母親と別居しており、父からは母親に会わないようにと言いつけられている小学生の穂高は、どうしても「母の味」が知りたくて少しずつためたお小遣いを使って母親が惣菜担当をしているスーパーへ1人で向かいます。お弁当だけを買いお母さんには会わないと決めていたものの、やはり来たことはバレてしまいます。でも慌てて買ったお弁当の味は父親の料理の味と同じで…。
母親の味をスーパーのお弁当で味わうという現実とその発想がなんとも切ないのですが、この出来事をきっかけになぜ別居するに至ったかが明かされると、人には人の事情があるなというか全員が不幸にならないためにはこういう判断ができることって大事なことだなと思いました。いい話でした。

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最後、6年生になるまで時間が経過しているが、穂高が家事を頼まれているということは母は帰ってきていない。数ヶ月前の運動会では順調に関係を修復しているように思えたが、、。空気を読み続けているが故の結果なのか?母の前で子供に返る父も、ストレスの一因なのか?
母の前で心が緩む父とは違い、空気を読む子供は遠いスーパーに行く時に誘う友達もいない。他人に対して心を緩ませる方法がわからない。子供の頃に人に甘えることが当たり前だという環境で育てることは、その人間の一生において大変重要なことかのだと知った。

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秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?

秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?

秋葉原でビルの警備員として働く三橋鵤(みはし・いかる)は、オタク趣味への情熱も枯れ、漫然と日々を過ごしている。毎日の唯一の希望は、同じビルに入っているメイド喫茶のメイド・鶴子さん。彼女を見かけるたび、恍惚とした気持ちになる。そんな彼女をオカズにオナニーしていたことが、とあるきっかけで彼女本人にバレてしまった。しかし彼女はそれでも、不自然なほどに鵤にやさしく接し続けーー。トラウマと歪んだ愛が絡みあう、性倒錯サスペンス。
母の味を求めて、少年のひと夏の大冒険。 #読切応援にコメントする