「ここに描かれている遠い国の少女と私たちは一緒だ。そう、私たちは差別される側。認めるのはつらいけど、事実を知れば知るほど『ぶち破ってやるぞ!』と力が湧いてくる」山内マリコ(作家)「こんな世界が情けなくてやるせないけど知らないままの方がよっぽど恥ずかしいからページをめくる手を止めない冷笑的な態度に負けたりするもんか生まれついた性別で育った場所で奪われる夢があるなんて絶対に間違ってる」宇垣美里(フリーアナウンサー)「わたしたちは結婚しないと生きていけないの?」サウジアラビアに暮らす10歳の少女サルマ。同級生の姉は、顔も見たことのない8つも年上の男性と結婚する。外ではヴェールが必要で、大好きだったサッカーはもうできない。モロッコ、インド、アフガニスタン、そして日本……国も宗教も文化も違う少女たちに降りかかる「女の子だから」を見つめる作品集。◎ダークでファニーな怪談御伽噺『かわいそうなミーナ』も同時発売。◎やまじえびね ビームコミックス好評既刊『レッド・シンブル』全3巻『ナイト・ワーカー』『アイム・ノット・ヒア やまじえびね作品集』『女神たちと』(共著:河井克夫他)◎コミックビーム 公式ツイッター@COMIC_BEAM
続きを読む
様々な国の、10歳の少女達に降りかかる抑圧を描いた本作では、必ず最後に思いを胸に、押し黙る少女達が印象的だ。
サウジアラビア、モロッコ、インド、日本、アフガニスタン。各国の少女達は、女性に対する差別への苦しい思いを抱く。
差別は男性からも、そして女性からも押しつけられる「ように見える」。それは社会構造が差別的であるためだし、人の内面にこびりついて剥がれないものもある。差別を内面化するしかなかった女性も描かれる。
どこまでも苦しい現実。しかし、少女達は押し黙りながら、未来をぼんやり考える。
昨日まで幼かった、しかしあと数年で結婚も視野に入る、10歳という年齢。溌剌さと、挫折を知る前の純粋さで、これから世界と対峙してゆく少女達の、真剣な眼差しは強い。
辛い気持ちも、割り切れなさも、闘う気持ちも、彼女達と共有して、せめて共闘したいと願う。