あらすじ

ふたりで過ごす穏やかな時間を脅かすマヤと、逃げるように引っ越しを繰り返す浩然と千紘。ところがついにマヤが千紘に接触し、拉致。浩然を親友と呼ぶ様子に違和感を覚え反論すると態度が急変したマヤに襲われ意識を失う千紘だった。マヤの暴走から難を逃れた千紘は病院で目を覚ます。退院後、表向きは今までと変わらず過ごすふたりだったが触れようとすると怯える千紘を見た浩然は罪悪感や憤りの感情に苛まれ自分を責める幻聴まで聞こえ始めるように。追い討ちをかけるようにマヤから“千紘の動画”が届く。ささやかだけど幸せな日常が壊れ始めたことに気づいた浩然はある決断をする――。「俺のこといっぱい思い出して、それで――もう忘れろ」欠けたものを埋め合える存在愛を知ったからこその別れ、その先に待ち受ける結末とは――?★単行本カバー下画像収録★
ハッピー・オブ・ジ・エンド

「おめでとう、生きてる」昼下がりのゴミ捨て場、見覚えのある男の声で目が覚めた。空腹で金もない千紘は新しい“家”探しに訪れた行きつけのバーでド好みの男・ケイトに目を奪われ声をかけると好感触。まさかのホテルに誘われ、いい雰囲気になったところで突然電マでボコボコに殴られたのが1日前――。全てを思い出すも、仲間を呼ぶケイトの様子を見て今度こそ殺されるかもしれないと思いつつ回収された先はアパートの一室。ケイトの目的はとある探し物で、自分が用無しだとわかるとあっさり「消えて」と言い放たれるが帰る“家”もない千紘で・・・。謎めいたどイケ傷害男×人生底辺ヒモカス男クソみたいな人生、愛に飢えたふたりの歪な協和音★単行本カバー下画像収録★

ハッピー・オブ・ジ・エンド 2巻

最悪の出会いを経て、行き場のない千紘が浩然の元に居候をして始まった共同生活。何かから逃げるように繰り返される引越しの中浩然が初めて見せる表情やしぐさに戸惑う千紘だったが心の距離が近づき、触れ合いにも甘さが混じる。気持ちを確かめ合ったふたりは身体だけでなく心も重ね映画館デートをしたり、プレゼントをもらったりと、“普通の恋人”しい穏やかな時間を過ごす日々。そんなふたりの前にひょっこり現れた男・マヤ。家を転々とし逃げ回るほど会いたくなかった相手を前に動揺を隠せないでいる浩然だったがーー?「俺がいなきゃ生きていけなくなってくれ」「・・・・・・もうなってる」痛みを抱えながら生きてきたふたり背中を寄せ合うように過ごす“普通の幸せ”ーー束の間の平穏★単行本カバー下画像収録★

ハッピー・オブ・ジ・エンド 3巻

ふたりで過ごす穏やかな時間を脅かすマヤと、逃げるように引っ越しを繰り返す浩然と千紘。ところがついにマヤが千紘に接触し、拉致。浩然を親友と呼ぶ様子に違和感を覚え反論すると態度が急変したマヤに襲われ意識を失う千紘だった。マヤの暴走から難を逃れた千紘は病院で目を覚ます。退院後、表向きは今までと変わらず過ごすふたりだったが触れようとすると怯える千紘を見た浩然は罪悪感や憤りの感情に苛まれ自分を責める幻聴まで聞こえ始めるように。追い討ちをかけるようにマヤから“千紘の動画”が届く。ささやかだけど幸せな日常が壊れ始めたことに気づいた浩然はある決断をする――。「俺のこといっぱい思い出して、それで――もう忘れろ」欠けたものを埋め合える存在愛を知ったからこその別れ、その先に待ち受ける結末とは――?★単行本カバー下画像収録★

ハッピー・オブ・ジ・エンド

すべてが最高な2021BLの最高峰

ハッピー・オブ・ジ・エンド おげれつたなか
兎来栄寿
兎来栄寿

安心と信頼のおげれつたなかさん最新作。 バカエロの方の作品群も良いですけど、私はおげれつたなかさんのこの仄暗く痛みを覚える方の作風が大好きです。 まず言うまでもないことですが、美しい絵柄が最高ですね。美麗な絵でもって、主人公の千紘が惹かれる攻めのケイトのミステリアスで冷たい「顔の良さ」を無条件で承服させられます。表紙でも帯でもそうですが、瞳孔にハイライトがないケイトの暗い深淵の瞳。しかし、そこに時折光が宿るシーンが堪らない訳ですよ、ええ。 公式では「謎めいたイケ傷害男」×「人生底辺ヒモカス男」とされていますが、この主軸二人のバックボーンが非常に懇切丁寧に描かれていることで、彼らのクズな部分もアングラな部分もひっくるめて感情移入できるようになります。よく立った二人のキャラクターが織り成していく関係性の変化は極上のご馳走です。 「ゴミと動くオナホってどっちがマシなんだろうな」 という問いとそれへの回答、またep.6のラスト付近はとりわけ好きなシーンです。 彼らを取り巻くサブキャラクターも味のある人物が取り揃えられており、引きの強いストーリーを更に盛り立てていきます。 ディープな人間ドラマを読みたい方でBLへの抵抗が薄い方であれば男性にも強くお薦めしたい、今年発売のBL作品の中でも抜けている一作です。