あらすじ

「阿芙蓉」という麻薬が江戸城中に蔓延していた。鶴次郎たちは、草花の問屋を営む「成田屋」が城中に阿芙蓉を運び込んでいることを探知するが、その入手方法はまだつかめていない。
弐十手物語 1巻

将軍の息子であるという天一坊が、証拠の品を持って江戸に乗り込んでくる。しかし、偽者を将軍に会わせたとあっては一大事。そこで大岡越前は、天一坊がほんものか偽者か判定する役に、その気性の激しさから「狼の睾丸(ふぐり)」と噂される飯伍(はんご)を抜擢した……。同心の藤掛飯伍と配下の由造、そして鶴次郎が南町奉行所を舞台に暴れまくる人情味あふれる捕物帖。名コンビ入魂の力作!

弐十手物語 2巻

寺に売った魚の、たまりにたまったツケを取り立てるため、寺が多く集まる寺町へ出かけた魚勝の主人。しかしツケを払ってもらうどころか、役人に殴られて帰ってきた。それを聞き憤慨した飯伍は、単身寺町に乗り込むのだが……。

弐十手物語 3巻

十手を振りかざして悪事を働く岡っ引きの多さを憂い、岡っ引きの制度を廃止したいという大岡越前。彼は飯伍に全ての岡っ引きから十手を取り上げるように命じる。悩む飯伍であったが、ろう女に諭されて一念発起、岡っ引きの実態調査に乗り出す。

弐十手物語 4巻

江戸の岡っ引き全員が十手を返上し、大岡越前の計画は実現された。しかし、その岡っ引きを使っていたのは我々同心だったからと、飯伍は自らも十手返上を申し出る。それを聞き入れた大岡越前は、飯伍と由造を新たに隠密廻りとして任命する。

弐十手物語 5巻

大岡越前から、普段は見逃しているような軽い罪を犯した者を挙げておけと命ぜられた飯伍。もっと他にやるべきことがあるのでは、との疑問を抱きながらもそれに従う飯伍だが、大岡越前の本当の狙いは別の所にあった……。

弐十手物語 6巻

夜道を一人歩いていた鶴次郎は、突然覆面をした男に突然襲われ十手を盗まれてしまう。そして同じ頃、やはり覆面をした男が同心二人を襲い、十手を奪っていたことがわかる。実は、ある浪人者が十手を使う飯伍を斬るための訓練をしていたのだった。

弐十手物語 7巻

歯みがき売りの葉吉という男が殺された。葉吉はいつも目の所に「眼かづら」という面をつけていたため、誰もその素顔を知る者はいなかった。そこで大岡越前は、葉吉を生きていることにし、鶴次郎を葉吉に成り変わらせて犯人をおびき出そうとする。

弐十手物語 8巻

どんな人間の懐中からでも、ちょっと触れただけで財布をかすめ取ることができるという巾着切り(スリ)の名人・忍。彼女を捕えるために隠密廻りが動きだした。このことを知った忍は、スリは現場を押さえなくては捕まえられないと……。

弐十手物語 9巻

ある日起こった火事について、おりんという女を調べていた鶴次郎。しかし、酒飲みのおりんに付き合わされるばかりで何の成果もあがらない。そんなある日、江戸の大火事対策に頭を悩ませていた大岡越前が、鶴次郎に意見を求めてきた。

弐十手物語 10巻

煙の重蔵という男を追っていた鶴次郎たちは、やっとのことで重臓を袋小路に追い詰める。しかし、そこに、二八そば屋のおよねという女が一人居ただけ、重臓の姿はどこにもなくなっていた。およねが重臓の手助けをしたとしか思えず……。

弐十手物語 11巻

従順な振りをして江戸闇世界の支配者・お舟御前に信頼を得た飯伍は、頃合いを見て単身お舟御前潰しを決行しようとする。飯伍はその様子を窺っていた松造に、自分と一緒に組まないかと持ちかけられる。

弐十手物語 12巻

天神の八兵衛という親分に追われ、飲まず食わずで逃げ回っているという娘を助ける事になった鶴次郎。しかし、娘は八兵衛の手先の者で、奉行所の情報を仕入れるための罠だった。娘は得意の色仕掛けで鶴次郎を誘惑しようとするのだが……。

弐十手物語 13巻

和久が犯人であって欲しくないと思いながらも、暴行事件の容疑者として和久の事を調べ始めた鶴次郎。しかし、ある日、張り込みをしていた鶴次郎の前に妻を連れた和久が現れ、和久は通りすがりの女に向かって刀を抜いた……。

弐十手物語 14巻

四年前からなりをひそめていた、盗賊の女頭・閻魔の小兵衛が江戸の町に姿を現した。激しい動きの少ない歯磨き売りになりすましているところなどから鶴次郎は、閻魔の小兵衛は妊娠しているのではないかと推理して……。

