この世には、青き鬼となりて、身をいたづらになす者おほし。紺青鬼、それは愛欲の鬼――。ひそかに思いを寄せる新進の建築家に会いたい一心で、文芸誌の編集者が恋のために仕事を利用して、彼の住む家に通うことになる。しかしその家には、彼の婚約者も住んでいて…。彼女は紺青の鬼になってしまうのか!?表題作をはじめとする、全4編を収録。
運命は神さまの気まぐれでかくも変わってしまうもの…。就職浪人中の小泉星人はある日、何気なく光る50セントコインを拾ったことから、風変わりな女の子リリ子と出会う。行くあてがなく、強引なリリ子に押されるまま星人は同棲生活を始めることに。しかし星人には才色兼備の恋人、清音がいて…。表題作をはじめ、偶然を必然に変えてくれる全4編を収録。
美琴は兄の急逝によって敵対するいけばな流派・和達流家元新樹のもとへ嫁ぐことに。笙風会家元の娘として華を学んできたと自負していた美琴だったが、新樹の型にはまらない自由ないけばなの前では何も表現する術を持っていないことに気づき愕然とする…。一人の女性がいけばなを通して自身と向き合い、美しく花ひらく様を描く。表題作を含む全3編を収録
高邑水面(たかむらみなも)はだれもがうらやむ美貌の持ち主。その天女のような微笑はどんな男もとりこにする――。カメラマンの仲と美術評論家の御子柴(みこしば)は水面をめぐり、静かな火花を散らしていた。水面はそんな2人をまるでどちらにも傾かない天秤に乗せて弄んでいるようにも見えるが…。愛されても愛せないもどかしさの末に、女はやがて美しい天女から残酷な夜叉へと姿を変える……!表題作を含む全5編を収録。
鎌倉の呉服屋『花びし屋』の娘であるひとえは、家業を継ぐ気はなく着物にも興味がない。しかし父が倒れたことでしぶしぶ店を継ぐことになる。慣れない着物に不満がいっぱいのひとえは、番頭の直哉からお説教を受けてばかり。直哉に反発するものの、やがて着物の美しさに気づきはじめたひとえは……。表題作を含む全4編を収録。
佐藤七瀬は元アイドル歌手。ある日公園で歌う美しい青年・滝一樹と出会い、その歌声にひと目惚れ。自分の作った曲で彼をデビューさせることに。アイドル時代、ライバル事務所の陰謀により傷つけられた七瀬は果たせなかった夢を一樹に託す。しかし仕事がうまくいく一方で恋人の正午とはすれ違いが生じてきて…。表題作をはじめ、ひたむきに人を愛する女性たち描いた全4編を収録。
明るく元気で、インテリアが大好きな佐野いぶきが勤める高級家具店「カサディ」には、さまざまなお客さんがやって来る。家具を買い求めた人に、その家具に囲まれて幸せになってほしいと願う彼女。素敵なインテリアを介して、彼女の周りには温かさが溢れていく……。
美大生のえり子は、ふとしたきっかけで広告制作会社の広告モデルに選ばれる。アイディアをだしながらみんなで広告を制作をしていく中で、えり子は仕事に打ち込む個性豊かな仲間の姿に惹かれていく。そして遂には父親の反対を押し切って広告制作者の道を選ぶ。晴れて社員となったえり子だったが、仕事の充実感を味わうと同時に社会の厳しさに直面する。
20歳という若さで遠い異国に嫁ぎながら、その3年後に若くして逝ってしまった紫子(ゆかりこ)。彼女の母が、残された百枚の着物の行方と、それに関わるさまざまな人々について語る。第1巻では、仕事一筋だった商社の社長秘書を恋に導いた青海波文様の訪問着を描く『青海波』、着物を愛する平凡な教師が美しくなる瞬間を描く『花紋』、他2話と、着物についてのマメ知識が身につく『きもの話』を収録。
父が借金を背負ったために大学進学を断念した双葉は、スーパーマーケット“タイヨードー”に就職するが、入社早々、高卒の双葉は学歴の壁に直面する。恋人と一緒の大学生活に憧れていた双葉だっただけに、大学生や大卒の人を見るたびに嫉妬の色を隠せない。しかし、同期で大卒の代子やタイヨードーの隣に位置するスーパー、ディスカウント店など続々と現れるライバルに、双葉はあらゆる知識と経験をもって対抗する。
姉妹、父娘、はたまた義兄妹――。トラブルや誤解、錯覚にいきちがいなど、親族間にはごたごたの種がいっぱい!!他人なら許せるものでも、身内だからこそ許せない!というのはよくある話。そんな身内間の愛憎を描いた「身内戦争」3部作の他、初恋を忘れられない、切ない女心を描いた『恋人もどき』を収録。
大学4年生の園生は、与謝野晶子と同じくして歌壇に現れた山川登美子を卒論のテーマに選ぶ。登美子の足取を追いかけるうちに海瀬と知り合い、園生は婚約者のいる身ながら次第に彼にひかれるようになる。しかし海瀬にも秘密があった…。時代を超えた運命に導かれる恋を描いた表題作をはじめ、全4編を収録。
普段はほとんど顔も合わせないけれど、時々ふっと隣の人の生活が気になる場所――それがマンション。マンション“ハウス・リバーサイド”の201号室、202号室、203号室、そして204号室でそれぞれ繰り広げられる人間模様を描いた4連作品。独立した話ながら、4話それぞれが少しずつ関わり合う。浪人生の恋を描いた『ミットナイト・コール』も収録。
飼っていた小犬が死んだときも、卒業式や友人の結婚式のときも、ボーイフレンドと別れたときでさえも泣いたことがない女、貴音(たかね)。ノンフィクションライターで、にっこり笑って人を斬る彼女は、妻殺しの疑惑がかかる俳優加賀英二の密着取材を敢行。思いもよらなかった真実と彼女自身に出会うことになる…。表題作をはじめとする全4編を収録。
小袖屋──。そこに並ぶ古い着物を一目見たその日から、運命な不思議な力に導かれていく。時を超えて着物が伝えるメッセージとは…!? 京都の町を舞台に、夢と現が交差する──。
童謡やわらべうたをモチーフにした「赤い靴」「通りゃんせ」「七つの子」は人間の心の闇の部分を描く恐ろしいミステリー……。他の4作もあなたを幻想の世界へ招待するミステリー傑作選!!
人材派遣会社で働くケリーは、大女優エステルが執筆する自伝を手伝う秘書として派遣された。やりがいのある仕事だが、エステルの一人息子リーだけが気がかりであった。彼は青年実業家でプレイボーイ。ケリーの友人サラは以前彼にもてあそばれた復讐のため、ケリーに危険なゲームをもちかけてきた。
イギリスの高級スーパーマーケットに就職したリーは上司と一緒にフランスへワインの買い付けに出張した。しかし、交渉相手は、6年前リーが恋して誤解されたまま振られた男だった…。彼、ジルはその晩の夕食の席で、リーをフィアンセとして紹介した。リーには、ドリューというフィアンセがいるにもかかわらずに…。