工業用ロボットの旅の物語
工業用ロボットが好奇心旺盛な少年少女と接触して自我に目覚め、孤独な旅に出る物語です。 その過程で様々な出会いと別れが生じ、世界に奇蹟と恐怖を撒き散らします。 絵だけを見ると、この作品はホラーなのかな?と思うけど、 ストーリーを追っていくと、高度成長期のオートシステム化の始まりで、それに伴う人間の戸惑いと葛藤を描いていくのか? 横図先生らしい作品です。
“明日は今日の続きじゃない。傷は癒える人は変わる、今日何が起こるかわからない。だからこそ人間関係は常に危うい。” ――そんなことを感じながら日々を送る瞳子(とうこ)は、大学を卒業しても働かない実家暮らしのプー太郎。父と姉は毎朝仕事に出るので、必然的に母と過ごす時間が長くなり…!? 他誌で活躍していた吉野朔実が『週刊ビッグコミックスピリッツ』で掲載を始めた、1980年代後半の流行を織り交ぜて描いた話題の連作短編集!
主人公の名前「瞳子(とうこ)」がそのままタイトルになっていて、ちょっと不思議な名前なのでどういうお話なのかイメージしづらいと思いますが、大学を卒業しても働かずに実家暮らしをして気の合う友達とダラダラ遊ぶ毎日を過ごしている瞳子の日々を描いた話なのです。ただこの瞳子という人は吉野朔実先生の若かりし頃がモデルになっているので感受性がとても鋭いんですね。
働いていないので日中は専業主婦の母親と二人っきりになるのですが、全く趣味が合わないので喧嘩ばかりしてしまうんです。しかし友達の母親は中国茶を嗜むような趣味人で瞳子はそんな彼女に憧れるのですが、ある日お茶をしながら「戦争で苦労しなかった私は本当に神様に愛されていたんだと思います」と言われたことがきっかけで「それじゃあ空襲で火の中を走らなければいけなかった自分の母親は神様に愛されていなかったということだろうか?」とふと考えてしまい…というのが第1話。親子関係を描いた話の中でもなかなかの鋭さでした。