弐十手物語 15巻

自分の情婦である雲を追って江戸に入った盗賊の政吉は、雲と関わった人間を次々殺し、じわじわと雲を追い詰めてゆく。極悪非道な政吉をうまくおびき寄せてお縄にするために、大岡越前は鶴次郎と雲に夫婦同然に暮らすよう命じる。

弐十手物語 16巻

女手一本で船宿を切り盛りするお紺という女。美人の彼女に言い寄って来る男は多いのだが、お紺は誰一人として受け入れようとしない。その断り方が鶴次郎と同じ鶴の格好を真似してみせるやり方だというので、興味を持った鶴次郎と摺吉は……。

弐十手物語 17巻

黒独楽の事件も無事片が付き、お互い好き同士の鶴次郎とお紺は幸せに暮らしていた。しかし、鶴次郎は死に神鶴次郎との異名を取るように、事件の後、その事件に関わった女が死んでしまう。そのことを心配した摺吉が、鶴次郎とお紺を見張っていたのだが……。

弐十手物語 18巻

正月、各同心の持廻りの区域変更が発表され、鶴次郎は持廻りの中でも最も難しいとされる廓(くるわ)廻りに任命された。早速、吉原遊廓へ引き継ぎと挨拶をしに出掛けた鶴次郎は、吉原を仕切る惣名主・大門四郎兵衛らの仕事ぶりを目のあたりにする。

弐十手物語 19巻

ある日、吉原に病気の孫を連れた老婆がやってきた。薬を買うのに一両が必要なのだが、どうにも工面がつかずにここにやってきたという。そして、その老婆は一両で私を買ってくれと言い出すのだが……。

弐十手物語 20巻

獏(ばく)の刺青を背中に持つ大物の殺し屋・かまいたちの清吉が吉原に現われた。清吉を捕えるために鶴次郎は部屋に張り込むのだが、そんなことは先刻承知の清吉は余裕綽々、鶴次郎に捕えられるために江戸に来たと話し始めた……。

弐十手物語 21巻

女の土左衛門があがったという騒ぎを聞き付けた鶴次郎と摺吉は、早速現場に駆け付ける。非番の鶴次郎と摺吉は、東金という同心に捜査を任せて現場を後にするのだが、やはり事件が気になって捜査に加わることにする。

弐十手物語 22巻

かもめという女と知り合った鶴次郎だが、彼女の父親が海猫の三次という血も涙もない盗人だということを知る。一方、今や三次一味の裏切り者となったかもめの命を狙って、三次と手下の者が鶴次郎とかもめの前に現われる。

弐十手物語 23巻

吉原で起きた藤枝外記の心中事件を闇に葬ろうとする目付たち。一方鶴次郎は、この事件をどうにか世間に知らしめようと考える。しかし、鶴次郎は鬼輪番鶴の組という、ご公儀消し方とも異名をとる殺し屋たちにつけ狙われることになる。

弐十手物語 24巻

風邪をひいて寝込んでしっまた鶴次郎だが、独り川原の小屋で死んでいた身元不明の老人が、昔大活躍をした同心の柄見左源太の晩年の姿なのではと気になって仕方がない。自分も寂しい最後を迎えるのかと思うとなおさらだ。

弐十手物語 25巻

勧薬屋という薬屋に防犯の心構えを指導しに行った鶴次郎と摺吉だったが、そこで彼らを出迎えてくれたのは鶴次郎の初恋の相手・鈴江という女だった。店の防犯には万全を期しているという鈴江だが、鶴次郎はそれがかえって危ないということを教える。

弐十手物語 26巻

病気の妻と息子の嫁の三人で、つつましく生活していた坪内という浪人の侍。ある日、仕事から戻った坪内は、病気の妻が自害しているのを発見する。当初、病気を苦にしての自殺かとも思われたのだが……。

弐十手物語 27巻

火の見やぐらの上から降りられなくなった猫を助けようと、やぐらに登った鶴次郎。一方やぐらの下では猫の飼い主が猫を助けたら金を出すと言い出したものだから、われさきにとの大騒ぎが始まった。そんなことは露も知らない鶴次郎は……。

弐十手物語 28巻

今戸のくも十という嫌われ者の男が殺された。犯人は地獄人形と呼ばれている殺し人・小間物屋の吉三と手代の六助のふたりなのだが、彼らはお千代という娘に殺しの現場を目撃されてしてしまった。証人として番屋に呼ばれたお千代だが……。

弐十手物語 29巻

札差・和泉屋で起きたトラブルの仲裁に入ったことから、大久保源伍という侍と果たし合いをすることになった鶴次郎。しかし、果たし合いを六日後に控えているというのに、剣の稽古をするでもなくのんびりとしている。

弐十手物語 30巻

いろいろな手口でただ飯を喰い、さらにはおひねりまで持って行くという居坐り小兵衛と呼ばれる老人に出会った鶴次郎。七十年もの間旅をしながら父の仇を追っているというその老人、実は居合の名人で、さまざまな知識も持っていることがわかる。