうか。  「言葉の力に翻弄されていく普通の人達」という切り口で連合赤軍事件を描いた作品。 物語の主人公格は赤城(=永田洋子)という女性指導者と、岩木(=植垣康博)という男性メンバー。 一般的に、永田洋子は「優れたメンバーへの嫉妬心から大量殺戮を行った鬼婆」として語られる事が多い。だが、物語前半の赤城は、感情的な面はありつつも人並みの思いやりや理性は持っており、けして「鬼婆」ではない。 しかし、もう1人の指導者・北(=森恒夫)により、「革命家として問題があるメンバーを殴る事で、彼らの欠点を克服させる」という理論が提唱されると、彼女はささいな理由で(美人だとか頭が良いとか)メンバーを摘発し、彼らへの暴力を指示するようになる。  メンバーを殴る時に「頑張れ!頑張れ!」「あなたのためなのよ」という台詞がよく使われていることが印象的。 リンチのはほとんど、北(や赤城)がメンバーの些細な行動を「彼らの欠点は革命家として致命的であり、それを克服させるために殴る」ともっともらしい言葉で問題化することから始まっている。 もっともらしい言葉で理由付けがされることにより、言いがかりのような批判から始まるリンチに対しても「自分たちは仲間のために正しい事をしている」と思い込めるようになっていく。 元赤軍派メンバーの男性が言った「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉が印象的。 北(=森)や赤城(=永田)も、岩木(=植垣)も、英雄でも狂人でもないごく普通の人たちだった。そんな彼らを冷酷極まりないリンチに追い立てたのは、言いがかりのような批判を正当化する言葉と、「仲間のために正しい事をしている」という自己暗示だったのではないかと思う。 同じく連合赤軍を再現した作品に若松孝二監督の「実録・連合赤軍」があるが、見比べてみると永田の捉え方が随分違う。 実際の事件関係者の手記を読んでみても、森・永田に対する印象は人によってマチマチだったりする。連合赤軍事件は語る人によって全然違った「真実」が見えてくる事件なんだと思う。 この作品も若松映画とは違った角度からの「連合赤軍の真実」として、後世に読み継がれていったらいいなと思う。