どちらかというと将棋をやってる人柄の話
将棋をやってる人生の話!みたいな漫画はちとストイックで重かったりしますが(3月のライオンとか)これは将棋のプロの人柄の話! どの業界でもその職を極めた人はちょっと変わっている気がします。 棋士なんて特に変わってて面白い人が多いのでは? 生活、行動、全てが将棋に向いているのでそれ以外のことはどこかおぼつかない感じのお人柄に思えました。 逆にここまで貫いている人は漫画になるくらい面白い! 藤井聡太棋聖フィーバーの影響もあり、将棋気になるな〜って私のようなにわかにも楽しんで読める一冊。
小生、将棋が好きで、少し前まで将棋ウォーズ(将棋アプリ)に入り浸り、ニコニコやアベマで将棋放送やればみていたよう人間なんです。
棋士の情報も、多少知見があるレベル。
おそらく将棋を知らない人にとって将棋=羽生さん、最近だと藤井聡太くらいなのかもしれませんが、この渡辺明という方もかなり有名、そしてすんごいだということを声を大にしていいたい。
私レベルのにわか知識でもいいたい。
(知っていればもういいです。)
最高位のタイトルホルダーなのも、もちろんそうなのですが、史上4人目の中学生棋士になったこと、初の永世竜王(竜王は名人と並ぶ将棋の二大タイトルで)当時の羽生さんに勝ち越していて「羽生キラー」とも言われたくらい強い。
羽生さんに勝ち越していることの何がスゴイのかというと、これはよく言われているやつなので
「羽生の凄さを表現しているコピペ」
とか検索してもらえればよいかと思いますが、10回くらい転生したような最強と誉れ高い羽生さんに勝ち越しているってのは強さのイチ指標だとご認識いただければ。
藤井聡太がくるまでは、羽生さんの一個下の世代以下では最強とまで言われているのが、この「渡辺明」なのです。
少なくとも私はそう思ってます。
そんな彼の漫画。
さて、ここまで熱弁奮っておいてなんですが、私、今まで読んでなかったのですね。こんな語るんだったら、もう何度も読んでいるんだろと、そう思われるかもしれないですが、実際は全く読んでこなかった。
その理由なんですが、実は・・・正直、当時から羽生さんのほうが好き(強さもさることながら人格面でも)な人間だったので、渡辺明には良い印象もってなかったのですよね。
1つには、羽生さんが最後までとれなかったのが永世竜王なのですが、それを防衛し続けていたのが彼だったからです。
何度もその挑戦をかけたタイトル戦をみていて、そのたびにヒリヒリして、羽生さんが負けたときはガッカリのほうが強く、反対に渡辺明になんとも言えない不快感を持っていたんですね。(すごい言いがかりですが)
だから漫画が出ていたのは知っていたのですが、どうにも食指が動かず、今日まで過ごしました。
が、ちょっと将棋から離れて、熱が冷めたこともあり、ふとした瞬間に今回読んでみたら、もうーーーたまげました。
ドライで冷たく、たんたんとこなす機械のような人かと思っていたのですが、全然違う。
びっくらこいた。
びっくらポイントの例を挙げると
・19歳で結婚(奥様が漫画書いている)
・ぬいぐるみ好き
・漫画好き
・虫が嫌い
特に、ぬいぐるみが好きで、会話したり人形遊びをしている。
・・・まじかよ。
その風貌から「魔太郎」とか呼ばれてたりもしてましたが、その印象と全然違かくて、良い意味でギャップ萌えしました。
作品内の、絵柄も可愛いから憎めないキャラとしてたってます。
(もっとも、作品内に、読者からの質問に本人が回答するコーナーがあるのですが、そこはキレキレで無駄がない淡白な感じも顕在です。)
また、それだけでなく将棋に対する姿勢、情熱、また羽生さんに対する敬意の念(これは私が知らなかっただけで、随所でいってました)
プロ中のプロ、一線級のプロはやはり格が違うなと改めて感じさせられました。
2022年4月現在もA級に位置し(いちど陥落してからの復活)、名人含む二冠で、通算タイトル獲得数も歴代4位。(現役棋士なら羽生さんに次ぐ2位)
そんな、渡辺明氏の日常生活や価値観が垣間みえる稀有な作品として、将棋ファンはもとより、ちょっとでも将棋に興味がある人にもおすすめしたいです。
個人的には、上に羽生さん下に藤井聡太がいて、将棋界をこえた世間的な注目・評価がイマイチついてこない不遇な天才として(大きなお世話)、この本を通して応援したくなりました。
ホントにすごいんだよ、将棋の渡辺くんは。
余談ですが、藤井聡太も、渡辺明が対面した、現役ゴリゴリの羽生さんと戦ったらどうだったのかなとか考えちゃいますよね。