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遥かなる甲子園
はるかなるこうしえん
あらすじ
良心の作家・山本おさむが描いた障害児たちの高校野球。障害を乗り越えて野球に青春をぶつける姿を、深い理解と愛情で綴った感動巨編。手話の普及に貢献した作品。
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冬物語
ふゆものがたり
あらすじ
高校時代の仲良し3人組、さやか・舞・久美子。3人はそろって、瀬戸内先輩に憧れていたが、先輩の結婚が決まってしまう。そんな中、さやかは、兄夫婦のけんかが原因で、子供を預かることに。ちょっとした勘違いから起こったそのけんかは、さやかの結婚に結びつくことに!? 舞は仕事でのし上がりたいのだが、男社会で難しい。が、ひょんなことで、同期のメンズと思わぬロマンスが始まる!? そして、久美子はまさかの先輩と!? 3人3様の冬の恋物語をお届け!
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一本包丁満太郎
いっぽんぼうちょうまんたろう
あらすじ
明治時代より続くカツ丼屋「銀平食堂」の三代目・風味満太郎。父親の腕を越えるべく、一流レストランのキッチンで修業することに。しかし、その女人禁制のキッチンには、日本料理の真髄を誇る示条流33代目の娘・示条味味が潜り込んでいて…!?味味の存続を賭け、味味とおにぎり100個を2時間以内につくるというおにぎり勝負をすることに!!さまざまな料理勝負に満太郎が挑む、熱血料理バトル!!
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愛しのチィパッパ
いとしのちぃぱっぱ
あらすじ
中原家の長女の里子が短大を卒業し、新社会人としてスタートを切った。普通の家庭に生まれ普通に育った里子の、普通に始まった新生活。しかし父親の修三は平静を装いながらも里子のことが心配でたまらない。そんな父親の心配をよそに、恋に友情、仕事に励む里子。新米OL里子と、頑固で優しい父親・修三が繰り広げるハートウォーミング・ストーリー。女性セブンで連載され、1986年、高見知佳、植木等主演で映画化。
自分は、漫画や映画のようなフィクションに触れてウルウルすること、実際に「涙を流す」ことの多いセンチメタルな人間なのだが、その多くは、あくまで個人的な心情にフィットして、だ。つまり、自分自身の経験や環境と類似するシチュエーションにいるキャラクターに、感情移入をして泣くのである。 だが『遙かなる甲子園』は、あくまで物語内のキャラクター、自分とはまったく異なった存在に作品を読むと同一化させられ、オンオンと号泣させられる。 自分でもおかしいんじゃないかと思うくらい、涙でページが見えなくなってしまう。 感動作という表現がこれほど相応しい漫画はない。 山本おさむはキャリアの長い人で、初期の青春物から近年の『そばもん』『赤狩り』まで、篤実な作風とはこのことか、という誠に得がたい才能だが、なんと言っても本作『遙かなる甲子園』『わが指のオーケストラ』『どんぐりの家』という、聴覚障害や重複障害の人々を描いた「人権三部作」とも呼び得る圧倒的作品群が素晴らしい。 漫画読んで泣きたい人は、ぜひ。 不思議と読後に心がすっきりします。 余談だが、山本には、漫画作品ではないが『マンガの創り方』という隠れた名著があり、これを読むと、その真率に創作に向かう姿勢の一端を知ることができる。簡単に言えば、彼の作品には常に読者への強い心配りがあるのだ。だからこそ、自分と関係のない存在にも、あれほど感情移入させることができるのだろう。(この本、古書でも高額で、あまり薦めにくいのだが)