ぼろぼろの眼鏡を修理しようとするも、古すぎて断られてしまった。
最期だから眼鏡に美しい景色を見せてあげよう。
ものを大切にする人だな、だけではないことは鈍い私にもすぐわかった。
親友の眼鏡を修理しようとした。親友の眼鏡にいろんなものを見せてあげようとした。
その部分だけ切り取れば美談でしかないけれど、残された人間は美しいものばかり見ていられない。
何もしてあげられなかったことや逃げてしまったこと、傷つけてしまったことばかりに囚われてしまう。
想いは届いていると思いますよなんて、傍観者の身勝手な言葉でしかない。
でもきっと届いてると思う。突然去っていく人に言えなかったことなんてたくさんあるけれど、きっと届いたのだと思う。そう思わないと生きていけなくなってしまう。
そういう自分たちを適度に傷つけたり守ったりしてくれるのが物語なのかもしれない。
突然親友が亡くなった。形見であるめがねと共に巡る旅路を描いた短編読切。