アクの強い友人たちとパンチの効いたエッセイ
イラストレーターやまもとりえ先生の美大時代から続くエピソード。 著者が在籍していた美大の卓球部がカオスで面白い。 破天荒な友人が多いのだが、これみんな実在するんだと思うと会ってみたくなるね。 とても青春していて、人と人って繋がるよねーと我が身を振り返ったりしました。
美大に通うために鹿児島から一人で出てきた関西。人見知りで友達が誰もいなかった私(やまもとりえ)はある日、卓球部の仲間に入れてもらった。いつも谷間が見えているYちゃん。気は優しくて力持ちな親分。見た目は日本人形で中身はオッサンなコッペちゃん。人の話を聞いてないMちゃん。小柄で童顔なモンピちゃん。ピンク色の髪で身体中ピアスだらけAやん。クールビューティーなSやん。年中薄着のたーやん。ツンデレのツンが多すぎるP氏。卓球部のラスボスゆりやん。個性的なんて言葉じゃ表せないくらい変な仲間=マブダチたちと、貧乏だったけれど、いつもバカばっかりして、笑い転げてた。そして美大を卒業してからも、相変わらずやっぱりバカばっかりしてた。人生に良いことなんかたまにしかないし、大変なことばっかりだけど、でもこういう友達がいるから、それだけで生きていけるって思える。人気イラストレーター・やまもとりえが描く、笑えて、笑えて、ほんのちょっとだけ泣ける、すばらしきマブダチとの青春の日々。大反響を呼んだSNSでの投稿に加えて、とあることで失意の底にいた作者のもとに友達が集結した日を描く、「マブダチ最高!」な長編エピソードを描き下ろしで収録。さらに、巻末付録として伝説の「イラ語辞典」(抜粋版)も!【電子特典:描き下ろしおまけマンガ】
やまもとりえ先生の、大学時代から現在までの少し変わった友人たちとの思い出の日々を描いたコミックエッセイ。
同じ内容をポッドキャストでも話してます。
週刊マンガ獣 · Episode
読み始めてすぐ「いつも谷間が見えている友人Yちゃん」というバズった投稿を見たことがあったのを思い出ました。
作者さんが「大好きで仲が良い私の素敵な友達をぜひ知ってほしい」と紹介してくれてるような形だからこそ、読んでいると自分の友達もぜひ紹介させてくださいよ、という気分になってきて楽しかったです。
自分の学生時代の友人たちとの思い出がいろいろよみがえってきました。
エッセイなので、フィクションのように特別ド派手なドラマがあるわけじゃない、でも等身大の青春劇がそこにある。それがいいんですよね。
美大ならではのクリエイティブな話もあるけど、基本的には普遍的な友達の話。
そして、なんといっても一冊としての構成が素敵でした。
困ったときに友人が助けてくれた最高の人生だったんだなと。そしてこれからもそれが続くと思うと最高です。
どの友人のエピソードも面白くて、その個別の友人紹介の話があったからこそ、最後のエピソードに集約されて際立って輝いて見えて、感動しました。
同時に、男同士の友人グループだともしかしたらこうはならないだろうなっていう羨ましさもありました。男同士は楽しさを共有はしても弱みはあまり見せないこともあるから。
読んでるときの感覚としては、友達の結婚式の新婦側の仲良したちでの出し物とか、学生時代の写真のスライドショーとか見てどういうふうに仲良かったのかなーと想像したときの、最高に楽しい青春の「中身」をしっかり見せてもらった気分でした。
共感ポイントとしては、「自分たちの用語辞典作ったな~!」って思いました。
小さい界隈だけで通じる用語・共通言語ができて集団としての絆が熟成されていく感あって楽しいんですよね。秘密の合言葉みたいで。
ふわっと思い出した自分のエピソード
・Nくん、高校で誰とも全くしゃべったことなくて会話はいつも筆談していたらしく、大学で僕が普通にNくんと話してるのを見られて「どうやってあいつの心開いたんだ!?」って驚かれたことがある。そのNくんは窓が割れたままの部屋にずっと住んでて、いつもお菓子でお腹いっぱいにしてた。
・Mくん、子供がどうやってできるか知らなくて、植物みたいに受粉するものだと思って通学で乗る満員電車に毎朝めちゃくちゃ緊張してた。その反動か、気づいたらテニスサークルに入って遊びまくってた。
などなど。
一気に読むのもったいないので、ちょびちょび1日2ページずつとか少しずつ読むのもいいかも。とはいえラストはどうやっても一気に読んでしまうはず。