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スーパースターを唄って。

血を流しているマンガが、ここにある #1巻応援

スーパースターを唄って。 薄場圭
兎来栄寿
兎来栄寿

10月発売の中でも最注目作品のひとつでしょう。 スピードワゴンは 「環境で悪人になっただと?  ちがうねッ!!  こいつは生まれついての悪だッ! 」 と、かの名台詞で説いていましたが、この社会には間違いなく環境が生み出してしまう悪があります。 本作の主人公たちは、まさにそういった類の人種。凄絶な家庭で生まれ育ち、若くして天涯孤独の身となって薬の売人をして口に糊している雪人。彼の親友であるメイジ。世界が彼らに生ませたグチャグチャな感情を、音楽として世の中に吐き出すことで昇華していく物語です。 助けてくれる大人もいない世界で、身も心もボロクズになりながら生きてきた日々。どうにもならない絶望の泥濘の中で溺れながら辛うじて息をしている雪人の仮面のような笑顔からは、熱さのような痛みが、飛沫となった血潮が溢れ出しています。 それでも、確かに雪人は亡くなってしまった母や姉に愛されていた。だからこそ、失わずに済んだものがある。それ故に、曲げられない生き方とそこから紡ぎ出せる雪人だけのリリックが存在する。それを最大熱量で、親友と共に解き放つ。そんなエモい話があるでしょうか。 生き方も言葉も真っ直ぐにぶつけてくるリリーとの出逢いを始め、違うけれど同じように苦しんでいる同じ時と場所に生きている人物たちと交差しながら、クソみたいな人生が少しだけマシになっていく。 雪人ほど酷くはありませんが、碌でもない家庭で育ったもの同士だからこそ解り合えることというのはあるので、メイジとの絆が芽生えたときのエピソードなどは強く共感します。 単体で見ればかわいらしさもありながら、それ以上に斬り刻むようなリアルさを迫力として体現する薄場圭さんの絵も作品にガッチリとハマっています。 荒々しく、血を流してマンガを描いている。鋭利に突きつけてくる、愛しい作品です。

「このマンガがすごい!2025」の話をするスレ
薄場圭 17位 『きみの絶滅する前に』後谷戸隆/我孫子楽人 17位 『レタイトナイト』香山哲 17位 『佐橋くんのあやかし日和』三卜二三 ※15位は不明。完結した呪術廻戦、ドッグスレッドあたり入ると思ってたけど、集英社はランキング良くないと発表しないことあるからそのあたりか? 【オンナ編】 1位 『環と周』よしながふみ 2位 『恋とか夢とかてんてんてん』世良田波波 3位 『ボールアンドチェイン』南Q太 4位 『じゃあ、あんたが作ってみろよ』谷口菜津子 5位 『恋せよまやかし天使ども』卯月ココ 6位  7位 『スルーロマンス』冬野梅子 7位 『突風とビート』椎名軽穂 9位 『線場のひと』小宮りさ麻吏奈 10位 『霧尾ファンクラブ』地球のお魚ぽんちゃん ※6位は不明。さすがに『ファミレス行こ。』が入らないわけないからそうかも? 11位 『佐々田は友達』スタニング沢村 12位 『寿々木君のていねいな生活』 13位 『アフターメルヘン』田島生野 14位 『いつか死ぬなら絵を売ってから』ぱらり 14位 『Roaming』マリコ・タマキ/ジリアン・タマキ 14位 『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)』白川蟻ん/ 六つ花えいこ/秋鹿ユギリ 17位 『おひとり様には慣れましたので。婚約者放置中!』晴田巡 18位 『四畳半のいばら姫』佐藤ざくり/吉田夢美 19位 『春の嵐とモンスター』ミユキ蜜蜂 19位 『星屑の王子様』茅原クレセ
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