幸せの在り方
高校生のサキは陰湿ないじめに遭い心が壊れてしまった。島から離れるもテレビで見た島の平和な姿を見てサキは復讐に目覚めてしまう。不便ながらも小さな島で暮らす幸せと、都会で便利に暮らす幸せ、どちらもメリットデメリットを伴い、暮らし方も考えさせられる作品でした。
昭和30年。瀬戸内海に浮かぶ明城島で、高校生・大鳥サキは母ひとり子ひとりの生活を送っていた。サキは地味な容姿と性格のせいで、クラスメイトから「カラス女」と呼ばれ、いじめの対象になっていた。特に都会的な雰囲気を持つマリコは、クラスメイトの前ではサキをかばうふりをしつつ、徹底的にサキを見下していた。逃げるように島を出たサキだったが、不幸続きのサキをよそに、のうのうと暮らす女たちに再び会うため島に舞い戻る。そう……復讐を果たすために!!
虐げられて生きてきた女性が美貌を手に入れ復讐する、閉鎖的な世界をぶち壊していく、そういうストーリーに惹かれてしまいます。いい気分にはならないとわかっているのに読み進めてしまいます。
美しさと聡明さを利用して次々に復讐を果たしていくサキに痛快さすら感じるものの、素性が明かされそうになったり怪しまれたりハラハラさせられます。
一番の敵である島の有力者・マリコもまた魅力的。執着心と支配欲に塗れた美しきカリスマで、簡単には陥落しないであろう強キャラ感がたまりません。
完全なフィクションだろと割り切れない生々しさもありますが、感情移入しすぎずバトルを楽しむのがいいような気がしています。精神に負担をかけず楽しみたいので…。
とはいえ復讐に邁進しながらも時に苦悩するサキに心乱されるのも事実です。
どういう結末が待っていても心穏やかではいられなさそうですが、サキの幸せを願って読み続けたいと思います。