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安心と信頼のおげれつたなかさん最新作。
バカエロの方の作品群も良いですけど、私はおげれつたなかさんのこの仄暗く痛みを覚える方の作風が大好きです。
まず言うまでもないことですが、美しい絵柄が最高ですね。美麗な絵でもって、主人公の千紘が惹かれる攻めのケイトのミステリアスで冷たい「顔の良さ」を無条件で承服させられます。表紙でも帯でもそうですが、瞳孔にハイライトがないケイトの暗い深淵の瞳。しかし、そこに時折光が宿るシーンが堪らない訳ですよ、ええ。
公式では「謎めいたイケ傷害男」×「人生底辺ヒモカス男」とされていますが、この主軸二人のバックボーンが非常に懇切丁寧に描かれていることで、彼らのクズな部分もアングラな部分もひっくるめて感情移入できるようになります。よく立った二人のキャラクターが織り成していく関係性の変化は極上のご馳走です。
「ゴミと動くオナホってどっちがマシなんだろうな」
という問いとそれへの回答、またep.6のラスト付近はとりわけ好きなシーンです。
彼らを取り巻くサブキャラクターも味のある人物が取り揃えられており、引きの強いストーリーを更に盛り立てていきます。
ディープな人間ドラマを読みたい方でBLへの抵抗が薄い方であれば男性にも強くお薦めしたい、今年発売のBL作品の中でも抜けている一作です。