優しくて穏やかな真夜中のお話
変な時間にお昼食べちゃったときとか、お酒飲みたくなったときとか、大人になって自由になりすぎちゃって深夜になんか食べちゃうときってありますよね。 誰に咎められるわけでもないのに背徳感があっていいんですよね。真夜中ごはん。 まさにこの漫画に出てくる料理みたいに、簡単にできるものから妙に張り切っちゃってちょっと凝ったもの作ってみたり。食事というよりごほうび感覚なのがいいんですよね。いいんですよ。 ふわっと絵本のようなタッチで描かれた夜の空気感と美味しそうな料理がおだやかで優しくて、特段変わったエピソードとかストーリーがあるわけではないけれどあたたかい気持ちになります。 昔のこと思い出したり、懐かしいごはんが食べたくなったり、真夜中のひとりごはんのお話なのに人の体温が感じられる優しい優しい飯漫画です。 夜食への罪悪感も優しく包んでくれることでしょう…。
作中に出てくる料理は作り方も載っているので、真似しやすいのがうれしい。
イラストのようにシズル感たっぷり、つややかなものができるかわからないけど、同じように作って楽しみたくなる。
運動会のお弁当の話もとても好きだ。
大きな入れ物に入ったエビフライと唐揚げ、それからおにぎり。食べ盛りのきょうだいで食べたらしい。
なんと素敵な記憶だろう。
イラストから、このエビフライはサクッとしているんだろうなと想像させられて、さらには過去に食べた中で美味しかったエビフライの味や食感と重なって、とんでもなく美味しそうなものに思えてくる。
埃っぽくなった体操服、和気あいあいとしたお父さんと子どもたち。
幸せな一コマだなあと思う。
食べ物って、食べて美味しい、話を聞いて美味しそう。さらには、まつわる記憶が蘇って懐かしい、他人の話を聞いてしんみり。
楽しみ方がいろいろある、すばらしいコンテンツだと思う。
私の食べ物に関する記憶を書いてみると…
深夜帰宅が続いていたとき、毎日のように、夜中に食べたカツ丼はとても美味しかった。
夜食だけでなく、昼ご飯にもカツ丼を食べていたくらい、あの頃はカツ丼をよく食べていた。
そして、カツ丼を日に2食食べたり、1日の食事が4回必要なほどからだを動かしていなかったのですごく太った。
現実はほのぼのしんみりでは終わらず、つらいカツ丼断ち生活が待っていた。