母との関係が上手くいっていない展子が新しい街で出会ったのは、おひとりさま女性デザイナーの佐野さん。年上の女性への憧れのような淡い気持ちが、いつしか…
打ち寄せては引いていく波のように、静かにこころを寄せていくふたりの女性の様子が淡々と描かれます。

百合作品に何を求めるか、は読者によって様々だと思います。私が求めるのはズバリ「悩む女性」。
女だからこその生きづらさを抱え、茨の道と知っても自分と同じ身体を持つ女性を愛してしまう。その懊悩に胸を熱くさせているひとりです。

お互いのこと、親のこと、仕事のこと。展子も佐野さんも悩みます(いや、佐野さんも悩んだんだと思うんですよ…)。だから私はこの作品をとても上質な百合作品だと感じていますが、百合が主題ではなく、ジェンダーに悩む少女が自分を受け入れていく話なので、いつの時代でも「刺さる」ひとはいるのでは?

ふたりの結末は苦いもので、男性も多少話に絡んできます。
けれど、読後感は海風のように爽やか。(人によって違うかも…)

奥付を確認してみたら、発表年は1980年!
これを40年以上前に描いた樹村みのりさんは凄すぎる!

展子が自分と自分の身体を愛せるようになっていれば良いな、と心から願います。

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