恋愛経験ほぼ皆無。今はコレぐらいほんとにあるかもしれない
あらすじの説明がパーフェクトゥ! アセクシャルな彼女はもちろん、隠れゲイな彼も恋愛耐性・経験がなすぎて、そんな2人が世間体のため(という体で)結婚するのだけど、どんな性自認だったとしてもニンゲンとしての付き合い・ニンゲンとして寄り添い接することに礼を欠かずにトライできる大人であるため、「女性」とか「異性」とかいう大枠で相手を見ずに個人として見るようになっていく。 そりゃーそうなんだよ、人は1人ずつ違うんだもの。 当たり前なんだけど、それの大切さがしっかり描かれていて、徐々に学んでいく2人を見守る。
親の紹介によるお見合いで出会い、結婚することになった花園岳郎太と園田ゆり子。
傍から見ると仲睦まじい新婚に見える2人ですが、実はこの夫婦にはそれぞれに秘密がありました。
夫の岳郎太は幼馴染にずっと片思いをしているゲイの男性、そして妻のゆり子は、BLを嗜んではいますが自身の中には恋愛感情を持たないアセクシャルの女性。
そんな二人の"偽装結婚"の様子を描いた作品です。
タイトルを見るとゲイである夫の岳郎太のことを腐女子の目線で見るゆり子の物語のように見えますが、実際にはそうではありません
ゆり子はBL好きではありますが、岳郎太のことを BLの登場人物と同一視はしておらず、共に生きていくパートナーとして相手のことを知ろうと努めます。
また夫の岳郎太のほうも、ゆり子が恋愛感情を持たないとはどういうことなのか、興味本位ではなく、ゆり子のことを理解するために対話をしていきます。
それぞれがセクシャルマイノリティと呼ばれる存在であり、自分のことを理解してもらえないという悩みを抱えながら生きてきた2人。
そんな2人だからこそ相手をゲイやアセクシャルと言う言葉でくくらずに相手を個人として理解しようとする、その結果、間に恋愛感情はないのですが2人は文字通り"夫婦"になっていく、そんな様子を描こうとしている作品ではないかと思います。
もちろん、岳郎太とゆり子、それぞれのバックグラウンドについても丁寧に描かれていて、どちらか1人を主人公として見ても十分に面白い作品になっています。
特にアセクシャルの女性のメインに描いている作品というのはこれまでほとんどないように思うので、アセクシャルという存在に触れたことがないかにとってはそれだけで新鮮に読める作品なのではないかと思います。
1巻まで読了