あらすじ

即戦力となる新人の確保のために、マンケに参加した同人誌作家からの持ち込みを待つカンパチ。しかし、誰もやって来ない。編集長を黙らせるだけの形を残さなければ、クビになってしまうカンパチは…。
編集王 1巻

ボクシングチャンピオンの夢を故障で断念した、カンパチこと桃井環八・24歳。幼なじみの編集者に導かれ、バイト見習いで入った漫画の世界で「編集王」を目指す!誰より熱い心を持つカンパチが漫画業界に真っ向から立ち向かう、衝撃の漫画業界コミック!

編集王 2巻

「ヤングシャウト」の看板作品『ブルセラム-ン』の作者・小泊浅虫は、宴会の席上で連載を続けていく自信がないと言い出した。思いの丈を吐き出した小泊に、担当である三京と疎井編集長は…。

編集王 3巻

「ヤングシャウト」編集部の紅一点・目白通代は、担当作家である甲州から担当を代わってほしいと言われてしまう。カンパチは落ち込んでいる目白を元気づけようと、作家・青山のもとへ連れていくが…。

編集王(4)

即戦力となる新人の確保のために、マンケに参加した同人誌作家からの持ち込みを待つカンパチ。しかし、誰もやって来ない。編集長を黙らせるだけの形を残さなければ、クビになってしまうカンパチは…。

編集王(5)

五日市は、たった一人の文芸部編集者。かつては出版社の柱であった文芸部だが、現在はマンガとヘアヌードに予算を回してもらっているという状態である。文芸部の先行きに不安を感じた五日市は…。

編集王(6)

作品を持ち込みにきた女子大学生・山手さゆりの担当になった本占地は、美人で若いさゆりのことが気になって仕方がない。しかも、さゆりの作品はとても面白いもので…。

編集王(7)

大物作家・マンボ好塚は今ではかつてのような創作意欲もなく、ゴルフや酒にあけくれる毎日を送っていた。そのマネージャー・仙台角五郎もペンも持たなくなった好塚に失望していた…。

編集王(8)

マンボ好塚が連載している各雑誌の担当と編集長がホテルに勢揃いした。一体何のための呼び出しであるのか、見当もつかない彼らだったが…。

編集王(9)

新人として再出発をすることになったマンボ好塚。すっかり昔に戻った好塚を見て、信じてよかったと思う仙台だったが、徹夜で作品を仕上げた好塚は…。

編集王(10)

新連載を始めるにあたって、明治は一つの作品を「女」「男」「裸」と分担して三人の作家に描かせるという。正論を主張する明治であるが、カンパチはそのやり方がどうも気に入らない…。

編集王(11)

学生の頃、明治はいじめられっ子だった。いじめられっぱなしの明治に、クラスメイトの奈保子は優しく手を差し伸べる。そんな奈保子に対し、明治はうれしい反面わざとそっけない態度をとってしまう…。

編集王(12)

ゲームセンターに行ったカンパチは、コンピューターゲームに熱中する人たちに懐疑心を持った。そんなゲーム音痴のカンパチに、ゲーム制作会社のオレガ社に出向くように命令が下る…。

編集王(13)

ハ-ドメ-カ-に営業に出向く法善寺とカンパチ。意気揚々と各社を回る法善寺だが、メ-カ-の担当者は法善寺がテスニ-を辞めたという話を聞くと、途端に態度を翻し、思うように契約が取れない…。

編集王(14)

「少年シャウト」で、仙台の連載が決定した。若かりし日の疎井と仙台は、二人三脚で漫画を仕上げ、早速編集部へ持って行った。だが、仙台の漫画は要らなくなったと副編集長に言われてしまう…。

編集王(15)

講学館の新社長・陳子昂(ちんすこう)による「ヤングシャウト」連載漫画家引き抜きの動きが活発化してきた。そして、その手は青梅と懇意にしている漫画家・骨川サヨリにまで伸びていた…。

