重版出来!

人間臭さで包み込んでくる漫画編集漫画

重版出来! 松田奈緒子
名無し

「編集王(作画・土田世紀先生)が好きだったので、 同じく漫画編集部を舞台にした漫画と知って読んでみた。 とても面白かった。 編集王が読者の心に男臭さで切り込んでくる漫画ならば 重版出来!は読者の心を人間臭さで包み込んでくるような 漫画だと感じた。 編集王が1990年代の漫画で重版出来!が2010年代だから 当然なのだが、同じ漫画編集部漫画であってもかなり異なる 世界を描くことにはなっている。 重版出来!には当然SNSとか電子書籍とか出てくるわけで。 それだけ漫画を取り巻く環境は変わり、多様化したと言える。 それは結論が一つ、という世界ではなく、 人それぞれに結論がある、という世界のようにも感じる。 編集王は、数話ごとに話を区切りながらの連載の仕方ながら なんだかんだといっても区切りごとに土田世紀先生が 先生なりの「俺はこう思う」という感じの結論を ドーンッとぶつけてくるラストが多いと感じた。 重版出来!は、わりと「皆さんはどう思いますか」 みたいな区切りが多いように感じた。 それはこういった時代の変化に即した結果の違いなのかもしれない。 だがそれはそれで考えさせられる凄く後味のいい区切り方に感じた。 それと単なる偶然かもしれないが 編集王の主人公のカンパチが元ボクサーで、 重版出来!の主人公が元柔道選手という設定で、 なんか漫画編集の世界ってアスリート視点での 見方や感じ方が、インドアの典型みたいな漫画家との対比で 物語として面白くなるのだろうか、などとフと思った。 時代が変わっても、その辺は変わらないのかな、と。

レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版

「レタスバーガープリーズ」「OK」そういうことだったんだ!

レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版 松田奈緒子
名無し

歴史ミステリー作家の鞠手ノ公路綾(ペンネーム)は学生時代から美人で有名だったけど片思いしていた家庭教師の男とトラブルが起きてから恋愛を避けるように仕事と趣味(戦国・江戸オタク)に生きていた。しかし自分の小説の挿絵を描いている林稲造と出版社のパーティーで対面してから綾の運命が変わる。名前と絵柄のようにシブい爺さんが現れると思ったら稲造は超絶イケメンだったのだ。趣味も合うし会話も弾むけど過去のトラウマから「レタスバーガーください」のノリで「付き合ってください」って言われても信用できない。でも言いながら緊張して震えてるのを見つけて気づいたら「OK」をしていた…!他人からすればただの美男美女カップルなんですが恋愛に奥手だったり好みがシブかったり、綾の妹が心配しながら見守るスタイルで描かれてるのが面白いです。ユニークなキャラクターもどんどん登場するので飽きません。会社で厄介なオヤジ扱いをされていたけどサファリパークで人間の身代わりになったマルチーズの話に涙してから女子社員のアイドルになったお父さんのキャラが地味に好きでした。