編集王(16)

「ヤングシャウト」編集部の三京が、「ヤングナッツ」編集部にやって来た。ライバル誌の新連載の発売日に合わせて、同じ日に同じジャンルの新連載を始めようと連載予定を聞いてきたのだった…。

編集王

自分的に第三次マンガブームのきっかけとなった名作

編集王 土田世紀
酒チャビン
酒チャビン

キン肉マンでマンガを読みはじめ、大人になってからはマンガを読むのをやめていたのですが、大学生のときに火の鳥にハマり、こういう心にしみるマンガもあるのか・・・と手塚を読みまくってました。 もう手塚先生のマンガ以外は暇つぶし・読み捨て用と決めつけるというかなり偏った価値観になってしまっていた時にめぐり合ったこちらの作品。 とても面白かったです。手塚先生以外にもすごいマンガあるんだ!!!!となりました。今はもっと他にも大量にすごいマンガがあると思ってるし、それらのすごいマンガから生きるファイトをもらうことも多々あった人生なのですが、この作品に出会えてなければ、それらの出会いもなかったかと思うと背筋うすら寒く、本当に怖い気持ちになります。多分死んでたと思います。 元々同居人が持ってたやつを、その人が出てった後に部屋で見つけて読んだのが始まりでしたが、すぐに全巻揃えました。 内容としてはスポ根×編集者で、たくさんマンガを読みまくった今、改めて読むと、かなり荒いというか、変なところも結構あったのですが、全然関係ないですね。絵とか整合性とか全然関係ないです。面白いです。 マンボ先生の回はみんな好きだと思いますが、わたしは結構幕間的な短編のギャグ回も好きです!!というかギャグセンス的には、個人的には小林まこと先生に次いで2位とかに入ってもおかしくないと思います。 オナ作の作品としては、ありゃ馬こりゃ馬もすごく好きなのですが、それ以外の作品をあまり読んでいないので、電子書籍が発達した今、そして年が明けて2023年となった今、チャレンジしてみたいと思います。

編集王

出版業界漫画の名作

編集王 土田世紀
六文銭
六文銭

「ルーザーズ」とか「ブラック・ジャック創作秘話」とか 漫画家漫画や業界漫画って好きなんですよね。 素晴らしい作品に出会うと、どうしても創り手のことを想像してしまうタイプなので、裏話的なことも含めて作品として楽しみたいんですね。 そして、実話じゃなくても良いタイプです。 そんな中でも、この「編集王」は業界漫画の筆頭というか、まずその手の作品を読みたい方は、こちらをおすすめしたいです。 本作は、見習い編集者になったボクサー崩れの桃井環八(カンパチ)を主人公に、個性的な編集者や漫画家を描いた作品。 特に、出版とは「文化」か「ビジネス(営利)」かという点に切り込んでいく様は、生臭くもリアリティの塊です。 主人公カンパチは、つまらなくても売れればいい(売れっ子作家だからいい)とか、業界がもつある種の悪習に反発し、関係者と衝突して…という流れで物語は進んでいきます。 土田世紀の泥臭くも熱量高い登場人物たちが、本作でも良い味をだしています。 個人的に「文化」と「ビジネス(営利)」の天秤で偏ったスタンスに立っていないところが本作の魅力だと感じています。 作品としては、感情的なシーンばかり際立ちますが、双方の言い分をきちんと描いており、何が正しいかを誘導せず、読み手に問いを投げかけているようで考えさせられるんですね。 「売れる本の何が悪い?」 と問いかけられた出版社の社長の答えはシビれました。 登場人物すべてが肝が据わった信念通す人たちばかりで、 何かうまくいかない時とかに読むと元気をもらえます。 出版業界に関わらず、何かアツイものを忘れてしまったサラリーマンにも是非読んでほしいです。 何度読んでも、心が燃えて、涙が溢れます。